
齢五十も過ぎて、人生初の「推し」ができ、老化する一方の身で西へ東へ遠征する。心は軽いが身体は重い。ままならぬことばかりの50代オタ活考察記!
食べたことない菓子に全力でハマる理由が尊すぎた
さて、みなさまは『たべっ子どうぶつ』をご存じでしょうか。
発売開始は1978年。薄型の動物形ビスケットで、片面にその動物名が「COW」とか「MONKEY」と英語で入っている、明らかにお子さま向けのお菓子でございます。
発売元であるギンビスのロングセラー商品『アスパラガス』(黒胡麻が混ぜ込んであるアスパラガス形のビスケット)は、小さいときに食べた記憶があるものの、『たべっ子どうぶつ』の発売当時にはもう小学校中学年だったし、当時地方住みだったこともあって身近ではなく、私の認識としては、そんなお菓子があるのはなんとなく知っている、程度でした。
にもかかわらず、ここ最近、毎日のように食べている。
なぜなら、この2月に推しグループTravis Japanのメンバーである松田元太くんが『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』で、主人公の声を担当する、と発表されたからだ。
いや正直、初めて情報を見たときは「なんですかそれ?」と思ったんですよ。お菓子の『たべっ子どうぶつ』がアニメ映画になる? どうぶつたちのリーダー「らいおんくん」を元太が担う? っていうか、『たべっ子どうぶつ』って、どんな設定があるの? もうなにかしらのドラマが既にあるの? 全然知らないんだけど! と。
で、恐ろしいことに、たぶん私だけでなくSNSを見る限り、設定やドラマなんて知らない人がほとんどで「いや映画化ってなにごと? え? 急にどうした?」という反応が多く、つまりは大半が戸惑っていたわけです。
なのにそこから、ヲタクの行動は早かった! 情報公開とほぼ同時に、池袋PARCOとコラボしたPOPUP SHOPの出店が告知されるとグッズを買いに走り(私が初日の夕方に行ったときにはもうらいおんくんグッズは売り切れているものもあった)、SNSではコンビニやスーパーで『たべっ子どうぶつ』を購入してきたよ報告が相次いだ。買うよねー、そりゃ買いに行くよねー。
発売以来45年以上、存在を確認したことさえなかったビスケット菓子を、いつものスーパーの踏み込んだこともなかった売り場で探す。なんならそれを探しにコンビニをハシゴしたりもする。行ってみると、店によっていろいろな種類が売られていることが分かってくる。基本はバター味。いちごやミルクやチョコ、ホワイトチョコがかかっているものもあれば、ベジタブル、アーモンド、チーズ、メープルなどもあり、形状が厚焼きバージョンのものもあった。全粒粉入りもある。卵、牛乳、大豆不使用の『たべっ子BABY』もある。大袋も小袋も箱入りもあって、期間限定や新商品もどんどん出てくるし、『たべっ子どうぶつ』だけどグミやラムネまである。
見つけたら買う。見つけに行くまでしても買う。買ったら食べる。
これがまた困ったことに美味しいのだ。いろいろ食べた結果、私はチョコがけ系よりも、アーモンドとメープル、それから基本のバターが好きである、と行きついたものの、まだ食べていないものもある(こうしている間にも新商品が発売されているに違いない)ので、油断はできない。
この状況は、たとえば、テレビやYouTubeのロケで推しが行った場所に足を運び、同じメニューを食べるとか、ブランドのアンバサダーなどに就任した推しと同じ服やバッグを買う、といった推し活とはちょっと違う。松田元太はお菓子としての『たべっ子どうぶつ』の宣伝をしているわけではないし、今現在、食べているところを見たこともない。なのにこうして買い求めてしまうのは、元太くんを起用してくれてありがとうの気持ちを表したい! 少しでも売り上げに貢献したい! 起用していただいた仕事をワーキャー盛り上げて寿ぎたい! という思いからなのだ、たぶん。尊い。我(だけではないけど)ながら怖いほど尊い!
そしてここへ来て、当初(いやその映画ってどない?)と大方のヲタクが思っていた規模感よりも、どうやら力の入った興行であることが明らかになってきている。アニメ『らんま1/2』や関西の叡山電車やプロ野球とのコラボ企画も発表され、主題歌をTravis Japanが歌うことも決まった。グッズも次々発売されるし、上映館も、え? こんなに? というほど多い。びびる。
というわけで、『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』は5月2日公開です。<武器なし、策なし、意気地なし!>仲間を助けて世界を救うどうぶつたちを応援するため、今日もビスケットを食べるよ。
より充実したヲタ活生活に<今月のオタ助け本>
『世界が広がる 推し活英語』(劇団雌猫/学研プラス)1500円
『世界が広がる 推し活韓国語』(柳志英/Gakken)1650円
Travis Japanが2022年3月に突然アメリカ留学したことによって、現地の情報を入手したりSNSのコメントを英語で書き込む必要に迫られたとき、救世主となった『世界が広がる 推し活英語』。「待って無理しんどい」「わかりみしかない」など、自動翻訳では意味が通じぬオタ活フレーズが満載。好評すぎて韓国語の姉妹版も発売された。うちわの文字からファンレターまでめちゃ役立つ!
だらしなオタヲタ見聞録

20年以上、毎日300~500歩程度しか歩いていなかった超絶インドアだらしな生活だったのに、突然フッ軽オタ道を走り出したこの数年。もう「いつかそのうち」なんて言ってられん! 見たいものは見ておきたい! 寄る年波を乗り越えて、進め! ヨタヨタオタヲタ見聞録。
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