「見栄を捨て、自分だけの幸せを手に入れる。」のキャッチコピーとともに、3月10日に発売された、中川淳一郎さんの『節約する人に貧しい人はいない。』。「節約とは他人と比べないこと」と繰り返し説く、異色の節約本です。刊行を記念した本連載で取り上げるのは、「おカネとモテ」。「おカネとモテることは関係ない」と中川さんがおっしゃいますが、その理由とは?
物欲とは自分で満足させるもの
恥ずかしながら、42歳になる今まで女性にプレゼントをしたことは2回しかない。1回が1995年のクリスマス、寒そうにしていた彼女に赤いカシミアのマフラーをあげた。次が2005年のクリスマス、バッグがボロボロになった彼女にバッグを買った。この2回だけしかないのだが、メディアの報道やら、ブランドショップに男女で入っていく姿などを見ると、世の男性は女性に何度もプレゼントをあげているような形跡がある。
キャバクラにつぎ込む男とかはお気に入りのキャバ嬢にプレゼント攻勢をしかけると聞く。しかしキャバ嬢はプレゼントをあげたがる男どもに対しては同じアイテムを言い、買ってもらったものは質屋に流してしまうとも聞く。同じものを頼んでおけば、いずれの男に対しても「○○さんからいただいたバッグ、すっごく使いやすいわ」なんて言い、男は「あぁ、喜んでくれている。オレだけのアケミちゃん!」なんて満足した気持ちになってしまうのだ。
私がまったく分からないのが、女の歓心を引くためにプレゼントをするという行為である。しかも中には、横領したカネでプレゼントをする男もいるそうではないか。元青森県住宅公社経理担当主幹・千田郁司は、チリ人のアニータに約11億円をつぎ込んだ(横領額は14億6000万円)というが、結局アニータはチリに帰ってそのカネを使い、豪邸を建ててしまった。千田とはもはや何も関係ない。彼の例を見ても分かるようにモノで女の歓心を獲得してもロクなことはないのだ。カネの切れ目が縁の切れ目というヤツなわけで、確かに日産セレナのCMの「モノより思い出」は事実ではあるな、とあのCMが大嫌いな私なんかでも思ってしまう。
そして冒頭の「一生で2回しかプレゼントをしたことがない」私の話に戻るが、多分これまでお相手してくれた女性たちは物欲のない人ばかりだったのだと思う。「○○を買ってぇ」なんて言われたことは1回もない。私は発言の裏を読むとかそういったことは面倒くさいのでしないのだが、別にプレゼントをせずともまぁ、それなりに女性たちとは楽しい時間は過ごせたと思う。
いや、欲しいと言われたら多分あげていたと思うが、それが毎月1回とかになるようだったら金銭感覚が合わないような気がして、それ以上長くは付き合えなくなったかもしれない。物欲豊富な女としても、私みたいな男のことは「この用無し! アタシは次の男に行くわ」なんて思っていて、お互い一緒にいることはストレスにしかならないので、別れるのが吉である。彼女はプレゼントを贈るのが好きでたまらない男と交際すればいい。
というわけで、プレゼントを贈るカネもセンスもないからモテないと嘆く男は、その考え方を改めるべきである。別にカネなんぞなくてもモテるものです。女性はあなたのことを好きなのであれば、どこへ行こうが楽しんでくれる。あなたが心地良いと思う店に連れて行き、従業員から「あらぁ、今日は可愛いコ連れて、どうなさったの?」なんて言われるような店を選んだ方がよっぽど良い雰囲気の中、楽しい時間を過ごせることになるだろう。さすれば「楽しかったよ! 次はいつ会う?」なんてニコニコしながら彼女は言ってくれるかもしれない。
多分、この原稿を読んだ「チョイ悪オヤジ」みたいな方や、「恋愛カウンセラー」みたいな女性は「このバカは女心がまったく分かってない」とか言うだろうが、まぁ、構わない。私は求められてもいないプレゼントにお金を使いたいとも思わないし、無駄にカロリーの高く、量が多くてワインで悪酔いし、挙句の果てには気分が悪くなってしまうような高級フレンチフルコースとは無縁の人生をこれまで送ってきて、一切の損はしていない。別に、渋谷の大瓶500円、冷奴150円の名店居酒屋「Y」にて楽しく飲み会をするだけで人生は幸せだ
そもそも物欲というものは自分本位であるべきで、何か欲しかったら自分で買うのが正しい人生の送り方だろう。もう今の時代、エアコンも掃除機もアイロンも冷蔵庫あるし、炊飯器だって皆持っている。もう「三種の神器」なんてものはないのである。昭和は終わったのだ。挙句のはてにはiPhoneとかタブレットPCとかだって普通に持っているわけで、「モノが欲しい!」なんて言ってる人はいつの戦後を生きているの? とさえ思う。
付き合う相手は同じような金銭感覚と物欲の人だと案外いい人間関係築けますよ。
*『節約する人に貧しい人はいない。』の第5章は「節約と恋愛・結婚」。おカネがなくてもモテる秘訣はこちらをご覧ください。
見栄を手放すための節約道
「見栄を捨て、自分だけの幸せを手に入れる。」のキャッチコピーとともに発売された、中川淳一郎さんの『節約する人に貧しい人はいない。』。「節約とは他人と比べないこと」と繰り返し説く、異色の節約本は、いかに生まれたのでしょうか? そして、中川さんの考える「節約道」とはどんなものなのでしょうか? 短期集中連載でお届けします。