
「健康診断結果は気にしない」「毎日の晩酌は欠かさない」「お金はためるより使う」……。ホリスティック医学の第一人者で現役医師の帯津良一先生が実践する、人生100年時代を楽しく健やかに老いるコツとは。新刊『ときめいて大往生』より、一部をお届けします。
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ときめきが、がんを消した!
ときめきによって、病状がよくなった例として真っ先に思い出されるのは、約40年前に担当した70代の女性です。初期の胃がんでした。
まだ病巣は小さかったので私は手術を勧めました(ちなみに、ホリスティック医学は西洋医学とは異なる立場を取っているから手術を否定すると考えている方がいますが、それは誤解です。ホリスティック医学は人間をまるごと見る医療なので、その中には当然、西洋医学も含まれます。その人がよくなるために複合的に戦術を立てるのがホリスティック医学です)。
しかし、彼女は手術を拒否。簡単な手術だからと説得しても首を縦に振りません。そこで、「もう少し大きくなったら手術だよ」と言って、ひとまず漢方薬を処方しました。そして迎えた次の診察。病巣は少し大きくなっていました。手術を勧めたものの、相変わらず嫌だと言って拒みます。
そんなことが何度か続いたある日のことです。いつものように検査を行い、画像データを見ていたとき。私は我が目を疑いました。
なんと、がんがないのです。跡形もなく消えてしまっているではありませんか。私は驚いて「前の診察から今日までの間に何かありましたか?」と聞きました。すると、習っている踊りの発表会があったとのこと。毎日練習に没頭し、発表会では満足いく踊りを披露することができたと嬉しそうに語ってくれました。
「これだ!」
私は直観しました。大好きな踊りに夢中で取り組んだことが、彼女の自然治癒力を高めて、がんを消してしまったのではないかと考えたのです。
ときめきが、がんを消してしまったのです。
エビデンスがなくても、治る可能性は誰にでもある
もちろん、先ほどの女性のような例が頻繁にあるわけではありません。
「ときめきが自然治癒力を高めて、がんを消し去る」
そんなことは証明できません。言うなれば、エビデンスはありません。
しかし、起こったのは事実です。誰にでも起こるわけではありませんが、私はこれまでそういう人を何人も見てきました。
エビデンスはないけれど、可能性は誰にだってあるのです。
がんが自然消滅するのは稀な例ではありますが、ときめきによって病状がよくなるのは日常茶飯事です。
例えば、腫瘍マーカーなどの定期的な検査をしても、日々ときめきを感じながら生きている人は、少しずつよくなっていきます。また、前の病院で余命を宣告された人であっても、その期間よりも長く生きることがほとんどです。
なぜ、ときめきが人を治すのか? 私は次のように考えています。
人はときめいているとき、心が小躍りします。まるでお祭りのお囃子が聞こえてきたときのように、なんだかワクワクして心が打ち震えます。すなわち、生命が躍動しているのです。
この、生命の躍動こそが自然治癒力を高めるカギ。生命が躍動することでエネルギーが増産されて、自然治癒力(体内に生じた不具合を治す力)をはじめ、免疫力(悪いものを寄せ付けない力)も高まっていくのです。
つまり、大往生するためには、いかにときめいて生きるかが大切なのです。
ときめいて大往生

ホリスティック医学の第一人者が教えるごきげんに長生きする秘訣とは。新刊『ときめいて大往生』より、試し読み記事をお届けします。