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アメリカ中間選挙レポート

2018.10.01 公開 ポスト

第3回

テッド・クルーズは民主党のジャイアントキリングの標的に。「オバマ2.0」と持て囃されるオルークとの接戦に、全米が注目【テキサス州】渡瀬裕哉


 

 

 


レストランで安全に食事すらできない保守派の共和党議員

 さて、今回は上院議員選挙の最重要選挙区を紹介しよう。それは共和党の金城湯池である南部テキサス州である。しかし、現在、テキサス州では大異変が起きており、2016年大統領選挙の共和党予備選挙でトランプと指名争いをしたテッド・クルーズ上院議員が苦境に立たされている。

 同氏は保守派の代表格の上院議員であり、連邦議員の保守度を評価しているAmerican Conservative Unionのレーティングで最高得点を記録している人物だ。筆者が2012年に来賓として招待されたダラスで行われた数万人規模の大集会でも保守派支持者から嵐のような「テッド」コールが巻き起こる人気ぶりだった。

 そのクルーズが苦戦している原因は、共和党内からのトランプ大統領への反発と同州の人種構成の変化のダブルパンチにある。テキサス州は2016年の大統領選挙では実はヒラリーがトランプを激しく追い上げた地域の一つでもある。同州のように大統領選挙で反トランプを掲げた共和党の大物政治関係者が存在する南部地域にはトランプ政権への反感が根強く残っており、さらに増加を続ける中南米系の移民による人口構成の変化の影響を受けて従来からの選挙情勢に変化が生じているのだ。

 選挙情勢に目ざとい民主党陣営は今回の中間選挙におけるジャイアントキリングの対象としてクルーズを明らかに選んでいる。テキサス州で共和党現職議員の首を取ればトランプ政権に立ち直れないレベルの政治的ダメージを与えることになるからだ。

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アメリカ中間選挙レポート

11月6日の米国議会選。トランプ大統領の共和党は勝てるのか? 著者独自の情報源と現地報道をもとに、刻一刻と変わる中間選挙の行方を共和党視点で分析。アメリカは変わるのか変わらないのか。この結果が日本にもたらすものとは?

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渡瀬裕哉

1981年東京都生まれ。国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。創業メンバーとして立ち上げたIT企業が一部上場企業にM&Aされてグループ会社取締役として従事。著書に『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか―アメリカから世界に拡散する格差と分断の構図』(すばる舎)などがある。

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