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余白をつくる練習

2024.06.28 公開 ポスト

忙しいと感じるのは錯覚!? 「いつも時間がない」から脱出する3つの方法永崎裕麻

なぜか、いつも時間がない気がする

フィジーのゆったりとしたリズムの中で生活していると、日本のスピード感はとても早く感じます。ワークライフバランスという言葉が浸透してきたとはいえ、まだまだ仕事のプライオリティは高く、「勤勉は美徳」という価値観が根強く残っています。成果物に求められるレベルも高いため、「どれだけ働いても終わらない」という感覚はないでしょうか?

 

さらに、何もしていない、もしくはリラックスしているときに罪悪感をおぼえる人も多く、「忙しくしていないとダメ」という暗示にかかっていることも少なくありません。実際に時間がないというより、「自分はいつでも時間がない(気がする)」と感じる「多忙感」に包まれている状態です。そうした心の状態のことを、私は「タイムプア・マインド」と呼んでいます。

本当に忙しいときもあると思いますが、どこか3割増しくらいで忙しさを感じていることはありませんか? 少しのスキマ時間が生まれたら、「もったいない」と感じてすぐに新しい予定を入れることで、忙しさを維持し、多忙感を満たしてしまったことがある人もいるかもしれません。


日本人は、お金や時間を大切に扱う人も多いためか、「もったいない」を感じやすく時間を有効に活用したいという意識が強くあります。「忙しい」を「充実」と解釈することもあるため、「多忙感=高充実」と錯覚しやすくなります。

タイムプア・マインドは心理的なプレッシャーを高め、ストレスを増加させ、集中力が削がれたり、睡眠の質が低下したりします。自分には時間がないと思いこむと、周囲の人たちとのコミュニケーションが疎かになり、関係性が希薄化することで孤立感も高まったり。また、次から次へとタスクをこなしていく感覚があるがゆえ、達成感を抱きにくいことにもつながります。

一方、タイムプア・マインドが和らぐと、緊張状態から解放され、リラックスできる時間を確保できます。結果、クリエイティブな発想ができるようになったり、計画的にリフレッシュするための予定を生活の中に取り込めたりと余白を感じやすい状態を作り出すことができるようになります。

タイムプア・マインドから脱出する3つの方法

(1)スロー・ウォーキング

「速歩き」が健康に良いと注目されていますが、ゆっくり歩くことでメンタルを安定させ、落ち着きを取り戻すことができます。「急ぐ」と「焦る」は似ていますが、意味は異なります。「急ぐ」は時間に間に合わせるための行動であり、時間に追われています。一方、「焦る」は不安やプレッシャーからきていて、精神的に追い詰められています。

急ぐうちに焦りが生じ、「時間がない」という感覚になります。逆に、ゆっくりしていると不思議と「時間がある」という感覚になります。

ゆっくり歩くことに加え、ゆっくり動く太極拳や、静的なメディテーション、深呼吸、サウナなども取り入れてみてください。これにより、早くなりすぎた時間感覚をスローに戻すことができます。

 

(2)セイバリング

「セイバリング(Savoring)」という心理学用語があります。ポジティブな出来事をしっかりと味わうことを指します。テイスティング(Tasting)も「味わう」という意味ですが、Tasteは「味を感じること」、Savorは「味を心ゆくまで楽しむこと」を意味します。

この前、外を歩いているときにきれいな虹を見かけました。まわりの人たちはすぐにスマホを取り出し、いろんな角度から写真を撮って、映え写真を友人に共有したりしていました。SNSに投稿するのも素敵なことですが、「虹が消えてしまう前に急いで撮影する」のではなく、「虹に出会えた幸運に感謝し、瞬間のアートをじっくりと味わう」姿勢がセイバリングには大切になってきます。

タイパ全盛のいま、「味わう」という人生の醍醐味も時短の対象になっているように感じます。映画のエンドロールで感動を味わうように、目の前の出来事や体験を深く味わうことで、タイムプア・マインドから自分自身を解放することができます。

 

(3)スケジュール帳のホワイトニング

20代の頃の僕はスケジュール帳を真っ黒に埋めることで、「自分の人生は充実している」と安心感をおぼえていました。でも、フィジーに移住してからは「スケジュール帳のホワイトニング」(予定を詰め込まない)を心がけています。

フィジーの人たちはスケジュール帳をもっていない人も多く、予定に縛られていません。予定があったとしても、ドタキャンする自由が許されている社会なので、そのときの気分で行く行かないを判断できます。

日本だとドタキャンは信頼関係を損ねるためなかなか難しいかもしれませんが、いまよりも、スケジュール帳に書き込む予定を10〜20%くらい、意識的に減らしてみてはいかがでしょうか?

枠をはみ出してまで書き込みまくる習慣を変えるだけでも、タイムプア・マインドは和らいでいきます。もし書き込む量を減らせない場合は、大きめのスケジュール帳にするなどして、視覚的に余白がある感じを味わえるようにしてみることから始めてみてもいいかもしれません。
スケジュール帳の余白面積を少しずつ増やしていき、心に余裕を取り戻していきましょう。

 

今回の記事では、タイムプア・マインドから抜け出す方法として上記3つを紹介しましたが、まだまだたくさんあると思います。自身に合ったやり方をぜひ考えてみてください。

この記事を書いている僕の横で、小学4年生の息子はYouTubeを2倍速でみています。テクノロジーの発展とともにスピード感が上がっていく時代だからこそ、意識的にスピードをゆるめ、早くなりすぎた感覚とバランスを取ることで「余白」を取り戻していきましょう。

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余白をつくる練習

効率的に仕事をしても、それで空いた時間に別のことを入れて、一向にタスクが終わらないと感じたことがある人も多いはず。
私たちはいつになったらゆったりした時間を持てるのでしょうか。

世界100カ国を旅したあと、世界幸福度ランキング1位のフィジー共和国へ移住した著者が伝える、人生に自分時間を取り戻す「余白のつくり方」。

バックナンバー

永崎裕麻

100カ国を旅し、世界幸福度ランキング1位のフィジー共和国へ2007年から移住。Giveを学び実践する「サンタの学校」校長。

小学生のような好奇心を取り戻すために、また、「地球は自分の庭なんだ!」と体感できるように『探究ランド(大人編)』の1期生を絶賛募集中(オンラインにて2024/9/17スタート)。

著書に『世界でいちばん非常識な幸福論』『南の島フィジーの脱力幸福論』

 

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