日本経済が低迷し、苦しい生活から抜け出せないのは、取られすぎの「税金」のせい。話題の『税金下げろ、規制をなくせ』(光文社新書)の中で、「大減税」と「規制廃止」で復活した米国経済を喝破した渡瀬裕哉氏による、日本政治と経済を立て直すための集中講座。『税金下げろ、規制をなくせ』第一章から試し読みをお届けします。
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24年ぶりに出た保守派の大統領トランプは、就任後に何を行ったでしょうか。
日本では、トランプが大統領候補であった頃から、トランプ報道は圧倒的にネガティブでした。キワモノ、人種差別主義者、何も考えずにポンポンとトンデモ発言をする、パフォーマンス過剰の大金持ち――。最後だけは本当ですが、キワモノが間違って大統領になってしまったわけではありません。
ドナルド・トランプは、共和党にとっては、当初はアウトサイダー、外から入ってきた異分子でした。
主流派の腐った人たちは、常にワシントン(日本の永田町に相当)にいて、自分たちのお仲間サークルの中から候補者を選んだり、籠絡(ろうらく)したり、都合がいい大統領を選び続けてきました。
保守派は彼らの腐敗ぶりをずっと見続けて、苦々しく思っていたのです。そんなときに現れたのがトランプでした。新顔の手垢のついていない(キャラは濃いですが)政治的にニュートラルなトランプに、「これで主流派をぶっ飛ばしてやれ。税金を下げる大統領が生まれるかもしれない」と期待しました。
トランプもまた、人気テレビ番組のホスト役を務めるなどしていた知名度を生かして立候補し、党内予備選挙戦を勝ち抜きましたが、本選に入ってヒラリー・クリントンとの一騎打ちになると世論調査が伸び悩み、苦戦していました。
そんなトランプを支え続けたのが保守派で、両者が組み、大統領選挙本選を勝ち抜き、トランプ大統領が誕生したのです。保守派も、当初はトランプの破天荒な言動に眉をひそめていましたが、敵の敵は味方です。民主党そして共和党主流派を下すために、トランプを利用する賭けに出ました。保守派はトランプに政策、運動力、資金を提供し、その選挙運動の中核を担ったのです。
そして、2016年のトランプ大統領当選時点では、上院も下院も共和党が多数派を占めていましたから、トランプは税金を下げろ連合の求めに応じて、どんどん改革していきました。
※次回<トランプ大統領の最大の功績は「2対1ルール」>5月24日(月)公開
減税が経済を動かす
増税はいらない。税金は下げられる。いま下げないと、日本はこの低迷から永遠に抜け出せない――。米国経済の復活の土台となった「大減税」「2対1ルール」を例に、俊英の政治アナリストが説く日本のための減税論。2021年の衆院選で減税政治家を大量に送り出すために知っておきたいプレ講座。