「グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ」展の最終日に行くことができました。ミュシャの絵は、ファンまでは行かないですが、色合いとか背景の模様とかが素敵で、たまに展示などで拝見していました。最近はミュシャの絵のグッズ店などもできて女性人気が高いようです。
こちらの展示は、ミュシャの絵が並んでいるのかと思ったらチラシに「ミュシャにおぼれる、圧倒的イマーシブ体験」と書かれていて、没入系展示だったようです。チケットも3千円くらいするのにかなり混んでいて、没入ニーズが高まっているのでしょう。
会場では前室にしばらく並んで、時間が来たらいっせいにホールに入ります。床にクッションがたくさん置かれていて大勢で座って巨大プロジェクションマッピングを鑑賞する仕組みでした。早く入った人数人は前の方のビーズクッションに横たわって見ることができます。寝転がって美術鑑賞できるとは。普通のクッションに座ったのですがスカートだったので座る体勢をキープするのが大変でした。イマーシブ系はパンツで行ったほうが良いかもしれません。
最初は豪華な邸宅の風景で、ミュシャの経歴や作品が映し出され、急に前に進んで動いているような錯覚でどよめきが起き、ドアから別の世界へ。四方の壁に場面が映され、ミュシャの絵も拡大されて映し出され、没入を体感。座っているだけで絵の方から来てくれて、混んでいる展示会場で人の間から絵を見るより快適です。本物の絵ではなくてデジタル画像ですが……。スラヴ叙事詩に至るまでの変遷が分かりやすくまとめられていました。キャプションも大きく拡大され、字一つが20センチくらいのサイズでありがたいです。今回若い世代だらけでしたが、イマーシブ展示は意外と老眼の中高年にも需要がありそうです。絵も動いたり色がついたりして飽きさせません。パーツも含めてこれだけの絵を切り出す職人の苦労がしのばれます。時々、髪の隙間など切り出していない部分もありましたが……。歩いて回る展示のように自分で時間を調整できないので、途中で出ていく人もいました。
知人女性で、昔日本美術の一緒に展示に行ったら、「私は一瞬見ればわかる」とか言って作品を一瞥だけして会場をどんどん歩いていった人がいましたが、そういう人は時間に縛られるのは抵抗ありそうです。
映像に没入したあと、隣の部屋にはミュシャの経歴や作品の解説コーナーがありました。そこで気になったのは、「心霊主義、神智学、フリーメイソンに深く関わっていました」という記述。調べたら、ミュシャは1898年にパリでフリーメイソンに入会。フリーメイソンの自由、平等、博愛、人類の進歩といったフィロソフィーを支持し、作品にも反映されているそうです。ポスター画で人気が出た頃は女優などをモチーフにしていましたが、後年庶民の姿を描いていたのはフリーメイソンの影響なのかもしれません。三角形や光、天秤、柱など、フリーメイソンのシンボルも描かれているらしいです。イマーシブで洗脳されたかもしれません。
今回のイマーシブ映像は海外の作品らしいですが、円安や諸々のコストが値上がっている今、海外の芸術家の作品を持ってくるのは経費的に難しくなるかもしれません。そんな時、作品本体は運ばなくてデータだけ送れば展示ができるイマーシブコンテンツは合理的です。作品そのもののオーラは感じられませんが、辛い人生だった芸術家の作品など、食らってしまうことがあるので、そういう残留思念はなくて軽く楽しめるのは良いかもしれません。
以前ゴッホ展に行ったあとゴッホの混乱のエネルギーの影響か2回電車を乗り間違えた私としては、作品の放つエネルギーはポジティブなものばかりではないと申し上げたいです。
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次元上昇日記
「次元上昇」とは? それは「アセンション」のこと。では、「アセンション」とは何か……。いろいろな意味があるので、ネットを検索してみて下さい。しかし、辛酸なめ子さんにとって、それは日々、功徳を積んで善行マイレージを貯め、それがある閾値に達すると得られる高い次元のこと。この連載は、その善行マイレージを貯め次元上昇をめざす一人の女性の抱腹絶倒、試行錯誤の記録です。
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