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バタフライボード制作秘話

2019.08.02 公開 ポスト

「かく」ことは、自己改革でありコミュニケーション幻冬舎編集部

モノづくりとは、素材のキュレーション

石原 アナログといえば、絵本はほぼデジタルが普及していない世界です。でも図書館で借りる人が大多数なので出版社としては困るよねという話をしていたら、集英社の堀内社長が実はそんなことはないと言うんです。

図書館で借りて、子どもが触ったり読んだりすることで、この本いいなという気持ちが生まれ、返却後に購入につながる。まわりくどい方法かもしれないけど、触れてみないとわからないことがあって、図書館はその役割を果たしていると。

 

福島 触ったり匂いをかいだり、それこそアナログのいいところですよね。僕のなかで絵本は、読めるし、触れるし、そのうえ描けてもいいツールだと思っています。とくに子どもには、自分ならこうしたいという発想が芽生えるものです。

 

石原 なるほど、二次創作ですね。オリジナルから新しいものが生まれ、新たな需要を生むというのはコミックの世界ではよくあります。

福島 絵にしても字にしても基本があって、誰かが何かを加えて新しいものになる。世の中のほとんどのものが、そうして誕生したものだと思います。

 

大内 まったくオリジナルなものは、そうそうありませんよね。

 

福島 バタフライボードも世の中にある何かをちょっと形を変えて組み合わせてつくりました。そういう意味では、材料のキュレーションをしている感覚ですよね。何と何を組み合わせればどうなるという物理現象です。

石原 モノづくりは材料のキュレーション、おもしろい考え方ですね。

 

福島 世の中にあるものを組み合わせたり、見せ方を変えたり、ちょっと不便な部分を改善させたりするだけで新しいものができあがる。そういう発想をすれば、もっといろんなものが生まれてくる気がします。

 

大内 私も納得してしまいました(笑)。福島さんはマテリアルの知識の宝庫。だから、スピーカーから文房具まで新しい商品を生み出せるんですね。

 

クリエイティブな自分を思い描けるブランド力

石原 ペンもホワイトボードと一緒に開発されたんですよね。

 

福島 インクメーカーさんと一緒に開発しました。既存のマーカーには太いものしかなくて、バタフライボードにはサイズが合いませんでした。インクメーカーさんに相談したところ、実はやりたかったけど大手の企業では無理だったと。

なぜなら一筆めは絶対にかすれてはいけないなど厳密な基準があるからです。細いとかすれやすいんですよね。でも、僕は1回目でかすれても2回目でかければいいと伝えました。

 

石原 1回目はかすれてもOKという発想がいいですよね。それはハードルを下げることとは違う。ダメなものはダメというこだわりはあるけど、どこをすくい上げるかでつくれるものは変わってきます。

 

福島 たとえ1回目がかすれても結局きちんとかけるのでクレームは一度もありません。それよりも細くて消せるマーカーの需要がまさっていたということでしょうね。ペンの開発もそうですが、大手ができないことを僕らがやっていくことに意義があると思っています。

でも、単に新しい商品をつくるだけではダメなんです。すでに認知されている大手メーカーと勝負するには、「想像」「創造」してもらえるブランド力が必要です。

 

石原 というと?

 

福島 これはBOSE時代に学んだことですが、昔BOSEのタグラインに「Professional Sound From USA」というものがありました。日本人にはアメリカへの憧れがあるので「なんかすごいな」と思わせるし、「プロのサウンドって何?」みたいな興味もひきます。

タグラインのつけ方で、いい音と思ってもらえる雰囲気が出せるんです。もちろん、BOSEは実際に音もいいですけどね。

同じようにバタフライボードで考えたタグラインが「Hello Idea」です。

 

福島 音楽を聴いてモチベーションを上げるという人は多いと思いますが、文房具の世界でもそれはできるはず。大手に勝つブランド力を築くには、これを持つだけで仕事がやる気になる、バタフライボードを使うことでアイデアが浮かびそうと思えるような打ち出し方が必要です。

 

石原 僕はモンブランのペンを使っています。しかも3万円もする高価なもの。でもよく考えたら必要なのは中身のペン軸だけで、外枠のボディがついているから高価になる。中身は1000円くらいでしょう(笑)。それでも使いたくなるし、持っているだけでちょっとウキウキします。

 

福島 それがブランドの力なんです。ブランドというのは、それだけでモノの価値を上げてくれる。モンブランを持つと頭がよくなった気がするとか、字がうまくなった感じがするとか。そう思わせるブランドってすごいと思いませんか。

 

大内 バタフライボードも「持っているだけでクリエイティブな自分になれそう」と思わせてくれます。

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バタフライボード制作秘話

バタフライボードとは
特許技術スナップ・バインディング・テクノロジーにより、大きなホワイトボードを持ち歩けるノートサイズに小型化した新たなコミュニケーションツールです。”かく、消す、貼る、広げる、共有する” という機能を高次元で融合し、いつでもどこでもアイデア創出が可能です。

 

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