テレビ業界を右脳で見たいなら『わたしの神様』、左脳で見たいなら『歪んだ蝸牛』(田中)
田中 ところで最後にひとつ伺いたいんですが、『わたしの神様』によく出てくる「ルブタン」って何?
小島 クリスチャン・ルブタンという、いちばんわかりやすい高い靴です。軽く10万円ぐらいする、底が赤いフランスの靴。
田中 ふーん、ということは持っていらっしゃるんですか。
小島 いえ、私は持っていないんですけど。
田中 あれ、持ってない?
小島 はい。ルブタンもバーキンも持っていません。
田中 小島さんの本を読んでいたら、そういうものを買える男にならなきゃいけないんだな、僕は甲斐性ないって落ち込みました。
小島 ルブタンだのバーキンだのを女の子に買い与えて喜んでいるのはオヤジぐらいですよ。オヤジといえば、『わたしの神様』に出てくる藤村プロデューサーみたいな下品なオヤジ、さすがに現実にはいないでしょう?
田中 いえ、います。
小島 あ、いますか。
田中 むしろ主流でしょう。
小島 え~~~っ!
田中 それがテレビ業界ですよ。藤村がいなくなったら、つまんないです。
小島 そうかぁ。幸い、私はあそこまで下品な人にリアルに遭遇したことはないですが、でも、ひょっとしたらいるんじゃないかなと思って書いてみたんですよ。
田中 います、います。各局に健在です(笑)。
小島 嫌だ~。じゃ、私の妄想もあながちデタラメではなかった。
田中 バッチリ衝いていますよ。考えたんですが、テレビ業界を右脳で見ると『わたしの神様』になり、左脳で見ると『歪んだ蝸牛』になる、という読み方していただけるといいかなと思います。
小島 ああ、右脳、つまり感情とか感覚的な部分で見ると『わたしの神様』で、理屈とかその構造面を見ていこうとすると『歪んだ蝸牛』になる。ステキ! そのセット販売いいですね。それでいきましょう。
田中 いや、僕のほうが完全にコバンザメで小島さんについていこうと思っていますから、よろしくお願いします。じゃあ、何か番組を作りますよ。
小島 うわ、楽しみ! では、次はテレビでご一緒しましょう。
(構成:小峰敦子 写真:隼田大輔)