
なにもない部屋をひとつ借り、「1日にひとつだけものを増やしていい」というルールで始めた、100日間のチャレンジ。
「1日1つしか選べない」という生活は、人生における大事なことを教えてくれた!早くも17日で悟りの境地⁉
藤岡みなみさんの、文庫新刊『ふやすミニマリスト 所持品ゼロから1日1つだけモノをふやす生活』より。
* * *
16日目 パソコンの電源ケーブル

2020年春以降、外で人と会う仕事や出張がほぼなくなって、家で原稿を書いたり作業をしたりする時間が増えた。完全にパソコンが相棒。パソコンの電源は、ある意味で仕事や創作の電源のようなものかもしれない。スマホだったりデジタルなものとは少し距離を置いても、創作意欲の電源はオンでいたい。
シンプルライフに挑戦し始めてから、集中力が高まっている。作業環境が整った。やる気のバッテリーがフルの時、パソコンのバッテリーが先に切れちゃうなんてもったいない。
17 日目 CCクリーム

ずっとすっぴんでいる心地よさも知った。だけどリモート会議も多いし、顔色をなんとかしたい。
化粧品をまずひとつ手に入れるなら、全体的なくすみを隠してくれるCCクリームがいい。顔全体が明るくなって、顔に電気がついたみたいだ。
この生活を始める直前まで、メイクには人並みにこだわりがあった。パウダーやハイライトやアイライン、そんないろいろを施す前の自分の顔はひどく不安定に見えた。でもなんだか最近は、ちょっと顔が変わった気がしている。自分にだけわかる違いかもしれないけれど。精神的な調子のよさが顔にも出ているのかなあ。
18日目 平皿

おかずの味を思い出しながら時間差で白米を食べる生活をやめにしたかった。平皿ならワンプレートに盛り付けられる。鍋があり、包丁があり、箸があり、皿があって初めて、最低限の料理ができるようになった。
5年くらい前に大切な友人からもらった一番気に入っているお皿を取り出した。1日1つしか選べないから、好きじゃないものを生活に招き入れる余地がない。結果的に一番気に入っているものから手に取ることになり、毎日嬉しい。
今まで自分の所有物ひとつひとつに対して「これはあの時こんな気持ちで手に入れたもので……いいところは……」という愛着を抱けていただろうか。8つもあったおたますべてにそんな気持ちを抱けていたわけがない。大切なものほど壊さないよう、汚れないように戸棚の奥にしまい込み、どうなってもいい“好き度60点”くらいのアイテムを常用しながら生きていた。
(つづく)
ふやすミニマリスト 所持品ゼロから、1日1つだけモノをふやす生活の記事をもっと読む
ふやすミニマリスト 所持品ゼロから、1日1つだけモノをふやす生活

シンプルライフとはほど遠い生活をしていた著者が部屋を借り、所持品ほぼゼロの状態から、「1日1つ道具をふやす」という100日間のチャレンジを始める。1日目に敷布団、7日目に爪切り。スマホは果たして何日目!? 電子レンジは不要、タオルと毛布は心の必需品、大切なものの“普段使い”で幸福感が増す……など、生活の本質に迫る画期的な一冊。