タバコを吸わない、宝くじを買わない、食事はワリカンにせずおごる、引き出せない口座を持っている、いつもニコニコしている……。公認会計士の平林亮子さんによれば、これらはすべて「お金持ち」に共通する習慣だそう。そんな平林さんの著書『お金が貯まる5つの習慣』(2010年刊)には、私たちもマネできる「お金が貯まる習慣」が盛りだくさん。その中からいくつかご紹介しましょう。
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宝くじは儲からない仕組みになっている
お金持ちには、収入を得るにあたっての哲学があります。その中で彼らの思想をもっとも端的にあらわしている習慣が「宝くじを買わない」ということです。お金を増やすこととは一見、逆行しているようにも見えるこの習慣。でも、ここに、お金持ちのお金との付き合い方が凝縮されているのです。
興味やゲーム感覚で宝くじを買う人はいます。でも、それで儲けようと思っているお金持ちはいません。なぜなら、宝くじが儲からない仕組みであることを知っているからです。
財団法人日本宝くじ協会のウェブサイトによれば、宝くじの還元率は45.7%となっています(編集部注:執筆当時の還元率です。2021年度は46.2%)。つまり販売総額に占める賞金の割合が45.7%だということです。14.2%が印刷経費や販売手数料などの事務費用に、40.1%が公共事業などに使われています。
宝くじは、お金が増えるどころか、買った瞬間に価値が半減する可能性のある、いわば寄付なのです。それならば直接寄付をすればいいだけのこと。寄付をする相手も選べるし、「寄付をした」と思えば気分も良いものです。
また、宝くじに当たったとしても、ほかの人から集めたお金をいただくだけのこと。まさに、誰かが勝てば誰かが負けるというゲームでもあります。ゲームであると思えばそれでいいのでしょうけれど、その割には楽しめる要素が少ないでしょう。しかも、宝くじには自助努力の余地がありません。
当選番号を予測するという努力はあるのかもしれませんが、基本的には単なる確率論の世界。宝くじを購入したらあとは待つだけです。神頼みしかできない世界にお金持ちは希望やお金を託したりはしないのです。
同じ理由で、競馬やパチンコといったギャンブルでお金を増やそうとする人もいません。彼らの多くが「ギャンブルをしたり、宝くじを買ったりするくらいなら、自分が元締めになる」と口を揃えます。
第1章で紹介した節約の習慣でもわかるように非常に堅実なのです。一攫千金を夢見ている人はいるにしても、そのために宝くじやギャンブルを利用する人は見たことがありません。
お金はサービスの対価として得るもの
ところで、宝くじを買わないのは、儲からないことを知っているからだけではありません。実は「お金は自分が社会に提供したサービスの報酬として受け取るものだ」というこだわりがあることも、宝くじを買わない理由の一つなのです。
ラッキーも神頼みも否定はしませんが、それはそれ。社会にサービスを提供しないで手に入れたお金はまさに“あぶく銭”なのです。
「そんなことを言ってるけれど、結局、汗も流さず不労所得を得ているのでは?」という声も聞こえてきそうですが、不労所得と神頼みとはまったく違います。
不労所得とは、あくまでも肉体的な労働を伴わない所得という意味であって、何のサービスも提供していない所得という意味ではありません。
たとえば、不動産を購入して誰かに貸す、ということになれば、毎日どこかに通勤することもないですし、常にデスクワークをしていなければならないわけでもありません。でも、社会に対して住居というサービスを提供しています。
「デイトレーダーなどに代表されるような短期的な株式投資」は社会に対して何のサービスも提供していないのでは、という疑問もあるでしょう。しかしそれも物事の捉え方次第です。
投資家による株式市場の活性化がなければ、株式会社そのものがここまで発達しなかったかもしれません。株式市場で株を売ることができなければ、怖くて出資などできないでしょうから。
社会に何のサービスも提供していないのにお金を受け取るというのは、社会からの寄付に甘えているのと同じ。お金持ちは、社会に労働や、商品や、便利さや、快適さといった何らかのサービスを提供し、その対価を得ることを何よりも大切にしているのです。
お金が貯まる5つの習慣
タバコを吸わない、宝くじを買わない、食事はワリカンにせずおごる、引き出せない口座を持っている、いつもニコニコしている……。公認会計士の平林亮子さんによれば、これらはすべて「お金持ち」に共通する習慣だそう。そんな平林さんの著書『お金が貯まる5つの習慣』(2010年刊)には、私たちもマネできる「お金が貯まる習慣」が盛りだくさん。その中からいくつかご紹介しましょう。