日本経済が低迷し、苦しい生活から抜け出せないのは、取られすぎの「税金」のせい。話題の『税金下げろ、規制をなくせ』(光文社新書)の中で、「大減税」と「規制廃止」で復活した米国経済を喝破した渡瀬裕哉氏による、日本政治と経済を立て直すための集中講座。『税金下げろ、規制をなくせ』序章から試し読みをお届けします。
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ところで、「消費税は貧乏人の負担が大きいから悪い税金だが、所得税や法人税は金持ちや大企業から取るからいいんだ」というような話を耳にすることもあると思います。
ちなみに、2020年の日本の法人税率は29.74%ですが、これは共産主義国の中国の25%を上回っています。むしろ、過去の日本の法人税率は「死ぬほど高かった」ために、日本人は法人税率に関する感覚がおかしくなっているのです。消費税を上げるか、法人税を上げるか、というのは単なる罰ゲームに過ぎません。
重要なことは国民負担率が上がり続けていることであり、何の税率を上げれば良いのか、という議論をしている限りは、最終的には実はすべての税金が高止まりまたは引き上げられていくことになるでしょう。
詳しくは後述しますが、税金は他の税金を上げるために使われます。それだけではありません。日本経済を硬直化させている悪名高き規制の数々も、税金によって作られています。つまり、何かの税金を引き上げれば、それは他の税金や社会保障費を引き上げるのに使われるのです。
「払うものは少ないほうがいいに決まっているけれど、税金は実際には引き上げる必要があるんじゃない?」
このように考える人が多いのは百も承知です。僕たちは生まれてこのかた、メディアでも学校でも、税金は必要なものと刷り込まれていますから、その固定観念から解き放たれるには少し時間がかかるかもしれません。毎年11月11日から17日までの「税を考える週間」では、全国間税会総連合会という組織が、毎年、「税の標語」を募集しています。これは僕たちの税金で行われていますが、税金を取られることに喜びを感じさせるような取り組みです。そんなものばかりを見ていると、真面目な人ほど税金は上げたほうがよいと思いはじめてしまいます。
しかし、本書(『税金下げろ、規制をなくせ』光文社新書)を丹念に読んでいただければ、次第に洗脳が解けていくことでしょう。
なぜ増税されるのか、その結果日本がどうなったかを理解できれば、減税が必要な理由は自明です。
税金を共済や保険のようなものと思っている人が多いですが、政府は一般国民や弱者を助けるために増税を行っているのではありません。福祉のためなどと言っていますが、口実です。はっきり言って徴税とは、政治家が自らの票田にバラ撒くために集金するシステムです。このバラマキ利権にありつけない人が元気をなくしていて、なおかつ規制や納税のための無意味な作業に従事させられることで、結果として日本全体が沈んでいるのです。
税金がどんなに国民をいじめているか、規制によって日本がどんなにダメになってきたかは、第三章(『税金下げろ、規制をなくせ』光文社新書)で説明します。
※次回「アメリカが活力を取り戻した方法」5月18日(火)公開
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