乃木坂46イチの才女、山崎怜奈さんのはじめての本『歴史のじかん』。
専門家の先生方と山崎さんの座談形式で、全14個の歴史テーマを語り尽くした書籍です。
歴史が好きな方も苦手な方も楽しめるこちらの一冊、試し読みをお届けいたします。第4回は2020年の大河ドラマにも取り上げられた明智光秀がテーマです!
* * *
明智光秀「本能寺の変」じゃないトコロの話
2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の主人公、明智光秀。
明智光秀といえば、本能寺の変。織田信長を討ったことで、謀反人だとか、天下の極悪人といった、不名誉な言われ方をしていますが、実はすごく魅力的なんです。私は大河ドラマの特番に出演させていただいたのをきっかけに、明智光秀のことがすごく好きになりました。
ここでは、教科書には絶対載っていない、明智光秀の意外な一面や内面を掘っていこうと思います。めざせ、名誉挽回!
今回の先生
小和田哲男さん(静岡大学名誉教授)
歴史学者。2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の時代考証を担当。『明智光秀と本能寺の変』(PHP文庫)など著書多数。大河ドラマの時代考証は七作品目という大ベテラン。
安田清人さん(三猿舎・編集長)
編集プロダクション三猿舎代表。歴史雑誌・書籍の編集・出版を数多く手掛ける。著書に『時代劇の「嘘」と「演出」』(洋泉社)など。小和田先生とは著者と編集者の関係で長いお付き合い。
第一章 明智光秀ってどんな人?
謎に包まれた、明智光秀の出自
山崎 ▼ まず、明智光秀とはどういった人物だったのでしょうか。
小和田 ▼ 前半生は謎だらけですね。生まれた年すら分かっていません。
出自について正確な史料は残っていないんです。
山崎 ▼ なぜですか? たしか、歴史上に名前を残し始めるのが三十八歳ぐらいですよね。
小和田 ▼ それは、豊臣秀吉が天下を取ったからです。要するに、歴史上の“敗者”ということになりますので、悪く書かれてしまう。
山崎 ▼ 語り継がれる歴史って、「勝者の歴史」ですもんね。
小和田 ▼ また、光秀と関係があった人たちが、光秀との関係がばれるとまずいから、証拠を消してしまうという場合もあります。例えば、光秀と関係のあった京都のお公家さんの日記には、正本と副本の二つがあるんですよ。
山崎 ▼ どういうことですか?
小和田 ▼ 光秀のことを書いた日記と、全くそれを消してしまった日記の二つに分けているんです。
山崎 ▼ 日記の副本まで作るほど、隠したかったんですね。
小和田 ▼ 秀吉に見つかって、「お前、光秀と親しかっただろう」と言われたら、左遷されるかもしれないという怖さがあったのでしょうね。
山崎 ▼ 秀吉を恐れて、改ざんされたんだ。かわいそうですね……。安田先生は、光秀の出自に関してどうお考えですか?
安田 ▼ 光秀の出生地にも、幾つか説があります。一番有名なのは今の岐阜県、美濃の国ですね。ほかにも、今の滋賀県、近江の国で生まれたとか、今の兵庫県のあたりで生まれたとか。
山崎 ▼ 出自を描くであろう、ドラマの前半はどうなるんですかね。
小和田 ▼ やはり明智荘を採用するのではないでしょうか。明智姓の由来と言われる荘園です。
山崎 ▼ でも、これだけ世間的な知名度の高い人物なのに、前半の人生が分からないなんて、珍しいケースですね。
インテリで教養人。しかも部下思い
山崎 ▼ 出自には諸説あるとして、人間性はどうだったんですか?
小和田 ▼ 光秀自身は、インテリで、教養人。歌会やお茶会などの、文化面でも優れた能力を持っていました。
山崎 ▼ モテそうですね(笑)。
小和田 ▼ 実は信長の時代のお茶会は、今みたいに誰でも簡単に開けるわけではなかったんです。信長から、名物茶器と言われるお茶碗とか釜とかをもらった人だけが開けるものでした。
山崎 ▼ 許可をいただくだけじゃなくて、使う道具までも指定されていたんですか!
小和田 ▼ 道具をもらうと同時に、「これ使ってお茶会を開いていいよ」っていう許可が与えられるんです。信長の家臣の中でも、指で数えられるほどの人数しか認められていませんでした。
山崎 ▼ 貴重な茶器を与えられるほど、光秀は信長から信頼されていたんですね。
安田 ▼ 光秀についてよく言われるのは、とても部下思いだったということです。部下の身の上を案じたり、怪我を心配したり、そういうことが伝わっています。
さて、ここで光秀に関しての問題です! 部下思いな光秀は、若い頃ある学問を勉強していました。さて、その学問とは何だったでしょう。
山崎 ▼ え? 何だろう?
安田 ▼ 意外といえば意外です。「武将なのに」、という意外性です。
山崎 ▼ うーん、何だろう? 武将なのに料理がうまいとか?
安田 ▼ それは面白いですけど、ちょっと違いますね。
山崎 ▼ 部下思いだから、人をもてなすことができるのかなと思ったんですけれど……。正解は何ですか?
安田 ▼ 正解は、医学です。戦国武将自身が医学を勉強したという例は、あまりありません。徳川家康が薬に詳しかった、とかはありますけれども。明智光秀は、若い頃にどうやら医学の勉強をしていたらしいのです。最近見つかった記録の中には、明智光秀が医学書を口伝えで教えたという話が出ているんです。すっかり習得しているということですよね。
山崎 ▼ 医学の知識をもって、部下を大切にしたんですね。ほかにも、家臣思いということが分かるエピソードはありますか?
小和田 ▼ 一番有名なのは、戦いで亡くなった家臣十八人を偲ぶために、お寺に供養米を納めたというエピソードです。ほかの武将で、そういう話はまず聞かないですね。
安田 ▼ 一人一人名前を挙げて、一人一升何合とか、書いてある文書が残っています。
小和田 ▼ しかも、最後の十八人目に「中間」って出てくるんですよ。中間とは、城内の雑務を担当する、武士の最下級にあたる役職で、名字も持っていない。身分の低い人にまで分け隔てなく、お米を供養として寄進している。
山崎 ▼ それは心が広いですね。
* * *
明智光秀の知られざる素顔とは、一体どんなものなのでしょうか。
続きはぜひ、書籍でお楽しみください!
★山崎怜奈さんの内容紹介動画、Twitterにて公開しています★
山崎さんによる内容紹介動画、四つ目は先週末最終回を迎えた「#麒麟が来る」でも描かれた明智光秀。コラムの感想もぜひ #歴史のじかん でつぶやいていただけると嬉しいです?#歴史のじかん #山崎怜奈 #乃木坂46 pic.twitter.com/rSrJJcmodI
— 【公式】乃木坂46山崎怜奈はじめての書籍『歴史のじかん』 (@rena_history) February 9, 2021
歴史のじかん
2021年2月10日発売、乃木坂46山崎怜奈さんの初めての書籍『歴史のじかん』に関する情報をご紹介します。
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