ニャー!『豆柴センパイはおばあちゃん』が出版になったということで、「コウちゃんも何か言うことニャい?」って……。 まぁ、ありますよ。弟猫として、ずっと近くで見守ってきたからね。
なので「本に書いてあること、ボクから見たらこんな感じだったよ」とか、「あのとき、ボクはこんな気持ちだったんだ」なんてことを少しずつ書くね(ボクになったつもりで飼い主が)。
今回は「センパイの絶叫」について。なんたってすごい声なんだもん最初はものすごく驚いた……。
2020年、センパイが15歳になる頃のこと。検査の話がひと区切りついたタイミングで、「ところで……」と先生から切り出された内容に私は驚きました。「センパイちゃん、家で吠えて止まらなくなるようなこと、ありますか」
じつは、病院のバックヤードで過ごしている間、ソワソワとあちらこちらを動き回り、壁に向かって吠えて、興奮して失禁したり、看護師さんたちが手に負えない状態になった、と言うのです。そして疲れ果てて眠り、少し落ち着いたかと思うとまたソワソワ歩き出して……と。
にわかに信じがたく「え? センパイがですか」と聞き返してしまいました。そのようなこと、これまで1度もありません。「吠えるって、絶叫って感じですか」再び尋ねると、「えぇ、そうです」。答えにくそうにする先生や、横にいる看護師さんのげっそりと疲労が滲む表情からも、「これはとても大変な状態だったんだな」と理解できました。
先生は「家でもこのような状態になると、近所にも聞こえるだろうし、困っているだろうな」と私たちを心配してくださっていたよう。犬も高齢になってくると家の中をグルグル歩き回ったり、夜中に吠えたりすると聞いたことがありました。詳しくはわかりませんが、特に日本犬にその症状が多く見られるとか。「認知症でしょうか」と聞くと、「一概には言えません。認知症というよりは、神経系の何かによる症状かな。不安感からのストレスかもしれませんね」。
「これは大変なことになったぞ」私は緊張しながら、センパイを覗くといつもと同じ顔。
真っ黒な瞳で私を見上げ「早く帰ろうよ」と言っている。
病院からの帰り道は夕焼けの中を歩く。ご機嫌で足取り軽やか、いつもは苦手な登り坂もさっさかさっさか。元気に歩くセンパイの背中を見ていたら、どんよりとした暗い気持ちも夕日に溶けていくよう。気をつけながら見守るしかないな。もし、家でもそんな状態になったら、そのときは慌てないように、先生の言葉を覚えておこう。
本にもある通り、センパイが大きな声を出すようになったりして「あれ?」って思ったのはセンパイが15歳になった頃だった。そうなる前から、ひんぱんに病院に行くようになっていたから「どっか悪いのかな」とは思っていたけど、センパイはモリモリごはんを食べていたし、おさんぽも楽しそうだったから、ボクはあまり気にしていなかった。
でもね。突然、大きな声を出すようになったんだよね。鳴き声もね、いつもの「ワン、ワン!」じゃなくてさ、「オオオオーン!」って感じ。もう、なんだかびっくりしちゃってさ、固まったよね、ボク。「あれれれ、いつものセンパイじゃなーい」って思って、何か怒ってるのかな? って。
それでね、少ししたら鳴くのをやめるときもあるし、ずっとずっと鳴いていることもあるんだよ。なんかね、センパイはすぐそばにいるのにすごく遠くに感じてしまって、ボクはどうしていいかわからなかったんだ。
周りのみんなはボクが「怖がっている」と思っていたみたいだけど、そうじゃないのよ。ボクはセンパイを助けたかっただけなんだ。ボクができることは何? って。いつもそう思っていたわけなの。
豆柴センパイはおばあちゃん ヨロリゆるゆる、今日もごきげん
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