楽しみにしていた休暇、意気揚々と出かけた旅先なのに、ついちょっとしたことでモヤモヤ、イライラしてしまったりしていませんか。小池龍之介さんの『しない生活』は、そんな乱れた心をスーッと静めてくれる一冊。本書が説く108のメッセージの中から、いくつかピックアップしてお届けします。
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ある日、午後九時半頃になって翌日に乗る飛行機の予約をしようとしてA航空会社の受付センターに電話をしてみると、すでに受付時間は終了している、とのこと。ただし、音声ガイダンスにより発着便の空席状況は確認できる、とのアナウンスが流れていました。
それを聞き、「なるほど、空席確認をした流れで予約もできるだろう」と思ったものです。というのは以前、別のB航空会社では受付終了後に、音声ガイダンスに従って電話で番号を押せば予約ができたから。
ところが、苦労してようやく「○×空港から△□空港まで○時△分発の便」を選択したところ、「その便には十分空席がございます」とアナウンスが流れるのみで、予約はできないことがわかりました。
「くー、予約できそうな思わせぶりをして、『十分空席がございます』ってことだけわかって予約はできないなんて、殺生な。こちとら眠る前の貴重な時間を十五分も潰してしまったぜ。B社を見習ってほしい」。そんなふうに、頭の中でケチをつけてしまっている最中に、ふっと思い当たりました。いったん便利なサービスを受け、それに慣れてしまったせいで、夜間に電話予約できない、というごく普通のことを諦められなくなっているのだ、と。
せっかく、便利すぎる世の中から身を退けようとしてインターネットや携帯電話を持たない生活を選んでいるはずが、たかが予約のことで「何て不便で気が利かないんだッ」とケチをつけるのですから、可笑しなものだと苦笑しました。
何事であれ、「無理なら仕方ない」と諦めれば肩の力が抜けてリラックスするもの。各種の便利すぎる道具やサービスに慣れて王様気分でいる私たち現代人は、諦めてリラックスする好機を奪われているのです、トホホー。
しない生活
メールの返信が遅いだけで、「嫌われているのでは」と不安になる。友達がほめられただけで、「自分が低く評価されたのでは」と不愉快になる。つい私たちは、ちょっとしたことでモヤモヤ、イライラしがちです。小池龍之介さんの『しない生活』は、そんな乱れた心をスーッと静めてくれる一冊。本書が説く108のメッセージの中から、いくつかご紹介しましょう。