<使用機材>Fujifilm X100V,RicohGr3
大家好!(皆さん、こんにちは=冒頭からかぶれている作家は私)。
さて昨年六月の当欄にて、台北ロケハン編をお届けした。食い物が美味く、会う人が皆優しい。私はいっぺんで台湾ファンになった。そして、前回の訪問からわずか七カ月後、私は同地を再訪した。
G舎文芸誌で『ブラックスワン』を連載中の私は、同作の第一回、二回で台北を舞台に主人公の元傭兵、城戸護が動き回る展開を作った。
目下、本作のラストに向け執筆作業が佳境に差し掛かっているが、どうしても大好きな台北を再登場させたくなり、一年で二回もこの地を訪れることにしたのだ。
急な訪問だったため、前回取材時にフルアテンドしていただいた現地の名編集者・竹中式子さんと会ったのは数時間のみ。熱沙(台湾式居酒屋)から林森北路(台北の歓楽街=日本人多し)へとハシゴしただけ。
要するに、現地の言葉を話せず、聞き取れず、読み書きもできない私が三日間台北の街を回ったのだ。
結論、なんとかなる。
当然、現地の治安が良く、地元民が優しいという要素が大きく貢献しているのは間違いない。だが元記者で、身振り手振りで意思疎通できる(実際、国際会議の取材もこれで通した)ことを知っているので、体当たりで『ブラックスワン』の主人公、城戸クンが歩きそうな場所、好みそうな屋台をあちこち回ったという次第だ。もちろん、スマホで簡単な翻訳機能も使いながらの食い倒れ旅だ。
私の著作を読んだことのある方ならご存知だろうが(未読の人は絶対読んでね)、食事に対する執着が人一倍強い。そして、あちこちのご当地メシが好きなのだ。作品のそこかしこにローカルフードが登場するのは、こうした取材の積み重ねの結果なのだ。
さて台湾といえば、豊富な現地食がある。野外のテーブル、屋台前の丸椅子、焼き台を目の前にして飲む地元ビールの旨さたるや。
そして私はこんな病に罹患している。
〈小洒落た店で飲み食いできない病〉
もはや不治の難病の重篤患者のため、台北でもひたすらワイガヤした店で飲み食いを続けた。
今回の旅で、こんな一幕があった。台湾随一の問屋街・迪化街を歩き回った際、一軒の食堂に入った。注文票にオーダーを書き込み、指定されたテーブルで待っていると全く違う小菜(おかず、惣菜)が次々に運び込まれた。
現地民で大混雑する店内で呆然としたが、ジェスチャーで頼んでいないと店の女将に訴えた。すると、隣のテーブルで食事していた親子が助け舟を出してくれた。〈その注文、ウチらのと間違えてないか?(多分、そんなニュアンスだった)〉。
すると女将が舌を出し、本来私が注文した品をすぐに提供してくれた。互いに言葉は通じなかったが、この親子と顔を見合わせて大笑いして、名物の水餃子を堪能した。
もう一つ、今回の旅で気づいたのは、配車サービス、ウーバーの便利さ(ちなみに同社から一円も受け取っていない)。
松山空港から食堂へ。食堂から居酒屋へという具合に、三日間で一〇回程度利用した。民間のドライバーがアプリで目的地に連れていってくれる仕組み。スマホ内で行き先や料金、適正ルートが表示され、かつクレジットカード決済なので、現金のやりとりが皆無(溜まる一方の小銭問題もない)。
かつて海外で何度もタクシー料金をボラれた経験があるので、この仕組みは非常にありがたかった。ざっくりとした体感だが、東京の半分程度のコストで清潔、安全な車両に乗車できる仕組みは、食い倒れ旅の強い味方になった(利用は自己責任で=市内あちこちを走り、一〇回の乗車で一万円を切る価格)。
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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar
食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!
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