
私が座長を務める劇団ふくふくや公演、
「大串枠子の日常」が先日無事に千穐楽を迎えました。
おかげさまで好評をいただきました。
観にいらしてくださったお客様。応援してくださった方々。
スタッフの皆様。そして劇団員に感謝感謝でございます。
と、言うことで、
この1ヶ月は稽古とドラマの撮影に追われていた。
疲れが果てたけど全然大丈夫。
だってこういうことがずっとやりたかったから。
忙しい日々に感謝している。
が、忙しいと何かとやらかすのが私である。
3月の後半。稽古を縫いながらあるとドラマの撮影を三日間していた。
初日と3日目は同じ撮影場所。
2日目だけ、違う撮影場所。
お察しの通りやりました。
2日目の撮影の時。初日と3日目の現場に意気揚々と向かった私。
気がついたのは電車を降りた瞬間。てことはそれが集合時間。
慌ててマネージャーに連絡して、結局私は1時間遅れて2日目の撮影場所に到着。
運が良かったのか何なのか、ちょうど昼休憩が挟まっていたので皆様をお待たせすることはなく、そっと胸を撫で下ろした。
でも仕事である以上、勘違いして集合時間に遅れた私が100%悪い。
むちゃくちゃ反省して、もちろん現場では平謝り。
あの現場の皆様。本当に申し訳ありませんでした。
で、その後も仕事と稽古で朝から晩までバタついていた私。
今、準レギュラーで出演させていただいている
「続・続・最後から二番目の恋」の7話目の撮影が近づいていた。
一話の時から私は前髪パッツンお団子のメガネ姿であった。
衣装合わせの時に、ちょうど私はその前髪で、監督やプロデューサーとこのままいきましょうとお話ししたから。
しばらく間が空いて久しぶりの撮影。
だが私に全く時間がなく、白髪も染められず前髪も伸び放題だった。
午前中に1日だけ空いた時間があり、いつもお世話になっている美容院に連絡したが、あいにく予約はいっぱい。
そりゃあそうだ。人気の美容室なんだから突然の予約は無理に決まってる。
そこで私は考えた。白髪はきっと何とかなる。
いつもドラマや映画のメイクさんは白髪が目立ってくると、そっと魔法の黒い粉を振って白髪を隠してくれるから。
何ともならないのが前髪だ。
どうしよう。もう直ぐ撮影だ。
ええい! ままよ!
自分で切った。深夜に自宅で。
最初に鋏を入れる時、なんの迷いもなかった。
とにかく短くしよう! それしか頭になかった。
落ちてくる髪の毛が自分の予想より若干長めであったが気にせず切った。
で、これだ。

長い人生生きているが、こんな変な前髪パッツンの59歳は見たことない。
サザエさんちのワカメちゃんよりも短い。
鏡を見て、落ち込んだ。
私よ。なぜ薄暗がりの中で切ったんだ。老眼なのをなぜ忘れていたんだ。
切った前髪に向かって心の中で叫んだがもう遅い。
だって切った前髪は二度と戻ってこないから。
翌々日撮影場所に向かった。
メイクさんにすぐに謝った。
美容院に行く時間がなくて自分で切ってしまってごめんなさいと。
優しいメイクさんは「大丈夫です。何とかします」と言ってくれた。
主役の小泉今日子さんには、朝、現場で会った瞬間に無言で前髪を二度ほど撫でられた。
ああ。今の私の人生の教訓は「前髪は自分で切っちゃダメ!」である。
なんと情けない教訓だろうか。
でもこれが私の現実だ。頑張って生きていこう!
で、結局何が言いたいのかというと
「続・続・最後から二番目の恋」は本当に最高の素晴らしいドラマである。
ずっとずっと大好きだったドラマに出演できて本当に幸せ。
絶対に、絶対に見てほしいのです。
前髪、今、絶賛伸ばし中。
山野海の渡世日記の記事をもっと読む
山野海の渡世日記

4歳(1969年)から子役としてデビュー後、バイプレーヤーとして生き延びてきた山野海。70年代からの熱き舞台カルチャーを幼心にも全身で受けてきた軌跡と、現在とを綴る。