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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

2025.01.18 公開 ポスト

#58

驚速リピの台北 食い倒れ編相場英雄

<使用機材>Fujifilm X100V,RicohGr3

大家好!(皆さん、こんにちは=冒頭からかぶれている作家は私)。

さて昨年六月の当欄にて、台北ロケハン編をお届けした。食い物が美味く、会う人が皆優しい。私はいっぺんで台湾ファンになった。そして、前回の訪問からわずか七カ月後、私は同地を再訪した。

 

G舎文芸誌で『ブラックスワン』を連載中の私は、同作の第一回、二回で台北を舞台に主人公の元傭兵、城戸護が動き回る展開を作った。

目下、本作のラストに向け執筆作業が佳境に差し掛かっているが、どうしても大好きな台北を再登場させたくなり、一年で二回もこの地を訪れることにしたのだ。

急な訪問だったため、前回取材時にフルアテンドしていただいた現地の名編集者・竹中式子さんと会ったのは数時間のみ。熱沙(台湾式居酒屋)から林森北路(台北の歓楽街=日本人多し)へとハシゴしただけ。

要するに、現地の言葉を話せず、聞き取れず、読み書きもできない私が三日間台北の街を回ったのだ。

結論、なんとかなる。

当然、現地の治安が良く、地元民が優しいという要素が大きく貢献しているのは間違いない。だが元記者で、身振り手振りで意思疎通できる(実際、国際会議の取材もこれで通した)ことを知っているので、体当たりで『ブラックスワン』の主人公、城戸クンが歩きそうな場所、好みそうな屋台をあちこち回ったという次第だ。もちろん、スマホで簡単な翻訳機能も使いながらの食い倒れ旅だ。

地元民で大行列の名店で、愛恨椒芝麵(ゴマと花椒のまぜそば)。濃厚なゴマダレと花椒のビリビリが最強のコラボ。絶対にもう一度食べたい。
まぜそばの名店でハマグリのスープ。強烈な旨みと独特のスパイスで身体中ポカポカに。
北門で台南名物の蝦仁飯(シャーレンファン)を。ブリっブリの蝦と、濃厚な蝦味噌ソース。この上に半熟卵を乗っけるのが最強らしい。

私の著作を読んだことのある方ならご存知だろうが(未読の人は絶対読んでね)、食事に対する執着が人一倍強い。そして、あちこちのご当地メシが好きなのだ。作品のそこかしこにローカルフードが登場するのは、こうした取材の積み重ねの結果なのだ。

さて台湾といえば、豊富な現地食がある。野外のテーブル、屋台前の丸椅子、焼き台を目の前にして飲む地元ビールの旨さたるや。

松山空港至近の朝市を探索。ごちゃごちゃしたマーケット好きにはたまらん朝散歩。
朝市の野菜部門。台湾って野菜が新鮮で美味いんだよね。
朝市の惣菜肉部門。ビール片手に食べ歩きしたら優勝間違いなし(取材なのでノンアル)。

そして私はこんな病に罹患している。

〈小洒落た店で飲み食いできない病〉

もはや不治の難病の重篤患者のため、台北でもひたすらワイガヤした店で飲み食いを続けた。

今回の旅で、こんな一幕があった。台湾随一の問屋街・迪化街を歩き回った際、一軒の食堂に入った。注文票にオーダーを書き込み、指定されたテーブルで待っていると全く違う小菜(おかず、惣菜)が次々に運び込まれた。

現地民で大混雑する店内で呆然としたが、ジェスチャーで頼んでいないと店の女将に訴えた。すると、隣のテーブルで食事していた親子が助け舟を出してくれた。〈その注文、ウチらのと間違えてないか?(多分、そんなニュアンスだった)〉。

すると女将が舌を出し、本来私が注文した品をすぐに提供してくれた。互いに言葉は通じなかったが、この親子と顔を見合わせて大笑いして、名物の水餃子を堪能した。

迪化街の老舗食堂。お世辞にも清潔とは言えないが、この雰囲気がたまらない(ここでまさかの配膳ミスが起きた)。
迪化街の老舗食堂、名物の水餃(猪肉)。ムッチムチの肉餡がたまらない。

もう一つ、今回の旅で気づいたのは、配車サービス、ウーバーの便利さ(ちなみに同社から一円も受け取っていない)。

松山空港から食堂へ。食堂から居酒屋へという具合に、三日間で一〇回程度利用した。民間のドライバーがアプリで目的地に連れていってくれる仕組み。スマホ内で行き先や料金、適正ルートが表示され、かつクレジットカード決済なので、現金のやりとりが皆無(溜まる一方の小銭問題もない)。

かつて海外で何度もタクシー料金をボラれた経験があるので、この仕組みは非常にありがたかった。ざっくりとした体感だが、東京の半分程度のコストで清潔、安全な車両に乗車できる仕組みは、食い倒れ旅の強い味方になった(利用は自己責任で=市内あちこちを走り、一〇回の乗車で一万円を切る価格)。

大稻埕媽祖廟の境内にある食堂街。前回の取材時に訪問、大好きになった場所。ガジュマルの木の下で飲むビール、地元料理の旨さたるや。
大稻埕媽祖廟の海鮮屋台でハマグリの炒め物。絶妙な火加減、香辛料でビール泥棒。魚の頭が丸ごと入ったスープが名物らしい。次回チャレンジ。
大稻埕媽祖廟、海鮮屋台のショーケース。魚やイカを好きなように調理してくれる(言葉ができないので、定番メニューばかり)。地元客がワヤワヤ集まってくる賑やかなお店。

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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!

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相場英雄

1967年新潟県生まれ。元時事通信社記者。主な著書に『震える牛』(小学館文庫)、『血の轍』、『KID』(ともに幻冬舎文庫)、『トップリーグ』  『トップリーグ2/アフターアワーズ』(ともにハルキ文庫)。近著は『血の雫』(幻冬舎文庫)、『レッドネック』(ハルキ文庫)、『マンモスの抜け殻』(文藝春秋)、『覇王の轍』(小学館)、『心眼』(実業之日本社)、『サドンデス』(幻冬舎)、『イグジット』(小学館文庫)『ゼロ打ち』(角川春樹事務)、『マンモスの抜け殻』(文春文庫)。『フェイク・フィクサー』(小学館ストーリーボックス連載中)、『ブラックスワン』(小説幻冬連載中)。

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