世界でいちばん自由な国はニッポン!?
自由の国といえば、フランスやアメリカを想像する方が多いのではないでしょうか。ただ、コロナ禍にフィジーから日本へ帰国したとき思ったのは、「世界でいちばん自由な国は実は日本なんじゃないか」ということでした。
当時、僕が滞在していたフィジーを含め、世界中で「ロックダウン」や「ワクチンを打たないと解雇」「マスクを着用しないと逮捕」などの規制が蔓延していましたが、日本にはそういった厳しい法的ルールは存在していませんでした。存在していたのはあくまで「自粛警察」や「不謹慎狩り」など、世間の視線。
そんな同調圧力に怯えすぎることなく、冷静に判断し必要以上に空気を読まないことができれば、日本という国ではもっともっと自由に生きることができるのではないかとそのとき思いました。
「自由」はあっさりと「義務」に変わる
そもそも「自由」とはどういう状態なのでしょうか。平たくいえば「やってもいいし、やらなくてもいい」という状態のこと。「やってもいいし、やらなくてもいい」わけですが、「自由」は「義務」に変容しやすい性質も併せて持っていると思います。
例えば、職場の同僚との親睦を深めるために非公式に始めた小規模なスポーツイベントがあったとします。このイベントは社内で徐々に注目され、参加者が増えることで次第に公式のイベントとしての認識が強まりました。元々は自由で楽しむためのものでも、規模が大きくなるにつれて組織的な管理や高い成果が求められるようになり、かつての楽しいイベントが義務感に満ちた責任あるものへと変容したりします。
他の例もあげてみます。
例えば、副業を始めたとします。自分の好きな時間に、好きなタイプの仕事を選べる自由がありました。しかし、クライアントの要求が増えるにつれて、副業が本業と同じくらいの義務と責任を要求されるようになり、日常が「やらなければならないこと」で埋め尽くされてきたりします。
このように自由はあっさりと義務に姿を変えてしまいます。
最初は「やりたい」と選んだことなのに、気がつけば義務感のみで動いている。そういった行為に、心当たりがある方も多いのではないでしょうか。
「義務の断捨離」 “断る勇気”と“迷惑をかける勇気”を持つ
フィジーに住んでいると、日本人の日常生活には義務感が深く根付いているようにみえます。仕事のみならず、家庭や地域社会での役割をきっちりと果たさねばならないという意識から、時間的にも精神的にも余裕が持ちにくい状況に陥っていることが少なくありません。
もしいま、自分の生活の中で義務感を強く抱いているのなら、「本当にそれはやらなければならないことなのか?」を自問し、義務の見直し(棚卸し)をすることが必要です。義務感を無理やりにでも手放してみる。私はこれを「義務の断捨離」と呼んでいます。手放してみると、意外にもまた「やりたい」という気持ちが復活してくることがよくあります。義務感にむしばまれることなく活動することが、生活に「余白」を取り戻す上で大切になってきます。
「義務の断捨離」をするコツは2つの勇気を持つことです。
1つ目は「断る勇気」。
昔から「NOと言えない日本人」なんてよく言われます。和を尊び、礼儀や周囲との人間関係を大切にする習慣があるため、仕事やプライベートにおいて、会食や飲み会など、さまざまな場面での参加が「義務」として感じられます。「断るのは失礼」という考え方から、時間やエネルギーを犠牲にしてでも参加しなければならないというプレッシャーが存在しています。相手にどう思われるかを過剰に心配するのではなく、自分の心地よさの優先度を高めていきましょう。義務感に苛まれない心の「余白」を感じてみてください。
2つ目は「迷惑をかける勇気」。
「人様に迷惑をかけてはいけない」と子どもの頃から叩き込まれすぎたため、「迷惑=悪」という固定観念を持っている方も多いかもしれません。
そのせいで、自分の感情や欲望を押し殺して、他者に対してばかり気を遣うようになりがち。自分自身の「主観軸」を見失い、いい人という「客観軸」でとらえてしまいプレッシャーや気疲れでストレスが溜まる悪循環がうまれます。
「お互い様」や「受援力」なんていう美しい日本語がありますが、「自分ひとりでやらねば」から卒業し、誰かに任せたり、頼ったりと、意識的に援助を求める習慣を身につけていくことで、時間的な余白もうまれてくると思います。
「しなければならない」を手放す「義務の断捨離」は、余白をつくる上で欠かせないステップです。日本人にとって、この義務感から解放されることは容易ではないかもしれません。でも、一歩ずつその練習を繰り返し、余計な義務をそぎ落とすことで、自分にとって本当に大切なことに集中でき、より豊かで充実した人生を送ることができるようになっていくでしょう。社会や他人が押し付けてきた義務に縛られていないか、義務感で身動きが取りづらくなっていないか、いま一度、自分自身に問いかけてみてください。
余白をつくる練習
効率的に仕事をしても、それで空いた時間に別のことを入れて、一向にタスクが終わらないと感じたことがある人も多いはず。
私たちはいつになったらゆったりした時間を持てるのでしょうか。
世界100カ国を旅したあと、世界幸福度ランキング1位のフィジー共和国へ移住した著者が伝える、人生に自分時間を取り戻す「余白のつくり方」。