他人に誤解されることが多い。昔のことをいつまでも引きずってしまう。人の気持ちを気にしすぎて常に自分を責めてしまう……。
世界で5人に1人が生まれながらに備えているという、刺激に対して非常に反応しやすい気質、HSP(Highly Sensitive Person)。脳科学医でありながら長年この「敏感な気質」で苦しんできたという高田明和さんが執筆された『脳科学医が教える 他人に敏感すぎる人がラクに生きる方法』から、同じように悩む人たちへ、生きづらさとうまく付き合っていく方法をご紹介します。
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居心地が悪いと感じたら積極的に逃げる
騒々しい場所や人ごみといった刺激が多い場所、また負の感情を抱えた人のそばなどは、どれも超過敏な人にとっては居心地の悪い場所です。「自分が我慢すれば大丈夫」と思っても、小さなストレスは積み重なって大きな負担になり、やがて体の不調となって表れます。少しでも居心地が悪いと感じたら、できるだけその場から離れましょう。
たとえば、線路に近い場所に住んでいて、日々電車の轟音(ごうおん)に悩んでいる、あるいは職場でいつも苛立(いらだ)っているような人がいて、自分にまで負の感情が伝わってくるなど、他の人にとっては些細なことでも、超過敏な人にとっては大きな問題です。猛獣ににらみつけられながら生活しているようなものといっても過言ではないくらいです。
安心・安全の確保は生物の本能です。猛獣ににらみつけられているときに、自分が我慢してもどうにもなりません。超過敏の人は、自分の都合で何かから逃げることはわがままで、悪いことと考える人が少なくありませんが、自分の安心と安全を最優先にしてその場から退避することは、決して悪いことではありません。
逃げるといっても、その場から完全に立ち去ることは難しい場合も多いでしょう。そんなときは、ちょっとトイレに行くといったことでもかまいません。ひとりになって脳を鎮めることで、ストレスを軽減できます。また、自分のパートナーなど、一緒にいて安心できる人のそばにいることでも守りになります。
それも難しい場合は、自分の中に逃げ込むという手もあります。目を閉じて、安全な場所をイメージし、自分はそこで守られていると考えるのです。現実逃避というと悪い意味で使われがちですが、居心地の悪い環境や状況から逃げ出す方法ですから、これは必要な現実逃避なのです。
呼吸法で心を落ち着かせる
第三者からすれば悩むことはない些細な出来事でも、超過敏の人にとっては大問題になることがあります。どんなに小さなミスや過ちも取り返しのつかないことのように思えてならず、深く悩んでしまうのです。なんとかそれを忘れようと頑張ってみても、逆に悩みに意識が集中してしまうばかりで空回りし、焦る一方で動揺はなかなか治まらないものです。
超過敏の人に限らず、何かに焦ったり悩んでいたりするときは、呼吸が浅く、速くなりがちです。すると酸素が脳にうまく行き渡らず、ますます考えはまとまらなくなっていきます。
そんなときに効果を発揮するのが呼吸法です。
これは坐禅やヨガ、瞑想(めいそう)でも用いられている方法で、決して難しいものではありません。
激しく動揺してしまったときや悩みが頭から離れなくなったら、できるだけ静かな場所に行き、楽な姿勢で座り、背筋を伸ばして軽く目を閉じます。そして次に、お腹をへこませながらゆっくりと、肺の中の空気を出しきってしまうように息を吐きます。吐ききったら、今度はお腹を膨らませながら、ゆっくりと、全身に行き渡るようなイメージで息を吸います。自分の呼吸に集中しながら何度かこれを繰り返します。集中しづらい場合には、呼吸に合わせて心の中で数を数えてもよいでしょう。
静かな場所で目を閉じて呼吸に集中すると、外からの刺激をシャットアウトできます。心が乱されてしまったときや就寝前など、落ち着きたいときに試してみてください。
脳科学医が教える他人に敏感すぎる人がラクに生きる方法
他人に誤解されることが多い。昔のことをいつまでも引きずってしまう。人の気持ちを気にしすぎて常に自分を責めてしまう……。
世界で5人に1人が生まれながらに備えているという、刺激に対して非常に反応しやすい気質、 HSP(Highly Sensitive Person)。長年この「敏感な気質」で苦しんできたという高田明和さんが執筆した『脳科学医が教える他人に敏感すぎる人がラクに生きる方法』から、同じように悩む人たちへ、生きづらさとうまく付き合っていく方法をご紹介します。