活性酸素をおさえる緑黄色野菜の作用前田浩

日本人の新型コロナウイルスの感染者数と死亡数は、欧米に比べてなぜ少なかったのか。今後、「夜の街」問題はどうするのか。ファクターXは何なのか。予防に手落ちはないか？　抗がん剤の世界的権威にして細菌学・ウイルス学のエキスパートが、私見を含め、最新の疑問に答える。

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この活性酸素を消去する物質は抗酸化力のある物質で、ビタミンC、K、Eなどが有名ですが、それ以外に無数のフラボノイド、カロテノイドあるいはポリフェノールと呼ばれる緑黄色野菜に含まれる成分であり、それらを総称してファイトケミカルと云われる成分であることも、我々の研究では明らかにしています。

ただし、野菜の細胞壁は頑丈にできていて、生野菜をよく噛んで食べるくらいではすべての細胞は壊れません。野菜を煮ると、その植物細胞は破裂し、その成分は煮汁の中に抽出されるので吸収され易くなります。即ち、野菜はスープにして食べるのが一番効果的なことも実験の過程でわかりました。

そう考えると、日本人の多くがインフルエンザが流行する冬に、野菜がたっぷり入った鍋料理を好んで食べ、しかも最後に残った汁は雑炊にして食べきる。これは理想的な食事と言えるのではないでしょうか。しかも、和食は野菜を煮たものが多くあり、こうした食生活が日本人の死亡者数の少なさの一因とも考えられます。これからは、一年中ぜひ野菜たっぷり鍋を食べて下さい。

ウイルスに感染しても、毎日の食事で、習慣的に緑黄色野菜を加熱して食べている人は軽症で済むか、早い回復が期待できるといえるからです。

コロナウイルスに罹(かか)りはしないかと不安な思いでいる人たちには、自分でできる簡単な予防方法の一つとして、緑黄色野菜のスープを毎朝食べるという習慣を、ぜひ実践して欲しいと願っています。

野菜のうちでもキノコや野菜の多糖類は、加熱すると可溶化し吸収され易くなり、とくにこれらの多糖成分は腸管から免疫力を高めることが期待されます。その結果は初期の感染防御に重要な意味を持つと云えます。さらに植物多糖は腸内の善玉菌を増やし、免疫力にも寄与します。

緑茶がインフルエンザウイルスを殺し有効であるとか、ヒト成人T細胞白血病の発症を遅らせるとの報告もあり、緑茶もコロナCOVID-19にもよいかもしれません。東アジアはお茶の消費量が多い地域であり、そこの地域はコロナ（COVID-19）の死亡率が低いのと一致する理由なのかどうかが気になります。 

前田浩『ウイルスにもガンにも野菜スープの力』

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