十数年前に思うところがあり、初めて人間ドックを受けることにした。なんとなく決まりだからと毎年会社に受けさせてもらえている皆さんは、感謝したほうがいいと思うくらい、検査って大切だと思うのです。
予約の電話をすると最短が2ヶ月後。え、そんなに先しか空いてないのですか。私の仕事なんてのは2ヶ月先の予定は一切わからないのです。
まぁ、でもこれは必要なことだろうとひとまず予約をして、行ければラッキー、 初めての人間ドック。
たまたま仕事がかぶらずに、無事に受けることができた。
そのまま5年くらいが過ぎたと思う。え、検査をしっかりしようと思った気持ちはあっさり日常に消え、自分の体を大切にしようは全く忘れさられる。その時はそろそろやっておくかという気持ちで、前回とは違う、社員の皆さんが受けている病院を教えてもらって予約の電話をした。最短が3ヶ月後。
わかるかー!3ヶ月後の予定、全くわからないですよー!仕方なしに予約を入れて、行ければラッキー。
でもこのあたりでふと思ったのです。自分の体よりも仕事の予定を優先する思考が、当たり前のように植え付けられていたのです。ただそれは、私が勝手にそう思う選択をしていただけ。10代、20代前半の頃は、仕事が最優先が当たり前。海外旅行に行きたいと当時のマネージャーさんに言うと、危ないから英語を話せるようになったら行ってもいいと言われ、それにスケジュールが入るかもしれないからと濁されていた。
ここは、英語が話せる友人と行きますと1つの課題をクリアさせようとし、さすがに直近ならもうスケジュールが入るかわかるだろうと、来週行っていいですか?友人は就職だからこのタイミングしか行けないんです‼︎と頼み込んで、なんとかしぶしぶ許可をもらった。保守的なマネージャーさんなりのタレントを守る方法だったのだろう。
で、時は経ち30歳を迎えて、これから毎年1人海外旅行に行くぞと決めた背景には、今のマネージャーさんがプライベートも大事という考え方を持ってくれていたからで。担当についてくれた時の会話のなかで、「スケジュールNGあったら教えてください!」と言ってくれた時に、私は衝撃すぎてひっくりかえるかと思ったのです。私の予定をきいてくれるマネージャーさんは初めて。そのときは大人を疑って生きていたので、NGを言ったら後から怒られるのではないかと思ってしまった程、私には衝撃的だったのです。
同性ということもあり、女性の体について大変なことが色々あるということもわかってくれていて、体の変化や気持ちの変化が極端に増えてきた30代の私にはとっても有り難い存在です。
定期的に婦人科に通わなければいけなくなってしまった時にも、なかなかとれない病院の予約を伝えさせてもらったり、姪っ子の運動会にNGをもらったり、少しずつ人間らしいことを経験させてもらえるようになったのも、感謝しているところです。
でもこれって、私がしっかり自分の意見を持っていたり、何が大切なのか明確だったりしたらもっと若いときから、マネージャーさんと話し合うことは出来たはず。14歳で事務所に入れてもらったそのときの考えのまま20代は過ごしていたのだろう。
我儘とはちがう。私も旅行に行きたいときは、仕事が入らなそうな所を見計らって相談するし、絶対この日に海外行きます‼︎なんて言って、まわりに迷惑をかけたりすることはそもそも考えにないし。どうしても仕事が入ってしまうときも、それは自分で仕事を受けた自分の選択だし。
最近、「忙しいのにわざわざありがとう!」と言ってもらうことがあった。胸がちくっとした。周りから見ると私は忙しいという前提なのが、何だか格好悪くすら思えた。捻くれているとわかってはいる。多分私は、忙しそうではなく、人生を楽しんでそう、といった方向に思われたい願望があるのだろう。
確かに全ての仕事を断らずにやってきていた20代はがむしゃらだったし、私なんぞがいただいたお仕事を断るなんて生意気だと思っていたからスケジュールがハマる限り沢山無理をしてやってきたし、休みなんていりません精神で気力でいけちゃうパワーがあった。
でも、落ち着いて考えると、20代の頃と同じ勢いで仕事に向かえる体力は悲しいかな36歳の私には確実になくなっているのです。それはネガティブなことではなく、自分が36歳であるという事実を、しっかり受け入れなければいけない。20代の感覚のまま選択すると、失敗をする。事実、無理をした後のダメージが強すぎる。
自分の心と体としっかり相談する、仕事よりも生活が大切であるということ。
生活があっての仕事であるべきと、私は考える。
俳優なんて特にそう。しっかり生活をしていなければ、人間らしい気持ちに出会えないはず。
私は生活を、心を、体を、大切にしていきたいです。
今年も人間ドック行こう。
みなさんは、何が大切ですか?
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いつまで自分でせいいっぱい?
自分と向き合ったり向き合えなかったり、ここまで頑張って生きてきた。30歳を過ぎてだいぶ楽にはなったけど、いまだに自分との付き合い方に悩む日もある。なるべく自分に優しくと思い始めた、役者、独身、女、一人が好き、でも人も好きな、リアルな日常を綴る。