民主党が頭を抱える問題候補者メネンデス
ニュージャージー州は米国民主党の上院議員にとっては鉄板選挙区である。リベラルな土地柄は同党に1990年代半ばから上院で確固たる議席を与えてきており、2016年大統領選挙でもヒラリーがトランプを55.5%対41.4%の得票差で突き放している。しかし、2018年中間選挙では「ディープブルー」(民主党圧勝地域)であるはずのニュージャージー州上院議員選挙で民主党は大きなトラブルを抱えている。
トラブルの原因は、再選を控えているボブ・メネンデス上院議員その人自身である。
メネンデスは上院外交委員会の重鎮として、トランプ政権の北朝鮮に融和的な姿勢を厳しく批判し、超党派で対北朝鮮制裁強化法案を主導してきた人物だ。昨今では共和党議員よりも民主党議員の方が党派的な対立の影響で対北朝鮮強硬姿勢を示しており、メネンデスはその筆頭格となっている議員である。2018年6月には共和党の内反トランプ派議員であるボブ・コッカ―上院外交委員長とともに、メネンデスも上院外交委員会筆頭委員として、訪米中の河野太郎外務大臣と面会して意見交換を行っている。メネンデスの外交専門家としての見識は高く評価されている。
一方、メネンデスは民主党の腐敗シンボルのような扱いを内部からも受けている。メネンデスは2013年にフロリダ州在住の支援者とドミニカ共和国に支援者が持つ自家用ジェットで旅行しており、その中で買春疑惑すらも浮上して衆人の耳目を集めることになった。その後14の罪状にも及ぶ腐敗に関連する裁判の判決が2017年11月に行われた際に陪審不一致による評決不能という曖昧な判断が行われた。そのため、すっかりワシントン政治の腐敗のシンボルとなってしまったメネンデスは、2018年予備選挙でリサ・マコーミックという無名の運動家による選挙に全く資金を使わないキャンペーンに対して62%対38%という不本意な得票しかできず、民主党内からの不人気が表面化する事態となっている。
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アメリカ中間選挙レポート
11月6日の米国議会選。トランプ大統領の共和党は勝てるのか? 著者独自の情報源と現地報道をもとに、刻一刻と変わる中間選挙の行方を共和党視点で分析。アメリカは変わるのか変わらないのか。この結果が日本にもたらすものとは?
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