コロナの蔓延によって、病と死の不安に脅かされている昨今。そんな時代だからこそお薦めしたいのが、現役看護師にして僧侶でもある玉置妙憂さんの『すべてあなたが決めていい』です。医療と宗教、両方の立場から「生き方」と「逝き方」を説く著者は、「クローズアップ現代+」や「あさイチ」でも取り上げられ、反響を呼んでいます。今回は、人生の残り時間を豊かにするための考え方を説いた本作の一部を、ご紹介します。
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まず自分が幸せになろう
あなたは、どのような人生の最期を迎えるのでしょうか。
「死」について考えてみることは、死に方について周到に準備するというより、これからどんな風に生きていきたいかに思いをめぐらすことにつながっていくようです。
もしも、あなたが余命わずかだと知らされたら、そのかけがえのない時間を何に費やしたいですか? 誰と過ごしたいですか?
普段なら考えないような問いを自分に投げかけてみると、日常に埋もれていたり、気づけていなかったりした心の声が聞こえてくるかもしれません。
仕事が落ち着いて、時間がゆっくりできたら。
子育てで忙しいから、自分のやりたいことは後回しに。
将来、年金がもらえないかもしれないから今は我慢。
優しい人やがんばり屋さんほど、誰かのため、周囲のためと、自分より他人の状況を慮ってしまうことが多いですが、お釈迦様の言葉には「自利をもって利他行に励め」という教えがあります。
先に満たすのは自利、自分の幸せです。他人ではなく自分で自分自身を幸せにして、そのいっぱいの幸せの中から他人に差し上げる。そうすると、みんなの幸せがぐるぐると回っていくという意味です。
いつかは「今」でもいい
自分の心を満たすもの、持ち続けている夢や叶えたい望みがあるならば、どんどん前倒ししてみるのはどうでしょうか?
いま、あなたが本当にやってみたいことは? と尋ねられたときに、すぐ思い浮かんだものを書き出してみませんか。
・一度は行ってみたかったレストラン
・挑戦したかった習い事
・友達や恋人に感謝を伝えたい
・家族と久しぶりに会って話したい
・着てみたかった洋服
・訪れたかった思い出の場所
人は「願っていること」や「強く信じていること」を引き寄せるようにできていると、皆さんも聞いたことがあるかと思います。年齢、お金、環境などいろんなことに配慮して、未来のためにとっておいた楽しみを棚卸ししてみると、すぐにでも実現できることが見つかるかもしれません。
すべてあなたが決めていい
コロナの蔓延によって、病と死の不安に脅かされている昨今。それは気づかぬうちに、私たちのメンタルも蝕んでいます。そんな時代だからこそお薦めしたいのが、現役看護師にして僧侶でもある玉置妙憂さんの『すべてあなたが決めていい』です。医療と宗教、両方の立場から「生き方」と「逝き方」を説いた本書は、「朝日新聞」など各紙誌や、「クローズアップ現代+」「あさイチ」といった番組でも取り上げられ、反響を呼んでいます。今回は特別に、その内容を一部、ご紹介しましょう。