下司だ、覗き見趣味だと言われようと、文学者の異性関係を知るのは楽しい。彼らが当時の姦通罪に怯え、世間の猛バッシングに耐えながらも不義を重ねたり、人間の痴愚や欲望丸出しで恋愛し、破滅と蘇生を繰り返し、それを作品にまで昇華させるタフさに畏怖すら覚える。小説はモデルなど詮索せず、文章だけを虚心坦懐に読めと言う人もいるけれど、そんなつまらない味わい方はしたくない——。森鴎外から太宰治、芥川龍之介、谷崎潤一郎ほかスター作家62名の赤裸々な性愛の記録。日本文学の真髄と、生の根源がここに。
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