教科書で勉強すると、歴史嫌いになる!?
――歴史を好きになったキッカケって何ですか?
山本 俺が最初にハマったのは、石ノ森章太郎先生の『マンガ日本の歴史』だな。
房野 『マンガ日本の歴史』ウチにもあった!
山本 小学校の二年生ぐらいのときに「図書館で本を読め」って言われたけど、難しい本なんて自分にはわからなかった。でもマンガ見て「なんかこれは読みやすい」って。
房野 確かに、そう。楽しかった。
山本 縄文・弥生時代の頃はさらっと読んじゃったんだけど、急に「あれ? 俺の知ってる人が出てきた」っていうのが織田信長だった。名前だけは、何かで聞いてて覚えてたんだよね。次に「武田信玄? 聞いたことある」ってなって、そこから戦国にハマった。
房野 僕もマンガは読んだけど、ゲームの『信長の野望』ですね。小学校4、5年生のころだったかな。ハマりすぎて、学校が終わると、友達を無視して帰りましたからね。
山本 『信長の野望』の影響もデカいよね。本当に面白くてハマった。でも、学校の勉強で出てきた信長は、「勢力拡大して本能寺で光秀に撃たれた」みたいな……教科書だとたった3行くらいしか書かれてなく、しかもよく分らない。俺らは、半年ぐらいかけて天下統一目指してゲームやってたのにね(笑)
房野 そうなんですよ、歴史を拒絶しちゃう人が多いのはそこなんですよ。あの、つまらなくて分りづらい教科書からスタートしちゃうからです。
山本 俺は、ゲームをきっかけに信長のいろんなものを見るようになった。昔の渋い映画見たりね。「歴史を何で知るか」といったら、教科書じゃないでしょ。小説や映画や、もしくは能みたいな芸術だったり、とにかくいろいろなエンターテインメント。正確にいえば「事実とは違う(つまり脚色されている)」ってところもあるけど、そんなことは後でわかればそれでいい。それよりも、そこにあった大きなドラマの面白さを知るほうが大事。
房野 そうそう、そうじゃないとね。
山本 あと歴史って面白いなと思うのが、ずっと変わらずに面白がれるところ。俺はマンガも好きだけど、その時代によって、人気のマンガって変わっていっちゃうもんでしょ。たとえば『ドラゴンボール』は好きだけど、もう続いてない。でも歴史は形を変えて、ずっと残ってるし続いてるんだよね。『ドラゴンボール』が色々な側面から切り取られながら続いているみたいなもの。『ドラゴンボール』でいえば、最初に悟空を好きになるよね。それは、たとえば織田信長を好きになるって置き換えられられる。でも、今度はベジータ、たとえば武田信玄の側から見たら「ベジータめっちゃかっこいいじゃん」となったりする。主人公を歴史の人物に置き換えて見て、つくづく、やっぱり戦国時代はドラマ性とか人間関係が面白いなあと思う。
房野 ホント、そうだなあ!
山本 ドラマの『下町ロケット』で、社会のもめ事とか、会社内の人間関係とかの問題が出てきたけど、戦国時代も同じことやってた。現代でもみんなまた繰り返してるんだなあ、って思いながら、ドラマ見てました。テレビや芸人の世界も、立場が違うけど人間関係は同じ。成り上がるために、お金のために、モノを売るために、何かしなきゃ……ってのは、今も昔も変わらない。戦国武将は、それを命がけでやってたってのが違うけどね。
房野 うん。もちろん、今のドラマ、アニメ、マンガも面白いんすけど、戦国時代には、それをすべて包括するくらいのドラマ性がある。
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