1. Home
  2. 読書
  3. アルパカ通信 幻冬舎部
  4. 増山実『あの夏のクライフ同盟』/町田康『...

アルパカ通信 幻冬舎部

2024.12.28 公開 ポスト

増山実『あの夏のクライフ同盟』/町田康『俺の文章修行』- お正月におススメしたい小説とエッセイアルパカ内田(ブックジャーナリスト)/コグマ部長

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
町田康『俺の文章修行

ゴミカスみたいなおのれを命懸けで書いてき
た―。唯一無二の作家、町田康が文体に宿
るその精神と技巧をはじめて告白。「書く姿
勢」を取れるのは、いずれ此の世からいなくな
る人間だけ。生きるための文章読本。

一方こちらは文章の書き方について書かれた1冊。

しらふで生きる』で断酒した著者が、今度は「文章修行」とは! とファンキーを地でいく著者を知るファンには驚く人もいるだろうが安心してほしい。

徹頭徹尾パンクがあふれる作品となっている。モノローグ形式で進み、時には読者に喧嘩を吹っ掛けるような口調で語ることもあり、それはまるで熱いライブのMCのようだ。

冒頭から、文章力を上げるたった一つのコツとして、本を読んで語彙力を高めることに限ると断言。とはいえ、多読はすすめない。これと思った本を何度も何度も読みこんで己の血肉にしていくというのだ。ちなみに著者は子供のころ、『ちからたろう』という童話を「千回くらい読んだ」そうだ。

他にも、文体の作り方、書きたい気持ちのスイッチの入れ方などを、著者でしかありえないエピソードを交えて披露。アパートのごみ置き場で偶然見つけた、かつての愛読書『ことわざ故事金言小辞典』を思わず拾って帰ってしまうくだりなど、ファンにはたまらないだろう。

むろん、本作で説かれるのは、小手先のテクニックではない。これは「小説作法」の名を借りた芥川賞作家の表現への向かい方であり、日常エッセイでもある。ああ、これは町田康にしか書けない、前代未聞の作品だ。

{ この記事をシェアする }

アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

バックナンバー

アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP