信長、秀吉、家康。今の人にたとえると誰?
山本 歴史って、大人になってからどんどん面白くなるものなんだよね。大人になってみないとわからない人間関係で歴史は動いてるから。子どものときはひどい奴だと思ってた武将も、大人になったら、違う思いで見れるようになる。歴史を見てると、たとえば、人をないがしろにする人はいつか必ず痛い目にあうんだ、というのがわかったりね。
房野 人生経験を重ねたから、逆に歴史がわかってくる、みたいなね。
山本 そういうのも面白いよね。
房野 実は僕、家康なんて、子供の頃は全然ピンと来なかったんですけど、今になると好きなんですよ。
山本 それ、わかるわ。歴史ファンの間では、家康好きな人は40~50歳以上に多いってよく言われるよね。
房野 家康の魅力って、めちゃくちゃ考え尽くしてるとこなんですよ。徳川幕府作るときもですけど、そのもっとずっと前からめっちゃ計算してますもんね。
山本 あたりまえだけど、信長だったら幕府になってないと思うんだよ。信長はぶっ壊す人。破壊して革新する、革命児。戦国時代に能力主義を取り入れたりね。だめな人がいたら、ばっさり要らないよって言ったり……
房野 いわゆる「日本人的じゃない」ことをやる。慣例とか慣習を無視したり。
山本 今の人でいうなら、ホリエモンさんが近いなと思う。「これのほうが合理的なんで。こっちのほうが経済回っちゃうからいいじゃん」みたいな感じ……。信長は、破壊して破壊して破壊して、で、グチャグチャになったいろいろ整理したのが秀吉で、最後、それすら見越して未来を構築してたのが、家康だったと。
房野 この3人がいなかったら、戦国時代、面白くないですよね。ベタな3人ですけど。
山本 3人がそれぞれ、いちばん得意なポジションをやった。
房野 20代は信長好きで、30代になると秀吉好きになって、40代以降に家康好きになるって、よく言いますよね。昔は「何言ってんだ」って思ってたけど、最近意味わかってきましたよ。
山本 もちろん何歳でも信長好きはいるけどね。信長は激動の49年を生きた。それって、10代20代の男の子が憧れる「自分が世を変えてやるんだ」っていう人生だと思うんだよね。あんなふうに、かっこよく世の中を変革をした人で、信長以上の人、思いつかない。
房野 10代20代の頃って、やっぱりヒーローに憧れるじゃないですか。信長ってやっぱりヒーローですよ。で、社会に出て少し経って「いやいや現実甘くねえな」とわかると、秀吉に共感してくる。
山本 秀吉は、人間関係がいちばん上手くて、優秀な部下もいて、立ち回りもうまい。
房野 信長のことはずっと好きではありますけど、あれって理想だなって思うんです。実際にできるやつって、やっぱりたった一人のカリスマだけなんだ、みたいなことに、大人になるにつれてだんだん気づくというか。
山本 信長は結局、殺されるべくして殺されたんですよね。明智が殺さなくても別の誰かが殺してたんじゃないですかね。信長のやり方は、無理が絶対出るんで。
房野 そう思うと家康の魅力が見えてきますよね。
山本 家康は、後輩のための時代をどんどん作って、ルールを決めていく。徳川家が長く続くために。
房野 足利も鎌倉も、それまでの幕府は、15代も続ける基盤を作ることなんてできなかったですからね。家康はそれを作ったんですから、本当にすごい。
山本 徳川幕府は、家康が作ったルールずっと守って、6、7割くらいの割合で守って、15代目までやってるよね。でも、最後にとうとう無理が出て、龍馬が出てきて……みたいな。
房野 やっぱり、250年も続けるのってなかなかできないですよ。しかも、いろいろあったにせよ、一応平和な世の中を続けましたしね。
――今の世の中にたとえると、家康って誰なんでしょう?
房野 時代にしたら、今はまだ、家康の手前じゃないですか。ITとかいろんな企業がイノベーションやってるところでしょ。ホリエモンさんとかもだけど、いろんな手法で改革する信長、いや、秀吉なのかな、みたいな人がまず出て、その中の誰かが家康になれば……。
山本 なるほど、歴史に則るとそうかも。
房野 今の時代って、むちゃくちゃ変換期じゃないですか。SNSが発達して、いずれコンピュータが人間の仕事の40%以上を奪うなんて話も出て。家康が出るとすれば、今からかなって。
山本 そうだな。
房野 もしかしたら、コンピュータかもしれないですよ!
山本 本当に、最後はもしかしたら……。
房野 家康コンピュータかも。
山本 コンピュータかもしれないな。
房野 切ないっすけど(笑)
なかなか大きな視点になりました。でも、歴史を知ることは、現代を読みこむ面白さにつながっていくのは間違いないようです。
実際、二人が言うように、現代は今まさに「戦国時代」なのかもしれません。
(撮影:茂呂幸正 構成協力:佐田恭子)
* * *
――話は尽きないので、このあたりで小休止しましょう。おふたりの戦国トーク、後半戦は次回!
そして告知。ここで紹介した六文ジャーの戦国トークライブ「歴史ライブ~軍師と足軽~vol.26」が、5月20日(金)深夜に開催決定。
オープン24:00
スタート24:30
前売り1600(ドリンク代) 当日1900(ドリンク代)
下北沢ろくでもない夜1周年
「歴史ライブ〜軍師と足軽〜vol.26」
【出演】はんにゃ金田、ブロードキャスト!!房野、犬の心いけや(未定)、ロバート山本、桐畑トール、長谷川ヨシテル
【店名】ろくでもない夜
【住所】世田谷区北沢2-6-5 ルイビル3F
【電話番号】03-6804-9567
【お問い合わせチケット予約】69demonai46@gmail.com
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