人気占い師、真木あかりさんの新刊『2023年下半期 12星座別あなたの運勢』(6月30日発売)より、全体運をご紹介します。
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全体運
天秤“らしく”なく生きる勇気。
上半期は、対人関係において印象的な出来事も多かったでしょうか。パートナーシップというものの真髄に、ぐぐっと迫る星回りでした。いつも以上に、接する相手ひとりひとりに真剣に対峙し、いい関係を結ぶことができた人は多かっただろうと思います。その一方で、今まで少なからぬ情を注いできた相手とたもとを分かつこともあったでしょうか。この時期のあなたは、眼差しが一方通行であることを望みません。接する人全員に好きになって欲しいわけでも特別扱いして欲しいわけでもない、けれどご縁があったなら、適当になんて扱わないでほしい。そんな気持ちが強まるときでした。
2023年下半期は、「選択と集中」の時期です。人間関係でも仕事でも、自分にとって大切だと思えるものだけを選び取り、視線を集中させるときなのです。これじゃなきゃだめなんだ、この人以外にいないんだ。そう思えるものが、見つかるときでもあります。あれもこれもと複数を追っていると、どれもが中途半端になりがちです。ただ、そうなる前に自然と、興味や愛を注げる対象はひとつに絞られていくのだろうと思います。
さて、ちょっと「下半期の占い」という本題からは外れるお話をさせていただいてもいいでしょうか。まあダメと言われても語るのですが(なぜ聞いた)、「計量検定所」ってご存知でしょうか。都道府県ごとに置かれている行政機関で、幼稚園の体重計から精肉店のはかり、タクシーのメーターまで、あまねく「はかり」の検定を行っています。この世のなかでもっとも信用されないのは体重計のはかりですが、それも計量検定所によって正しく計測できることを保証されて、私たちの手元に届きます。
てんびん座の人々も、生まれるときに全員が東京都の計量検定所で検査を受けています。というのは真っ赤な嘘ですが、てんびん座の「天秤」は正義の女神・アストレイアのアトリビュート(持物)です。両方のお皿がゆらゆら揺れてぴたりと同じ高さに釣り合う、その瞬間だけが正しく、揺れている時間はすべて「保留」です。占いの本などでてんびん座の人々が「優柔不断」「八方美人」などと悲しい表現をされることが多いのは、この「保留」までの時間を指してのことでしょう。正しいことが確定するまでは選べないので優柔不断に見えますし、多くの人のなかで誰が正しいのかを見極めるまでは、誰に対しても優しく接するので八方美人に見えます。
実際、「これが正しい」と瞬時にはかれたものについては、てんびん座の人は驚くほどのスピードで決断するので「不断」というのは言い過ぎです。「これは正しくない」と思ったことについては、相手が誰であっても妥協ゼロでバチバチに火花を飛ばしに行くので、せいぜい「六方美人」くらいが正確なところではないでしょうか。
しかしそればかりでは、物事はうまく回らなかったりします。社会に適応することに習熟したてんびん座であれば、「どれも大事だよね」「平和にやっていければいいよね」というスタンスをとり、それが「優柔不断」「八方美人」と言われたりするのです。決して、てんびん座の本質ではないとしても。
と四文字熟語にケンカを売って文字数を稼ごうとしているわけではないのですが、この下半期、てんびん座の人々は「これが正しい」と絶対的にわかる対象を見つけます。仕事でも、人間関係でも、です。それが冒頭で触れた「選択と集中」にあたります。対象は自然と絞られてくるはずですが、仮に「あれも、これも」モードになると、エネルギーが分散してどれも中途半端になってしまうこともあるでしょう。「最近、なんだか調子が出ないな」と感じるようなことがあれば、そのときは「今は、これ」と絞り込んでみるといいだろうと思います。
これじゃなくちゃ、だめなんだ。この人以外に、いないんだ。そう思えるものに全精力を注ぎ込むあなたに対し、外野は「もっと視野を広げたほうがいいんじゃないの」「バランス良く頑張るべきだよ」などと言ってくるかもしれません。ただ、あなたは自分のなかの内なる天秤を信じて大丈夫です。タクシーのメーターに「ズルして稼いだらいいじゃん」、銭湯の体重計に「アバウトでいいじゃん」と言うのと同じです。そこが揺らいでしまうと、すべての判断が信用できないものとなってしまいます。タクシーのメーターで体重ははかれないように、他人の天秤では幸せははかれません。
だからこそ、今の自分が正しいと思えるものだけを、どうぞ自信を持って、選び取ってください。普段は「優柔不断」や「八方美人」を演じて世の中と折り合いをつけていこうと頑張っている人も、心の天秤だけを信じていれば大丈夫です。これじゃなくちゃ、だめなんだ。この人以外に、いないんだ。内なる心の声に、耳を傾けていきましょう。あなたの天秤は、あなたのものです。
この時期は、2024年5月末まで続きます。おそらくですが、10月末に「この選択は、自分にとって正しいか」ということを確かめるタイミングが訪れます。ここでは、仮に「正しくないかも」「あまり楽しめていないかも」という気持ちに気付いてしまった場合でも、それをいけないことと思わなくて大丈夫です。大事なのは、気付くこと。そして、その気付きをベースに、自分が歩む道を軌道修正することです。てんびん座のあなたなら、きっと大丈夫でしょうけれども。
じっくりと責任を持って向き合いたい、お金や資産のこと。
2023年下半期から2024年5月末にかけては、「ひとりでは動かせないお金」にスポットライトが当たるときでもあります。たとえば、家族やパートナーの収入が増え、生活にゆとりが出る人もいそうです。ここについては、単純なお金の話と見るよりは、家事の分担を変えたり、場合によっては時短家電や家事代行サービスの導入を考えたりと、皆で包括するものと考えたほうがいいでしょう。「ひとりでは動かせないお金」だからこそ、皆が協力して動かす意識を持つのです。
もう少しどっしりしたレベルのお話になると、遺産を相続したり、金融商品の見直しをしたりと、家族単位で資産を考えることになる人は多いでしょう。ローンは組んで問題ない時期ですが、「若いうちに頑張って返してしまおう」「フルタイム共働きなら払える」などと楽観しがちになる時期であることも押さえておかねばなりません。「寝ずにやればできる!」式の発想はあとあと苦しくなりますから、やる気と現実のバランスを上手に取っていけると素敵です。
幸いにして、この下半期は「自分を律する」という星回りでもあります。「楽観的すぎる発想にはブレーキをかける」「正直なところ逃げたくなるような重たいテーマであっても、責任を持って向き合う」というのは、星回りを上手に使っている選択だと思います。自分がやりたいことに制限をかけるのではなく、行動に程よい現実主義のエッセンスを盛り込むことで、空回りを防ぐことができるでしょう。
「ひとりでは動かせないお金」ということで、借金の申し入れをする人もいるのかもしれません。自活したい、夢を目指したい、どうしても手に入れたいものがある。そんなとき、相談に乗ってもらいやすい暗示が出ています。ただ、頼み込むだけではあまりいいお金にはなりません。借りたあと、いつまでに返すのか。どのようにお金を作る予定なのか。そうしたことも含めて説明や交渉をすることで、貸してもらえる以上に「自分にとって有意義なお金の使い方ができる」ことこそが、大事なのだろうと思います。
怒りは、現状を変えるエネルギーとする。
7月から8月にかけては、ちょっとフラストレーションを溜めやすい暗示が出ています。これは何も、「てんびん座はこの夏、絶対に嫌な思いをする」という意味合いではありませんので、どうぞご安心ください。どちらかというと「自分の心の柔らかい部分と、がっつり向き合う」という星回りがベースとなっています。
人と衝突したり、争ったりすることを避けたいという気持ち。過去、他人とバチバチ火花を散らして嫌な思いをした記憶が蘇ってくること。それは自分を変えることで克服できるのか、そんなことをしても意味はないのかと、自問自答することもあるでしょう。
過去の出来事を思い出し、すでに折り合いをつけたつもりになっていた感情が、また自分のなかでリアルに膨らんできたりもするかもしれません。「なんで自分がこんな思いをしなくてはいけないのか」という怒りもふつふつと湧いてきます。こんなこと、本当は望んでいないのに。本当は、嫌だとはっきり意思表示したかったのに──そんな怒りが、心のなかで抑えきれないほどになってくるのは、この時期の星回りのせいもあるのだろうと思います。
自分が納得できていないことに、がっつりと向き合わされるのはつらいものです。ただ、ここで「本当は、こうしたかった」という本心が湧き上がってくるのは、紛れもなく幸運なことです。たとえ思い出は今も胸のなかで沸騰していたとしても、大事なことは「経験したことを学びにつなげ、次はもっとうまくやること」です。
この時期の星回りは、それが可能です。たとえば小さなことから「本当は、こうしたかった」を実践してみる。問題解決につながるような本を買うのもいいでしょう。周囲に相談し、アドバイスを真面目に実践してみるのもいいかもしれません。そうすることで過去の自分は少なからず癒やされていきますし、何よりも「世の中や他人に振り回されない力」を手に入れることができます。現実を自分らしく生きる力が、備わるのです。
この夏、フラストレーションを感じることがあったら、本当はどうしたかったのかも同時に考えてみませんか。ストレスフルな状況も、ときには現実を変える力をくれます。そのことが、実は最も大事なことなのかもしれません。
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