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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2024.11.15 公開 ポスト

第235回 同級生とキャンプやら伊代ちゃんやら<後編>いとうあさこ

そんなわけでジンギスカンを満喫。私はキャンプに行ってテントを建ててしまうと、何かアクティビティをしたりとか、どっか出かけたりとかせず、焚火と食、のみ。だいたいいつも味噌鍋をツマミにゆっくり飲む。なのでジンギスカンを後にまわすと、お腹が中途半端にいっぱいになってお鍋が入らなくなってしまう。

 

ジンギスカンを食べてから、テント設営→鍋で飲み、がベスト、と思っちゃったんです。ただこれ、失敗。大失敗。やっぱりいつも通りコロッケくらいで動いた方が絶対にいい。なにせお腹いっぱいなわけですよ。ジンギスカンが美味しくて、ビール2本半いっちゃって。となると、地面にペグ(杭)を打ちこむのも、キツイ。テント建てる時は基本、下の作業が多い。しゃがんだり下向いたり、満腹にはキツイ体勢になるんですよね。いやぁ、ちょっと考えればわかる事なのに。もうヒーヒー言いながら30分かけて、汗ビショでテントを建てた。次回からはいつも通り、コロッケ&ビール1本くらいでテント設営する事を心に誓う。

さて、時刻はまだ15時。焚火の準備にとりかかるとします。いつも薪はキャンプ場で買うのですが、量は受付のお兄さんに伺う事にしている。「15時から消灯時間の21時まで焚火したいのですが、どれくらい薪が必要ですか?」お兄さん曰く、燃えやすい針葉樹を3束と、長持ちする太い広葉樹を1束くらいがよいとの事。すると「サイコロ振って★のマークが出たら一束無料にしますよ」とお兄さん。しかも2人ともやっていい、と。「あーちゃん、持ってるから」と“おか”に言われながらまず私から。はずす。ちゃんと、はずす。持ってなかった、私。そして“おか”。★、出す。持ってる。“おか”こそ持っているじゃないの。ありがとう。有料3束&無料1束の薪を抱えテントへ戻る。そこからはゆっくり火を起こして。チビチビ飲んだり、味噌鍋つついたり、お喋りしたり。ホントに、ゆっくり。好きな時間。ただ毎回上手くいかないのが薪の使い方。どうしても最初、火が落ち着くまでは燃えやすい針葉樹の薪をどんどんくべる事になるんですよ。そうすると、なんだか薪がものすごいスピードで減っていっている気がして、セーブしちゃう。結果、寒い。でも夜までもたせたい、のせめぎ合い。で、結局消灯時間の直前になって薪が余り、最後ものすごい勢いで燃やす、という。もう“焚火”じゃなくて、ちょっとした“キャンプファイヤー”。さっきまでの凍えて震えた時間はなんだったのよ。毎回こうなります。

朝は7時から音OK。今回は数組しかいなかったので、見回せばわかるのですが6時半には全員起きていた。けど、みんな7時までなんとなくヒソヒソ喋っている。近所のワンコが散歩に来て吠えたり、どこからか子どもが10人くらい来て湖畔でワーワー遊んだりしていたけれど、みんなは7時までヒソヒソ。いい人しか来ないキャンプ場だ。

今回、私のキャンプ三大目的である“火”と“酒”は最高でしたが、もう一つの“星”はずっと曇っていて見えなかった。「それだけが残念だわ」と言うと“おか”が一言。「でも昨日薪買う時、星出たじゃない。」ハッ。ホントだ。サイコロで星、出た。じゃあ、三つとも叶ったわ。ありがとう“おか”。今年のキャンプ初め、よきものになりました。

そしてお次の同級生は“まーちゃん”。彼女も何度か登場しているのですが、実家が斜め前。だから小さい頃からいつも一緒に学校に行っていた。今では同じマッチファンとして一緒にコンサート行ったり、ここ何年か、年越しを温泉旅館で紅白見ながら共に過ごしている。そんな“まーちゃん”と、先日行われた松本伊代さんのコンサートに行ってまいりました。会場着いてグッズ売り場へ直行。伊代ちゃんTシャツに着替え、缶バッチ3つ付けて、ペンライト持って、よし。完璧。椅子に座ってワクワク待っていると、私の前の席に早見優さんが。後ろからそっと肩ポンポンしてご挨拶すると「やだ。ガチファンがいると思って、あまり見ないようにしてたのよ」と笑う優さん。その優さんの3つお隣の席につちやかおりさんもいらして。だいぶ前なのですが、お家ロケをさせていただいた事があって。「ご無沙汰してます。いとうあさこです」と椅子から腰だけあげて、身体は低い状態でご挨拶。「今日はたっぷり楽しみましょう」と席に座ろうとした瞬間、すってんころりん、とはこの事。映画館の椅子を思い浮かべていただけるといい。あれです。座ってないと座面が戻る、あの椅子です。私が腰を浮かして喋っている間に戻っちゃったのです。しかも席はうっかり通路側。勢いよく通路に飛び出し転がる私。周りのお客様、クスクス。恥ずかしいぜ。更に、元々“舞台上のアーティストさんが立って歌ってくださっているんだからこっちも立つ”派の私。近くにいた伊代さんのお知り合いの方が「伊代さんが1曲目から立って欲しいって言ってた」なんておっしゃるもんだから、“まーちゃん”始め、近くにいた知り合いのスタッフさんと「始まったら立ちましょうね」なんて言い合ったりして。そして、スタート。伊代さん登場。それに伴い勢いよく立ち上がる私たち。あれは何か決まっていたのかなぁ。皆さん、2曲目の「ビリーヴ」が始まった時に一斉に立ち上がったのですが、1曲目は座ったままで。ただこちらはもう立ち上がってしまったので、後ろの席でしたし「もうこのまま行こう」と。ペンライトを振りながら「伊代ちゃーん!」と叫んだ。

アンコール、最後は「センチメンタル・ジャーニー」。まさかのキャプテンさんもいらしていて、客席から舞台へ。実は私、『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』で一番最初にやったのがキャプテンさんのモノマネ。ついサビの♪何かにさそわれて~あなたにさらわれて~のところ、♪シュビドゥバシュビドゥバ シュビドゥバ ハンハンハンしちゃった。ふふふ。いやはや、本当に最高の時間でした。

7歳で出会ってから47年。今も続く“同級生”たち。長い付き合い、まだまだ思い出、作り中です。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

 

【本日の乾杯】オーストリアにて。シュニッツェル。薄いカツレツです。奥にあるポテトサラダと一緒にいただくのがあちらのスタイル。ポテサラが酸味強めで、且つ汁っけもあるので、本当によく合う。ビールをゴクリ。最高。

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。3』

海への恐怖を感じた、初めての遠泳。4人で襷を繋いだ「24時間駅伝」。お見合い旅inマカオ。“初”キスシーンに、“初”サウナ。ドラクエウォークで初めての高尾山。接続できずに大騒ぎのリモート飲み会。拍子抜けだった大腸検査。ブームに乗って、のんびり「おばキャン」、のつもりが……。いくつになってもあさこの毎日は初めてだらけ。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。2』

セブ旅行で買った、ワガママボディにぴったりのビキニ。いとこ12人が数十年(?)ぶりに全員集合して飲み倒した「いとこ会」。47歳、6年ぶりの引っ越しの、譲れない条件。気づいたら号泣していた「ボヘミアン・ラプソディ」の“胸アツ応援上映”。人間ドックの検査結果の◯◯という一言。ただただ一生懸命生きる“あちこち衰えあさこ”の毎日。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

ぎっくり腰で一人倒れていた寒くて痛い夜。いつの間にか母と同じ飲み方をしてる「日本酒ロック」。緊張の海外ロケでの一人トランジット。22歳から10年住んだアパートの大家さんを訪問。20年ぶりに新調した喪服で出席したお葬式。正直者で、我が強くて、気が弱い。そんなあさこの“寂しい”だか“楽しい”だかよくわからないけど、一生懸命な毎日。

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