人気占い師、真木あかりさんの新刊『2023年下半期 12星座別あなたの運勢』(6月30日発売)より、全体運をご紹介します。
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全体運
ひとりでは叶えられない、夢を見るとき。
今は忙しい日々を乗り切って、ちょっとまわりを見渡す余裕が出てきた頃でしょうか。かに座の人々は2022年後半から2023年前半にかけて、キャリアにおける正念場を迎えておられました。まだ見ぬ可能性に賭けるよりも、地に足をつけて生々しい現実を生きるときです。目が回るような忙しさのなか、ベストを尽くした方も多かったことと思います。頑張っていらっしゃいましたね。先ほど「キャリア」と書きましたが、仕事から離れている人や学生さんには関係がない運、ということではありません。いわばそれぞれの「本分」と呼べる分野をまっとうするときで、介護や子育てに尽力する人もいれば、学生さんなら勉強に打ち込むといったことも考えられるでしょう。社会とのつながりが深まるときですから、子育てを通して政治や税金について考えたり、将来の職業選択を見据えて進路を検討したり、充実した日々だっただろうなと想像しています。
こうした日々を過ぎた2023年下半期、少し気持ちにゆとりができて対人関係に光が差し込みます。特に友人や知人、同僚など、いわゆる“ヨコのつながり”が濃くなってくることで、友達と集まったり、人と一緒に何かをしたりといったことが非常に増えるでしょう。新しい友人ができることもありそうです。ここまでの努力が「個人の力で頑張ること」だったとしたら、ここからの1年は「人とともに頑張ること」がメインとなります。同じビジョンを持つ人と、ひとりでは叶えられない夢を見るときです。うんとわくわくして、未来に目を向けていきたいものです。
たとえば、日常生活で問題意識を持つことがあったとしましょう。我々の生活は常に煩雑で、一難去ってまた一難。年齢を重ねて経験値が増えれば生き方もうまくなるかと思いきや、年齢とともに難易度もアップしていきます。テクノロジーは生活のいくつかの課題を簡便にしてくれましたが、同時にトラブルも呼び込みました。もちろん人生が輝かしい喜びにも事欠かないのは大前提として、今年のかに座さんは「自分が解決したいことは、誰かもきっと解決したいことなのだ」と思うに至るのでしょう。そして、呼び合うようにして集まった仲間と、同じビジョンを共有するようになります。「一緒にやろうよ」「それ、面白いね」といった会話は、いつもよりずっと身近なものとなるでしょう。上下関係ではなく、フラットにかかわることができる相手ならば、身近な人に気軽にコミットしてみるのはいい選択になるはずです。同時にあなた自身も、自分がやりたいことをいろいろな人に話すなど、コミットしてもらえるフックをたくさん作っておくといいのかなと思います。
人によっては、問題解決が社会運動やビジネスといった形で発展することもあるかもしれません。ITとの相性がいい時期ですから、SNSでコミュニティを作ったり、クラウドファンディングでイベントをやったりしながら、同じ問題を持つ人たちとつながっていくのです。人生において、どこかの歯車が狂うようにして弱い立場になってしまった人、大きな波に流されるようにして、困った状況に追い込まれた人、そうした人たちのために力を尽くすこともありそうです。「こんなことが、許されていいのか。いや、よくない」といった思いは、あなたを突き動かすエネルギーになります。
自分が小さな存在のように思えたときは
石川啄木の短歌に、こんな一首があります。
「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
花を買ひ来て
妻としたしむ」
友人が全員、自分よりもすごく見える。そんな夜ってないでしょうか。私はこの短歌がとても好きで、いろいろ駄目だった日の夜にふと思い出したりします。まあ啄木といえば
「一度でも我に頭を下げさせし
人みな死ねと
いのりてしこと」
なんて物騒すぎる短歌も詠んでいたりするわけですが(何もそこまで……)、それはそれとして、「そういう夜もある、けれど目の前の幸福にもちゃんと目を向けて、自分なりに生きていく」と思える、素敵な一首だと思います。かに座の人は行動力に優れた人で、仲間のすごさに関してはきちんと敬意を払える人ですから、普段はこんな「みんなすごいな……それに対して自分は」などといったことは考えないだろうと思うのですが、9月から年末にかけては一時的にコンプレックスを強く感じたり、他人と比べて自分はダメだと思ったりしやすい時期に当たっています。他人と自分は違う人間なのだから、比べたって意味などない。そんなことは百も承知なわけですが、どうしたって頭に浮かんでくるのでしょう。
ときには人と頑張ることに前向きになれなかったり、「自分でやったほうが早い」と思ったりもするのでしょう。苛立ちも、度々頭をもたげてきます。ただ、他人と比較することも、苛立ちを感じることも、決してネガティブなことやダメなことではないのでしょう。この時期、かに座の人々は「人と一緒にやっていく」ことについて、思うにまかせないことも視野に入れて、調整を行うことになっています。どんなに仲のいい相手でも、すべてにおいて気が合うわけではありません。利害が噛み合わないこともあれば、いがみ合うこともあるでしょう。どこまで相手にコミットするか。どこまで相手に、自分を開示するか。どこまで、自分を捧げるのか。そうしたことを考えて初めて、人と一緒にやっていくことの生々しい現実を、受け入れる力を身につけるのだろうと思います。
9月末から年末にかけての4ヵ月といえば、下半期の3分の2です。「下半期はほとんどが鬱屈した日々なのか」と思われた方は、どうぞそこまで心配なさらないでください。この運気をもたらす木星は「幸福と拡大の星」と呼ばれるラッキースターで、「みずから行動を起こすことでチャンスが増え、得られる幸福も拡大する」という性質を持ちます。基本的にはおおらかで安定したムードが維持され、ときどきフッとエアポケットにはまり込むように人間関係に疑問が生じる、というイメージです。
転機は10月です。10月半ば頃、家族や家族同然に付き合っている相手との関係に抜本的な変化が表れる人は多いでしょう。ここでは「相手に変わってほしい」と考えるのは、残念ながら意味のないことだろうと思います。状況を変える手段があるなら、カギは自分がにぎっていると思っていらしてください。10月末は、友人や知人、同僚といった間柄の人との関係に、一定の成果なりまとまりなどが出てきます。ほとんどの場合は嬉しい出来事を共有したり、安定したいいスタンスを保てていたりするはずですが、仮に「メチャクチャ頑張ったけど、もうダメだ」という答えに至る場合、この10月末前後はひとつの「決断のとき」になるはずです。
2024年の年明けからは、このあたりが全部スッキリした状態で、信頼し合える仲間と未来に向けてスタートを切ることになります。
さて、せっかく占いをご覧になったのですから、こういう時期が来る前の「準備」として、できることを先取りしておきましょう。占いは振り回されるものではなく、使うもの。「こういう時期が来るのか。ならば、こうしよう」と思考を広げるツールですから。
9月から年末までという迷いの時期を迎える前、7月から8月にかけては、かに座の人々は「世界を広げる」時期に当たっています。今、自分がいる狭い世界で満足せず、よく学びよく人とかかわることで、自分の世界をブラッシュアップすることができるのです。本を読んだり学んだりするほか、おもしろそうだと思った場所にはフットワーク軽く足を運んでみるといいでしょう。挑戦したいことには積極的に取り組み、世界に関心を持ち続けることが大事です。理想から、目を離すことなく。
人とかかわることは、相手に影響を与えるだけでなく、自分もまた影響を受けることです。2023年下半期から始まる1年は、ともに過ごす仲間とお互いの得意分野を持ち寄るような形で未来や夢と対峙していくのですが、確固たる「自分」でいるためには、自分の世界をきちんと持っておくことが欠かせません。影響され、侵食されてはお互いにしんどいことになるからです。7月から8月にかけてあなたが世界を広げ、今の自分に必要なものを目一杯取り込むことで、きっと良い日々にしていけます。愛すべき煩雑な毎日も、協力し合って解決していくことになるはずです。そして、これはいささか話をデカくしすぎかもしれませんが、世の中の「おかしな理屈」にも惑わされないでいる軸足を作ることができるだろうと思います。
夏から秋、金運にあたたかな追い風が吹く。
蛇足かもしれませんが、2023年下半期ならではの星回りのひとつとして、金運についても触れておきましょう。6月に入ってすぐの頃から10月上旬まで、かに座の人は金運にスポットライトが当たることになっています。胸が高鳴るようなものを買えたり、収入アップを狙えたりする人は多いでしょう。といっても「仕事でジャンジャンバリバリ稼いであらゆる富を手にする」などといった雰囲気ではなく、「楽しみながら豊かさを手に入れる」時期なのですが、本当の豊かさについて考える人も多いでしょう。自分はどんな環境で、満ち足りた気分になれるのか。不安を減らすマネープランはどういったものか。資産を多く持っていれば幸せなのかと問われれば、決してそうではないということを私たちは知っています。けれど、お金があれば人生の選択肢が広がるということも、私たちは十分わかっているはずです。そうしたことを踏まえた「私の豊かさ」を、この時期は問い直していくことになりそうです。
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