みなさん、こんにちは。暮らし提案の専門家 積水ハウスフェローの河﨑由美子です。
今月の1月17日は1995年に起きた阪神淡路大震災から30年の節目を迎えます。
昨年も大きな災害が発生しましたね。いつ起こるかどうかわからない防災の備えに不安に駆られるかもしれません。でも、そのために特別な準備は必要ありません。
ほんの少しだけ意識をもって「いつもの暮らし」をすれば、カンタンに「もしもに備える」ことができますよ。今回は食と防災について、とりあげます。
食料備蓄は7日分が目安。しかし実際は、約半数が1~3日分の備蓄量
「災害を想定した食料」は、7日分の家庭備蓄が望ましいと言われています。大規模災害時には災害支援物資が遅れ、物流機能の停止によって1週間以上スーパーやコンビニで食品が手に入らないことが想定されるためです。一方で現実は、「いつも家にある食料」は「1~3日」分というご家庭が最も多く、「7日以上」となると3割に満たないようです。
災害想定食の困りごと1位は「賞味期限・消費期限の管理」57.3%
災害を想定した食料に関する困りごとを聞いたところ、1番多かったのは「賞味期限・消費期限の管理」が約6割をしめました。次いで「収納場所」「食料の味」が続きます。
災害時に備える食材というと、たとえばカンパンなど非常食用の特別な食品を用意しないといけないと思っていませんか。
実は非常食として用意するのは、いわゆる災害用の備蓄食ではなく、普段から食べなれていて、日持ちする食品が最適なんです。
「いつもの暮らしがもしもの備え」
災害が起きた時に少しでも安心できるように、食に関する暮らしのヒントをまとめてみました。
非常時でも食べたいのは日ごろから食べなれた味
特別な非常食を用意するのではなく、普段から食べなれていて、日持ちするような食品が最適です。反対に特別な非常食を用意していても、もしものときに食べるのが初めてだと、なんとなく抵抗感があったり、口にあわなかったりすることがあるかもしれません。
お気に入りの缶詰やレトルト食品、朝食用のシリアルなど、いつもの食事に取り入れて、かつ日持ちする食品を多めにストックしておけば、立派な非常食として、いざというときに役立ちます。
7日分の食料のローリングストックで備えよう
7日間は自宅でまかなえる食料をストックしておくようにしましょう。1日3食が7日間で21食分×家族の人数分がストック量の目安です。そこで気になるのが、食品の賞味期限ですね。そこで食品を消費しながら、常に新しく備える方法を「ローリングストック」といいます。
1年以上の賞味期限がある商品を21食分(×家族の人数分)ストックし、月2回、賞味期限の迫った食品から順に食べていきます。そして、食べた分を補充していくと、21食分が常にキープされるのです。月に2回の非常食を食べる日は、「ちょっと冒険して買ってみた食品の試食の日」にするのも、楽しそうですよね。
日持ちする野菜や果物、調味料も買い置きを
野菜や果物は、避難生活中に不足しやすいビタミン、ミネラル、食物繊維の補給に役立ちます。また、家族の好みに合った調味料は、重宝します。必須ではありませんが、日ごろから買い置きするのもおすすめです。
冷蔵庫は大切な備蓄庫
冷蔵庫は、通常、食料品がストックされています。たとえば、チーズやハムなど、もしものときも手軽に食べられる食材を少し多めに買い置きしておけば、停電になったとしても、しばらくの間はしのげます。冷凍庫に保管しているご飯、食パン、野菜などの食材も食べることができます。
もし、日ごろから蓄電池を使って電気をためることができていると、停電中でも冷蔵庫を使うことができるので、貴重な備蓄庫になります。
住宅設備の見直しも
飲料水や食料の備蓄が十分でも、電気・ガス・水道などが止まると大変不便ですよね。日中晴天時に最低限の電気が利用できる太陽光発電や、昼夜を問わず電気を利用できる燃料電池が自宅に設置されていれば、災害時の電力確保につながります。さらに蓄電池もあれば、より安定的に電気が利用できます。
また、一部の給湯設備や燃料電池のタンクは、お湯や水を取り出して雑用水として利用でき、雨水タンクがあれば、トイレ用水の確保にもなります。住み替えや設備の故障・取り替え時だけでなく、災害の観点からも住宅設備について考える機会を設けてみてはいかがでしょうか。
いつもの暮らしの中に常備菜やレトルト食品を取り入れれば、忙しい日の食事の準備も時短できますよね。
いざという時に慌てないため、この機会にわが家の食の防災対策を考えてみませんか。
数字から考える幸せわが家
幸せのかたちは、家族やライフスタイルの多様な変化に合わせて変わっていくもの。ほんの少しの知恵や工夫で、わが家がもっと好きになる。積水ハウスの住生活研究から“住めば住むほど幸せ住まい”研究に基づく、暮らしのヒントやエッセンスをご紹介していきます。研究データや意識調査、リアルな実例をもとに「ちょっとやってみようかな」と思ってもらえるコラムを更新しています。
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