1. Home
  2. 暮らし術
  3. 神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること
  4. お酒は身を清める手段であると同時に、神々...

神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること

2025.03.01 公開 ポスト

3月 浄化して清まる

お酒は身を清める手段であると同時に、神々と交流しやすい状態になる手段!桃虚(神職/ライター)

3月3日はひなまつりだけではありません!お酒で身を清める、大事な日。

一家に一冊あるといいね、と評判の『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』より、3月について学びましょう!

*   *   *

3月は浄化の月。鍵となるのは流水と清酒

神社の境内を竹ぼうきでそうじしていると、まるっこい雀が私の5メートルほど先に着地しました。くちばしから何かはみだしているので、よく見てみると、ミミズをくわえています。3月の初旬から中旬にかけては「啓蟄(けいちつ)」と言って、冬ごもりしていた虫たちが土から出てくる時期なのです。

生命が躍動しはじめる3月は、私たち人間にとっても活動が本格化する節目の季節。3月3日の上巳(じょうし)の節句はとても大切にされています。

もともと古代中国では1・3・5・7・9の奇数が重なる日を節句とし、不吉なことを除くための禊(みそぎ)祓(はらえ)を行う慣わしがありました。

3の数字が重なる3月3日は「上巳の節句」と呼ばれ、水辺で心身を洗い清める習俗があったそうです。日本でも、古代から水辺で心身を清めるという祓(はら)いの行為が行われてきました。

「この水に、酒の盃を流してもいいよね?」 と、誰が言い出したのかわかりませんが、貴族のあいだでは「庭園に作った曲がりくねった小川の流れに沿って座り、上流から流れてくる酒の盃が自分の前を通りすぎないうちに詩を作り、盃を取り上げ酒を飲み、また次へ盃を流す宴」、すなわち「曲水の宴(えん)」が生まれ、奈良時代にはすでに祓いの行事として定着していました。

途中、途絶えた時代もありますが、現在では京都の城南宮や太宰府の太宰府天満宮平泉の毛越寺(もうつうじ)などで再現されています。

(イラスト:宮下 和)

お酒は身を清める手段であると同時に、神々と交流しやすい状態になる手段でもあるのです。

神社でも、家内安全や厄除けなどのご祈祷を受けると、最後にお神酒を一献(いっこん)いただきます。神様にお供えしたお酒をいただくことによって、体を浄化するお清めです。お酒を飲むことが浄化になるという概念は、「お酒で日々のうさを洗い流す」なんていう日本語の表現にも表れていますよね。

私は曲水の宴に参加したことはありませんが、お酒を飲みながら詩を作るのは楽しそうですし、流しそうめん的なおもしろさもありそうです。とはいえ、一般人が曲水の宴を開くのは、ちょっとハードルが高いですよね。

そこで、私は3月3日には「酒風呂」に入ることにしています。文字通り清酒をお風呂のお湯に入れて、入浴するのです。心身ともに浄化されるので、3月3日だけでなく5月5日も7月7日も9月9日も、つまり節句のたびにしています。

酒風呂って……曲水の宴と、ずいぶん違わない?

と思うかもしれませんが、そもそもお風呂は身を清めるための場所。そこに清めの働きをする酒を足せば、浄化の効果ばつぐんです。さらに血流もよくなり、美肌効果もあるので、機嫌もよくなり、まわりの人にも優しくなれるから、結果的に運気も上がるはず。曲水の宴に負けず劣らずの行事だと思っています。

自分の家に神棚をおまつりしていて、日供(にっく:毎日のお供えのこと)をしておられる方は、お供えしたお酒を下げてきて使ってもよいですし、1日と15日にお酒を替える方は、その日にしてもよいと思います。神棚にお酒をお供えしていない人は、酒風呂用に清酒を一瓶、酒屋さんで求めてもよいでしょう。もちろん、飲める方は、日々の息災に感謝して一献、いただいてかまいません。

肝心なのは、奇数が重なる節句の日には、かならずすること! これが神様と遊ぶこつです。

(つづく)

関連書籍

桃虚『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』

古(いにしえ)より、「生活の知恵」は、「運気アップの方法」そのものでした。季節の花を愛でる、旬を美味しくいただく、しきたりを大事にする…など、毎月を、楽しく&雅(みやび)に迎えれば、いつの間にか好運体質に! 四季を「見る」「聴く」「匂う」「触る」「味わう」……。 「五感」を磨けば、1年間幸運がめぐり、運だけでなく、体も、脳も、生活も、みるみる華やぎます! ポイントは、小さな変化を敏感に感じとり、そして”楽しむ”こと。 四季の豊かな日本には、古来から、その楽しみ方のノウハウがたくさん伝わってきています。

{ この記事をシェアする }

神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること

古(いにしえ)より、「生活の知恵」は、「運気アップの方法」そのものでした。季節の花を愛でる、旬を美味しくいただく、しきたりを大事にする……など、五感をしっかり開いて、毎月を楽しく&雅(みやび)に迎えれば、いつの間にか好運体質に!

*   *   *

神主さん直伝。「一日でも幸せな日々を続ける」ための、12カ月のはなし。

バックナンバー

桃虚 神職/ライター

1970年インド(ムンバイ)生まれ、東京育ち。 ライター業を経て、大阪府枚方市の片埜神社にて神職歴20年。 「神社新報」で連載など。筆名の「虚(とうきょ)」の、「桃」は無邪気の象徴、「虚」は素直な心を表す

最新刊に『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』。

note

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP