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焚き火をしたことがありますか?

 

自由気ままに揺れ動く炎をただ見つめるだけの時間。なんて贅沢なんだろう。

キャンプといえば、焚き火。そう言い切って、差し支えないでしょう。

 

 

ルワンダで暮らしていた数年前、自宅の庭で焚き火をしたことがありました。

ルワンダでの忘れられない焚き火。

アフリカの夜は暗い。焚き火の炎がよりいっそう煌めくのです。

人生の希望をなくしてしまわないよう、アフリカの風にはためく炎を見つめていました。そして、夜空へと舞い上り闇に溶けていく火の粉たちが星になるのかもしれない、と考えたりもしていました。

平気でこんな痛いことが言えるほど酔いしれていたし、これこそ焚き火の良いところでもあります。

 

すると、突如、ルワンダ人の大家さんの声が聞こえてきました。

「ねえ、なにしてるの?」、「料理でもしてるの?」と。

 

いいや、ただ火を見てリラックスしているだけだと答えると、「なぜだ?」とアフリカオオハコノズクよろしく目を細めている。ルワンダではまだ焚き火を使って調理をする家庭もあるので、火を焚くだけという行為は不可解なのでしょう。

おかしなジャパニーズが、お米の神を降臨させる謎の儀式でも始めたのかと思ったのかもしれません。

 

たしかに焚き火って、冷静に考えたら不思議な行為ではあります。

火を燃やすということは、木や炭などの燃料を消費し、エネルギーを生み出す行為です。

にもかかわらず、生み出されたエネルギーを垂れ流し、ただ見ているだけという鬼畜の所業。

 

湖の上でコーヒーをドリップしてコーヒーが水と混ざり消えていく様子をただ見つめているのと、行為としては同じである。

そりゃ、あんたなにしてんねんとパジャマで飛び起きてでも、その訳を尋ねたいものである。

 

でも、その一見ムダでしかない行為の中にこそ、贅沢があるのだろう。

 

なんでお腹下すのかが分かってるのに激辛つけ麺食べるねん。

なんでせっかく芯まで身体温めたのに水風呂に入るねん。

なんで雨風防げる家があるのにテントを立ててまで外で寝るねん。

 

ムダこそ至高なのだ。

 

今年は、湖コーヒードリップウオッチングが流行るかもしれない。

冷静にみるとエネルギーのムダ遣いである。

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