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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

2025.04.18 公開 ポスト

#61

どんだけ好きなんだ台湾 初めての台南編相場英雄

<使用機材>RicohGr3,SonyRx100M5

大家好!(皆さん、こんにちは)

当欄の第58回で触れたばかりなのに、またまた台湾に行ってしまった。きっかけは同回で触れた蝦仁飯(シャーレンファン)。 

 

海老がたっぷり盛られた一杯は、台湾南部の古都、台南の名物だと聞き、どうしても食べたい欲求に抗えなかったのだ。

三月中旬のある日、早朝五時台の便で羽田を発ち、桃園国際空港、台湾新幹線を経て、昼過ぎには台南に到着した。

台湾在住者や台湾好きの友人たちから聞いていた通り、オランダや日本統治時代の歴史的建造物が今も残る街並みはとても美しく、道を尋ねても地元民は優しく教えてくれる(翻訳アプリ大活躍)。

そして、念願だった蝦仁飯とご対面である。事前に情報を仕入れて行ったので、海老の特盛、アヒルの目玉焼き、魚のツミレ汁をオーダーして待つこと数分。目の前にブリっブリの海老満載の一杯が現れた。

ああ、会いたかったよ、本場の蝦仁飯。

念願の蝦仁飯。滋味溢れる一杯。
蝦仁飯の名店でオーダーした魚スープ。薄味だけど、ブリっブリのツミレ団子がクセになる。
名店の店先。ストリートフードの王様の風格。

台北で食べたときは、凝縮された海老の旨みに腰を抜かした。そして本場の味の味といざ勝負である。

硬めに炊いた白米を海老の殻で取ったスープで煮込んでいる。その上に、一つ一つ殻と背わたを抜いた海老が転がっている。

海老の香りが鼻腔を突き抜け、身の弾力が舌の上で弾ける。大袈裟でなく、椅子から転げ落ちそうになるほど美味かった。

店先のテラスで私が食する間も、地元民がテイクアウト用(外帯=ワイタイ)の弁当を求めて行列を作り、店先で食べる(内用=ネイヨー)客もどんどん押し寄せてくる。

笑顔を絶やさない大女将がテキパキと客を捌き、息子さんがひたすら調理し、お孫さんが空いた皿を片付ける連携プレーを見ていると、生活に密着した一杯がいかに地元の人たちに愛されているかがわかる。これぞ旅の醍醐味である。

この一杯で満腹になるほど私の胃袋はヤワではない。この名店の至近には、もう一つのご当地名物、牛肉湯(ニョーロータン)の老舗があるのだ。新鮮な生の牛肉に、骨で取った熱々スープかける実にシンプルな汁物だ。動画サイトでまっ茶色なスープを見て、本当に美味いのかと疑っていたが、レンゲで一口スープを飲んだ瞬間、我が身の浅はかさを痛感した。

牛の旨みが凝縮された汁が口中に広がる。そして新鮮な赤身肉がいくらでも食えてしまう。腕のそばに針生姜と辛味ダレを用意し、肉片をつけて食べるとこれはもう危険レベル。白米をオーダーすれば立派なご馳走になってしまう。

牛肉湯の老舗。もちろん店先で食うのだ。ひっきりなしに地元民が押し寄せる。
これが牛肉湯。旨みの塊。
牛肉湯の老舗、厨房はフル稼働状態。見よ、この綺麗な赤身肉。
牛肉湯の老舗にて、ホロっホロのスジ煮込みうどんをいただく。普通のスープより薄め。台北の牛肉麺とは全くの別物。

短い滞在期間中、私は食べに食べた。台南は美食の街として知られる。しかも海が近い。海産物がとんでもなく美味いと聞かされていたので、足繁く専門店へ出かけた。茹でる。蒸す。炒める……シンプルな調理ばかりだったが、素材そのものが美味いので、シャビシャビで薄味の台湾ビールがいくらでも飲めてしまうのだ。

台南の永楽市場。朝から熱気がすごい。幼少期、地元の市場もこんな感じだったなあ。
市場内で、青菜の団子を買い食い。ビールは我慢した。
海鮮居酒屋でワタリガニ(デカいよ)。ミソたっぷり、身はジューシー。足にたくさん切れ目が入っているので、食べやすい。
2分前まで生簀にいたエビちゃんたち。これでもかと食らい続ける。
名物居酒屋にメニューはない。席を確保したら食材をチョイス、好みの調理法を伝えてあとは待つのみ(翻訳アプリ大活躍)。

どちらの専門店でも、夕方から家族連れや友人たち、あるいは会社の同僚たちと集う地元民がワイガヤし始め、周囲はにぎやかになる。隣の席だからとご相伴にあずかったりと、人情味豊かな台南民にはずっとお世話になった。

ここ一、二年の間、インバウンド需要の高まりにより国内旅行のコストが上がってしまった。台湾は航空運賃が割安な上に、星付きのホテルが低料金で利用できる(首都圏や京都、札幌のビジネスホテルよりはるかに安価)。

あまり人に勧めると、旅費が上がってしまう恐れがあるので、今回の台南旅の話はこのあたりで。

テラス席にも地元客が溢れ、歩道には長蛇の列。また絶対に行く。
朝食はサバヒー(虱目魚=台湾の大衆魚)のお粥。牡蠣もゴロゴロ入っている。二日酔いには最強の一杯。
サバヒー(虱目魚)お粥専門店で、姐さんたとち仲良しに。彼女たちが下ごしらえするから、骨を気にせずサバヒーを楽しめる。
台南公園にて、ミックスフルーツジュースでご満悦なおじさん。

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食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!

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相場英雄

1967年新潟県生まれ。元時事通信社記者。主な著書に『震える牛』(小学館文庫)、『血の轍』、『KID』(ともに幻冬舎文庫)、『トップリーグ』  『トップリーグ2/アフターアワーズ』(ともにハルキ文庫)。近著は『血の雫』(幻冬舎文庫)、『レッドネック』(ハルキ文庫)、『マンモスの抜け殻』(文藝春秋)、『覇王の轍』(小学館)、『心眼』(実業之日本社)、『サドンデス』(幻冬舎)、『イグジット』(小学館文庫)『ゼロ打ち』(角川春樹事務)、『マンモスの抜け殻』(文春文庫)。『フェイク・フィクサー』(小学館ストーリーボックス連載中)、『ブラックスワン』(小説幻冬連載中)。

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