「ビリギャル」の坪田信貴さんの『才能の正体』が刊行されて、すぐ――。
はあちゅうさんが「この本はすごい。」とツイートしてくださったのです!→→→
しかも、「『才能の正体』は私が頭の中でもやもやと浮かばせていたことが全て論理立てて説明されていた。」と書かれていました。
これはもう、もっといろいろ聞きたいではないですか!?
はあちゅうさんの”頭の中”も聞きたい。
坪田さんの本の”すごい”ところも聞きたい。
そんなわけで、アツいオファーに、はあちゅうさんがお応えくださいまして、オンラインサロンの公開イベントとなりました。そのリポート、前半です。
才能とは、なにか?
〜「もともと持っているもの」なんかじゃなく、「磨くもの」
はあちゅう 『才能の正体』、ご出版おめでとうございます。共感するポイントが多くて、感動しながら読んでいました。なぜ今回、「才能」を新刊のテーマにされたのですか?
坪田 僕は今、坪田塾で生徒に指導しているほかに、吉本興業の社外取締役も務めているのですが、そこで吉本の芸人さんたちと仲良くさせていただいている間に「この人たち、才能があるなぁ」と思う瞬間がたくさんあるんです。たとえば、キングコングの西野さんもその一人。彼の2015年の独演会と2014年の独演会を比べて見ると2015年のほうが断然おもしろい。また僕は、はあちゅうさんの本を昔から読ませてもらっているのですが、アップデートされているのがよくわかります。それは内容だけでなく、表現の仕方も含めて洗練されていると思うんです。『「自分」を仕事にする生き方』を読んでも、そう思いました。
はあちゅう ありがとうございます。
坪田 僕が伝えたいのは、「才能とは、皆が最初から持っているものではなくて、ヤスリで磨いていくもの」ということ。しかもそのヤスリも一種類ではない。最初は荒いヤスリから、徐々に紙ヤスリのような目が細かなものに変えていく。「才能がある」と言われる人は、必要なときに自分を磨くヤスリを変えて、輝きを増している人なのだと思います。
はあちゅう 「もともと才能がある人はいない」と著書でも書かれていましたね。
坪田 ずっと昔から「地頭がいい」「あの人は元々、才能があったよね」というセリフがありますが、これを聞くと僕は「いったい、アナタにはどれだけの才能センサーがあるの?」と思ってしまいます。以前、フィギュアスケートの羽生結弦選手が平昌五輪で金メダルを獲ったときも、定食屋で「あの子は、本当に才能があるのね〜」と話しているおばちゃんたちがいました。それを聞いた僕は「なんで、あなたになぜそれが判別できるの!?」と思ってしまったんです。だって、そのおばちゃんは多分、フィギュアスケートをやったことはないだろうし、テレビで試合の結果を見ているだけ。よく考えたら、会ったことない羽生選手に対して、「あの人は才能があるから」と言うのは、上から目線ですよね。
はあちゅう 才能があるかどうかなんて、人間を作った神様でもない限りわからないものですね。
坪田 これは相手を褒めているようで、実は自分が「上から」になるための言葉なんです。「あいつは元々、運が良かったから」と自分のルサンチマンを晴らすための言葉と同じと言ってもいい。
はあちゅう 羽生選手のように、なにか素晴らしい結果を目の当たりにすると、「その才能のせい」と思われがちですが、当人の努力を見るべきで、それを見てほしいとも思いますね。
坪田 しかも自分自身ですら、自分の中にどんな才能があるかなんてわからないものです。
はあちゅう 自分がわからないものは、そもそも他人からわかるわけがないですよね。私も最近、インスタで猿の絵をモチーフにした『旦那観察日記』というマンガを書いているのですが、これを知ったとある方から、「18歳からはあちゅうを見続けてきてきたけど、はじめて才能があると思った」と褒められたんです。そのときに「あ、私って、猿の絵を描く才能があったんだ…」と思いましたね(笑)。
坪田 「猿の絵を描く才能」なんて、なかなか誰も言わないですよね(笑)。
はあちゅう 結局、それはフォロワーが増えたとか、アメブロのアクセス数が良かったなどの「結果」が出てからはじめて周りから「才能がある」と言われるのだと思いました。才能とは、いつか誰かが教えてくれるものではなく、自分で磨いていくうちに結果が出たものなんですよね。
坪田 『旦那観察日記』に関しては、これまではあちゅうさんはブログやSNSやエッセイなどで「等身大の自分をどう出すか」という訓練をし続けた結果ですよね。それまで「ピン」で表現力を磨いて、どんな風に世間が反応するのかを炎上を含めて経験し、さらにサロンの人たちとの密な交流でコミュニケーション力を磨き続けた。その結果、結婚してコンビになった瞬間に爆発したものだと思います。
はあちゅう 確かにこれまで経験した様々なプロセスがなかったら、そこまでたどり着けなかったものだと思いますね。
才能の伸ばし方
〜今の教育は「欠点凝視」。未来を明るくする教育は「美点凝視」。
はあちゅう 坪田先生は、どうやって塾の先生へたどり着いたのですか? 誰も「君は才能があるから塾の先生になって、『ビリギャル』という本を出すんだよ」なんて教えてくれませんよね。
坪田 もともと僕は母子家庭で貧乏だったので、とにかく起業をして成功してお金持ちになりたかった。教育の道を志したのは、それからですね。とある本に“才能のある人”はアートや教育の道に進む、と書いてあったのに感銘を受けて、そこから教育、人を育てることに興味を抱きました。ただ終始、学科を教えることよりも、自信のない子に自信をつけてもらうのが重要だと思っていますね。受験勉強も大学へ進学してからも、いろいろな生徒さんの人生を応援するのが楽しいです。
はあちゅう 坪田先生がこの本の中で「相手を信頼できて、相手から信頼されていると感じられるところでなら、人は存分にその能力を発揮できる」とか書かれていますが、これはまさに私がオンラインサロンでやりたいと思っていることそのものです。褒めて伸ばす優しいコミュニティの中では、メンバー全員がこれまで会社や家庭では気づかなかった能力を伸ばしていけると思っています。
坪田 本当にそう思います。
はあちゅう 褒められると頑張ろうと思うのは、主催者の私も同じです。今はインスタで『旦那観察日記』を1日3〜4回投稿しているのですが、正直、書くのはしんどいんです(笑)。ときどき移動の飛行機の中で書くこともあるぐらい。でも投稿した瞬間に「いいね!」をもらったり、褒めてくれるコメントを見ると嬉しいんですよ。やっぱり人は、褒められて木に登るものなんだなと思いますね。
坪田 そうですよね。学校でも家庭でも、「欠点凝視」じゃなくて「美点凝視」という考えがすごく重要です。でも今の日本では、小学校のころから、自分がやりたいことをやるよりも、「一時限目は国語、二時限目は算数」というように決められたことを順序通りにやらないといけない。そういう環境の中では、自分に対して「これができなかった」とか「あれに間に合わなかった」など欠点凝視の習性がおのずと身についてしまう。それに対して、美点を凝視できる環境や仲間があると人は変わりますよね。
(後半へ続きます)
(取材・構成/アケミン)
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才能の正体
コロナ禍は、学習シーンにも大きく影響し、休校になったり、授業がオンラインになったりした。学校の授業だけでなく、塾も、部活も、コロナ前の体制に戻るには時間がかかりそうだ。いや、そもそも、戻らないのかもしれない。
でも、だからといって、能力を伸ばせなくなったわけではない!
「才能の本質」について知れば、体制に関係なく、能力を伸ばすことはできる。
学年ビリのギャルが1年で偏差値が40も上がり、慶応大学に合格できたのは、坪田先生との出会いのおかげだが、その『ビリギャル』の坪田先生が、「才能とは何か」について余すことなく書いたのが、ベストセラー『才能の正体』。
その『才能の正体』が文庫化されました! 文庫化記念で、本文を公開します。
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