
「健康診断結果は気にしない」「毎日の晩酌は欠かさない」「お金はためるより使う」……。ホリスティック医学の第一人者で現役医師の帯津良一先生が実践する、人生100年時代を楽しく健やかに老いるコツとは。新刊『ときめいて大往生』より、一部をお届けします。
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現在89歳、健康長寿の最大の秘訣はときめき
私は現在89歳ですが、現役で医師をしています。しかも、年中無休です。そのため世間からは「なんでそんなに元気なんだ? きっとすごい健康法を実践しているのだろう」と思われているようです。
あるテレビ局もご多分に漏れず。ある日、電話がかかってきました。
「健康・長寿をテーマにした番組を作る予定です。ぜひ、先生の健康の秘訣を教えてください」
私は素直に答えました。
「酒と女です」
おそらく予想外の答えだったのでしょう。相手は困惑して、しばし沈黙。
「……それは困ります。先生の健康法は早寝早起きじゃないんですか? 夜の
10時ごろにはお休みになって、3時半には起きておられるということですよね。
それにしましょう、それにしましょう!」
こんな感じで話は勝手に進んでいき、結局、私の健康の秘訣は「早寝早起き」ということにされてしまいました。
もちろん、早寝早起きも私が健康・長寿である要因の一つではあるでしょう。けれども、私はそれが一番だとは思っていません。
私自身が健康・長寿である一番の秘訣は、前述したとおりお酒と女性です。言い換えるなら、それによって得られる「ときめき」です。
日々、ちょっとしたときめきを得ることで、毎日がキラキラ輝き、生命力が湧き上がってくるのです。多くの患者さんを見てきた経験をもってしても、ときめきこそが健康をもたらす最大のクスリだと確信しています。
病院へ行ったからといって病気が治るわけではない
医者の私が言うのも変ですが、病院へ行ったからといって病気が治るわけではありません。薬は症状を抑えることはできても、病気を治すことはできません。現代の医学では風邪すら治すことができない。それが現実です。
それでは何が病気を治すのか? それは、人間がもともと持っている自然治癒力です。
例えば、転んでかすり傷ができても、しばらくすると自然に治ります。それは自然治癒力があるからです。モノだとそうはいきません。どこかについた傷が勝手に消えることはないでしょう。
実はこの自然治癒力は、心と深い関係があります。自然治癒力は、心配したり落ち込んだりすると低下するのに対し、ときめいていると高まるのです。
私はがん治療の現場で、最初は外科医として、今はホリスティック医学の専門家として63年間闘ってきました。
しかし、その闘い方は両者で大きく異なります。
外科医は、がん細胞に侵された臓器という「部分」で人体を捉えます。だから、悪くなった部分を切除すればOKだと考えます。
一方、ホリスティック医学は、がん細胞が増殖している人体を「全体」で捉えます。いくら手術をしても再発するケースが多いのは、人体のごく一部しか見ていないからではないか、もっと大きな枠組みで病と向き合う必要があるのではないかと考えます。
このように、私は様々な角度から人体を見てきた経験から実感しているのです。やっぱり、自然治癒力を高める最大の原動力はときめきだと。ときめいている患者さんは、ほぼ例外なく病状がよくなっていくのです。
ときめいて大往生

ホリスティック医学の第一人者が教えるごきげんに長生きする秘訣とは。新刊『ときめいて大往生』より、試し読み記事をお届けします。