およそ8組に1組のカップルが抱えている、子どもができないという悩み。これまでは女性に原因があるとされがちだった。ところが、医師の石川智基氏によると、約半数にあたる48%は「男性に原因がある」のだという。
この衝撃的な事実を世に広めたのが、石川医師の著書『男性不妊症』だ。常識がガラリと変わる本書の一部を、抜粋してご紹介します。
こんな生活習慣に要注意!
問診では生活習慣についてもお聞きします。造精機能には喫煙やアルコール、食生活も少ないながらも影響を与えます。
大豆食品は女性の不妊に対しては効果的であるといわれていますが、反対に男性の精子形成においては、あまりいいものではありません。
牡蠣エキス入りの健康食品やサプリメント、すっぽんなど絶倫食といわれるものがありますが、精子形成においてエビデンス(根拠)は全くありません。亜鉛は精液量を増やしますが、精子形成には影響を与えないといわれています。
さらにノートパソコンの膝の上での長時間の使用、サウナへの長時間の滞在、自転車に長時間乗る趣味があるかなど尋ねます。
内服薬も「男性不妊」の原因に
また服用している薬剤によっては精子に影響を与えるものがあるので、内服薬があれば教えてください。たとえば、ある抗うつ薬は精子の運搬を停滞させることが知られており、男性不妊の原因になりえます。
また、育毛剤を内服しておられる方も注意が必要です。ある育毛剤の主成分であるフィナステリドは、男性ホルモンを抑制する抗アンドロゲン薬の一種であり、男性型脱毛症(AGA)の主原因の一つとされるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制する働きがあります。
DHTは男性ホルモンであるテストステロンが5α―リダクターゼと結びつくことによって生成され、血中のDHT濃度が高いほど男性型脱毛症は重症化していきます。フィナステリドはこの5α―リダクターゼの働きを抑制し、血中のDHT濃度が高まるのを防ぎます。
フィナステリドは、もともと前立腺肥大症の治療薬として使用されていた薬です。副作用として精子数の減少、勃起不全、射精障害などが理論的には考えられます。実際に用量を守っていれば、このような副作用が起こることは稀とされていますが、もともと造精機能が悪い方は、こういった薬がきっかけで一気に低下してしまう場合もあります。