サンリオ米国法人のCOOを経てシリコンバレーでピジョン、LINEヤフー、トランスコスモスなどの社外取締役を務める鳩山玲人さん。多くの成功者の観察を元に「シリコンバレー流の学び方」のエッセンスをまとめた幻冬舎新書『シリコンバレーで結果を出す人は何を勉強しているのか』より、一部を抜粋してお届けします。
よい転職のための3つの基本動作
よい転職の機会を自分も得たいと思うなら、基本動作は3つあります。1つめは、いろいろな人に「会社を辞めるつもりです」と話すこと。2つめは、履歴書を用意すること。3つめは、ヘッドハンターや転職サービスに登録し、興味を持てた会社の人と会って話すことです。
1つめの基本動作については、自分がどうしたいのかを口にしていると、それを聞いた人から「それならこんな話があるよ」と持ちかけられることがよくあるからです。あるいは「こんなふうに動いてみたら」とアドバイスされることもあるかもしれません。
自分について開示すればするほど、よい情報に巡り会える可能性が高まるということを、まず頭に入れておきましょう。
2つめの履歴書については、実はもともと、私はすべてのビジネスパーソンに「年に一度は自分の履歴書を書くこと」をすすめており、自分自身もこれを長年の習慣にしています。
ここでいう履歴書というのは、新卒の就職活動のときのようにフォーマットを埋めるものではなく、自分の実績やスキルセットについて記載するものです。
毎年このような履歴書を書くと、1年の仕事の実績を整理できるとともに「自分の中で改善できたことは何か」「新たに加えられたスキルセットは何か」を振り返ることができます。
このような履歴書の書き方を私にアドバイスしてくださったのは、青山学院大学の恩師であった石倉洋子さんでもありました。
私の場合、履歴書を書くときは必ず1枚にまとめます。履歴書は自分の歴史を表し、未来の自分にいかにつながっていくかを示すものです。
ですから、どのような人生を作ってきたのか、そしてこれからの人生をどう作っていきたいのかを、よく考えて凝縮することが重要だと私は思っています。
「1枚」という制約の中で整理すると、「思い出したことを羅列していたら散漫になってしまった」といった事態を防ぐことができます。
仕事歴が長くなってくると、昔は1枚の履歴書にまとめていた実績などが3行ほどに圧縮されるようになり、そのことから自分自身の変化や成長を感じることもあるでしょう。
履歴書を定期的に更新していると、「今の転職市場に合った履歴書にするためには?」という発想も生まれます。
現在でいえば、できれば「デジタル関連の仕事をしている」という経歴を履歴書に入れたいと思う人が多いのではないでしょうか。すると、自然に「デジタル関連の仕事をするチャンスはどこにあるか」というように動きたい方向も見えてきます。
転職活動で「自分の市場価値」を客観的に把握する
3つめが、ヘッドハンターや転職サービスに登録することです。履歴書をまとめてあれば、すぐ登録できます。
ヘッドハンターや転職サービスに登録すると、自分にどんなオファーがあるかを具体的に知ることができます。それによって、自分のマーケットバリューを客観的に把握することもできるでしょう。この「自分の市場価値を知る」という目的だけでも、転職活動をしてみる意味があると私は思っています。
自分に足りないものがあるとすれば、履歴書を書いたとき以上にリアリティを持って、その「足りないもの」が何なのかも理解できますし、補う努力をすることもできます。
もしみなさんが、まだ転職に前向きになれていないとしても、この本を読んだことを一つのきっかけとして、具体的に転職活動をしてみることをすすめます。
転職活動をきちんとやろうと思う人は、企業のサイトを見たりして情報を調べることも一つの方法ですが、ヘッドハンターや転職サービスで紹介を受けて、少しでも興味を持てそうな会社があれば「その会社の人と会って話す」ことを最優先しましょう。
「いい会社かどうかわからないのに、わざわざ会って話をするのは面倒だ」「もうちょっと事前によさそうな会社を絞るポイントを知りたい」などと考える人もいると思いますが、人に会ってみることもせずに候補を絞ろうとすることは、個人的にはまったくおすすめできません。
ベンチャーキャピタルでもそうなのですが、会社のデュー・デリジェンス(価値やリスクの評価)をするときは人に会うことが絶対に必要です。
少しでも興味がある会社ならば、まず社員と会ってみるということがデュー・デリジェンスの最初の一歩といってもいいほどです。
なるべく早くさまざまな人に会ってこそ、会社のよし悪しを見極めるための情報がきちんと入ってきます。もちろん、その業界のことを学ぶという意味でも、人に会うことは非常に有意義です。
シリコンバレーで結果を出す人は何を勉強しているのか
シリコンバレーにはビジネスで成功し、億万長者になる人が世界一多いといわれる。14年前に日本から移住し、多くの成功者を観察してきた著者はその理由を「彼らが有機的に学んでいるからだ」という。大学までは熱心に勉強するが、社会人になった途端学ばなくなる日本人に対し、シリコンバレーの成功者は「学び」をやめない。社会人になってからも知識・情報をインプットし続け、新しい体験による生きた勉強をし、付加価値を高めていく。20~50代までの年代ごとに必要な勉強とは? 成功のために絶対不可欠な体験とは? シリコンバレー流の学び方を身につければ、生涯現役まちがいなし!