
雪国が舞台である作品の撮影。
雪の恩恵を存分に受け、人のあたたかみと、雪国の大変さと、それを越す雪景色の美しさと、ほんの数日で感動の連続だった。
郡山駅に着くと、全く雪は降っておらず、積もってもいなかった。車で宿泊先のホテルへと出発すると、ほんの数分で雪がちらほら見えてきた。そして1時間もしないうちにこの雪景色。

「記録的な寒波により、高速道路や道路の通行止め、電車の運休等が発生しています。到着時間にお迎えに上がれるよう向かいますが、万が一遅れる可能性もあり、またホテルまでの所要時間が大幅にかかる可能性があります。」
前夜にもらった連絡を、私は全然しっかり想像出来ていなかった。郡山駅にお迎えに来てくださったスタッフさんと合流し、車に乗り込む。
高速道路が通行止めとなり、使えるのは山道を通って行く経路のみ。1時間のところ、1時間半もしくはもっとかかるかもしれないとのこと。
普段から都内近郊での撮影が多いため、車での移動1時間なんてのは慣れているし、2時間かかる場所への移動も珍しくはない。「全然大丈夫です!」と、なかなか来れない東北にワクワクしていた。
しばらく走るとあっという間に雪景色となり、私の心は大興奮。
1時間ほど経ったところで、交通整理のおじさんが雪の中外に立っていた。どうやらその道も通行止め。迂回ルートを聞き、改めて出発。
しばらくすると、また雪の中で立っているおじさん。また通行止め。
こんな大雪の中、外に立って、車一台一台に声をかけて、大変だなぁと雪に慣れていない私は勝手に心配になる。
途中、ちょっと窓拭いてきますね!と運転手さんが車を止めフロントガラスにむかった。凍ってしまって前が見えにくいそう。
その後もしばらく雪道を走るも、「うわ〜線が見えない〜」どうやらこれをホワイトアウトと言うらしい。
いつもの慣れた2時間程の移動は気楽に何も考えずに乗せてもらっているけれど、こんなに不安になる道中は初めて。山道でまわりに車がいなくて、ホワイトアウト。ここで止まってしまったらどうなるのだろうとどんどん不安になるも、初めての経験に若干ドキドキワクワク。
「大丈夫っす!道はどっかしら絶対繋がってます!」明るいスタッフさんのお陰で、心配は心配だけど、深刻な気持ちにならなかったのは有り難かった。
山道を乗り越え、街のネオンが見えてきたときの安心感と言ったら。ここならもし止まってしまってもなんとかなるだろうという想い。

ホテルに着くとすっかり暗くなっていた。
道路からホテルまでの道が雪でいっぱい。今回初めて雪を踏みしめた瞬間。おおお、なかなかの雪だな、滑らないようにと慎重になる。
夜ごはんは新幹線で食べようと買っておいた、食べ損ねたものがあったので、グッジョブ自分!と思って部屋で食べた。正直、ハラハラドキドキでいつもよりも特段疲れてしまった模様。
食べ終わると、明日の朝ごはんを買いに行かなくちゃなぁと思いつつ、近くに温泉がある情報を仕入れていたので、迷いつつも今日は疲れたし大きなお風呂に入りに行くことにした。疲れたけど、雪も見たかった。
外に出ると先程ホテルに着いたときよりも積もっている雪に驚き、Googleを頼りに歩いていく。途中にコンビニあるかなと思っていたけれど、よくよくGoogleマップを見ると営業時間が終了していた。反対側に5分程行くと24時間営業のセブンがありそう。帰りにして温泉に向かう。
思っていたよりも雪が積もっている。歩道と車道がもうどこだかわからない。こんなに道路が見えなくなるんだ!という状況に遭遇して驚き。自然の中の雪が降っている場所には何度も行ったことがあるけれど、街中でこんなに雪が積もっている場所に来たのはもしかしたら初めてかもしれない。札幌や秋田に行ったときも雪は積もって白い世界だったけれど、歩道と車道で迷ったことはなかったから、生活の中の雪にびっくり。
温泉までの道は5分もかからないはず。大きな看板は見えている。なのに、本当に辿り着けるのか不安になる。看板の矢印に沿って大きな道から細い道に入ると、「え、ここ、人が歩いていいところですか?めちゃくちゃ雪深いですけど、この下は道で合っていますか?大丈夫ですかーーーーー⁇」っとまたまた不安になった。しばらく行くと急に雪がなくなり、よく見ると、ホースに小さな穴が等間隔に空いていて、水が出ている。
ほほう。これは雪を溶かすためのものかな?雪国の知恵を感じ楽しくなる。
5分の道ですらかなりのアドベンチャー。
無事に温泉に入り、湯冷めしないようにと思いつつホテルに帰る。この時にはもう、反対側に更に5分歩くのは危ないという判断で、コンビニに行くのは諦めた。朝ごはんより怪我をしないことよ!と自分に言い聞かせる。雪に慣れていなさすぎる私には雪道を歩くことがこんなに大変だなんて全く理解出来ていなかった。外に出たことへの若干の後悔。楽しかったけど、怪我しなくてよかったとしか言えない。

前のりの日だけでこんなに原稿書けてしまうほど、雪には大大大興奮出来てしまう。
撮影の様子はまた次回。
雪の撮影。大感動が沢山あったので、絶対記しておきたい。