英語がしゃべれるようになりたいけど、この歳では今さらもう遅い……。そんなふうにあきらめていませんか? しかし、TOEICテスト満点を5回達成した経験を持つミステリ作家、清涼院流水さんによると、英語を習得するなら時間とお金に余裕があり、経験豊富な50歳からがベストだそう。著書『50歳から始める英語』には、その独自の勉強法が詰まっています。中身を少しだけお見せしましょう。
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こんな読み方していませんか?
「どうすれば英文を速く読めるようになりますか?」というのは、筆者がもっとも多く受けた質問のひとつです。英文を速く読める“裏技”は存在しませんが、精読で理解した文章をくり返し読み、“返り読み”せずに読めるようになれば、速く読めます。
英語と日本語では語順が違うため、リーディングでは、つい“返り読み”をしてしまう、という学習者は多いはずです。たとえば、次のような英文があったとします。
I wonder whether I could master English, even if I start learning after the age of 50.
「ええっと、I wonder whether……は『私は、whether以降の内容を不思議に思う』で、whetherは、『~かどうか』。その後ろはI could master Englishだから『英語を習得できる』。canの過去形のcouldになっているのは、推測のニュアンスかな?
まずカンマの前までを訳すと、『私は、私が英語を習得できるかどうかを不思議に思う』。で、カンマの後ろはeven if……『たとえif以降だとしても』。で、ifの後ろ、I start learning after the age of 50.は、『50歳を過ぎて学び始める』。
ということは、カンマの後ろを訳すと、『たとえ50歳を過ぎてから学び始めても、』か。後半と前半の訳をつなげると、全体では、『たとえ50歳を過ぎてから学び始めても、私は英語を習得できるだろうか』という意味か。なるほど」
何度も「音読」しよう
このように、何度も前に戻りながら訳すのが“返り読み”です。“返り読み”をしていると、同じ文章を2度、3度読むことになりますので、そのぶん時間が余計にかかります。英語の語順に慣れていない初級者や中級者が“返り読み”をしてしまうのは仕方ないのですが、リスニングの場合は音声が流れ続けるので、“返り読み”できません。
リスニングで“聴くと同時に理解”できるようになるためには、まずリーディングで“文頭から読むと同時に理解できる”状態になることが理想で、そのためには、すでに理解している英文を何度も音読することが効果的です。
本の付録CDなどのネイティヴ音声を流しながら、発音やイントネーションがお手本のネイティヴ音声に重なるように、自分がモノマネ芸人になったくらいのつもりで自分の声を重ねるオーヴァーラッピングをすると、発音練習にもなり、一石二鳥です。
オーヴァーラッピングのトレーニングをされる際に、「意味をきちんと理解していないけど、とにかく英文を音読する」という状態にならないように、音読する英文の内容を理解できているかどうかはチェックしてください。意味を理解していない英文を音読するのは、発音練習にはなっても、読みながら英文を理解する練習にはならないからです。
初見では“返り読み”しないと読解できなかった英文も、いったん意味を理解した上で音読すると、文頭から読みながら意味が頭に浮かぶようになっていきます。
このように、理解している英文をオーヴァーラッピングで音読するトレーニングをくり返していると、似たような構造の英文は、初見でも“返り読み”せず読むと同時に理解できるようになります。そうして、リーディングで英文を文頭から語順通りに処理できるようになれば、リスニングでも“聴くと同時に理解できる”ようになっていくのです。