
「健康診断結果は気にしない」「毎日の晩酌は欠かさない」「お金はためるより使う」……。ホリスティック医学の第一人者で現役医師の帯津良一先生が実践する、人生100年時代を楽しく健やかに老いるコツとは。新刊『ときめいて大往生』より、一部をお届けします。
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健康診断結果に一喜一憂しない
以前、作家の五木寛之さんと対談したときのことです。席につくなり、五木さんが私の腹回りを見て一言。
「近頃、メタボリックシンドロームということが、色々取り沙汰されていますが、あれはどういうことなのですか?」
どうやら私の腹が、五木さんにメタボを想起させてしまったようでした。そう、私はメタボなのです。最新のデータは腹囲98センチ。腹囲以外のメタボ診断の基準となる数値も標準値を超えています。
けれども、私は意に介していません。だから、あっけらかんと答えました。
「いやぁ、あれは余計なお世話ですよ!」
ちなみに、私はアルコールによる肝障害の指標の一つも、正常値の5倍以上を記録しています。
つまり、私の体は、数値上は健康とは言えません。
ところが、私は健康なのです(そう信じています)。
毎日好きなものを食べ、自分の足で歩き、自由に話し、晩酌を楽しんでいる。これを健康と言わずして、なんと言いましょう。
だから私は、健康診断の結果は気にしません。
もちろん、健康診断は病魔を知らせる重要なサインとなりえます。けれども、その結果に不安をふくらませ、生命エネルギーを消耗してしまっては、かえって健康を害することもあります。
そもそも、年を取れば、すべての数字が正常などということはありません。むしろ、異常値があるのが正常なのです。
偏食バンザイ!
食事については、玄米菜食だとか、色々こだわる人がいます。
ですが、私はどちらかというと、万人向けの食事療法はないという考え方です。
私が敬愛する江戸時代の学者・貝原益軒は『養生訓』の中で、食事に関して次のような考えを記しています。
「好きなものを少しだけ食べる」
その理由として、好きなものは体が、あるいは命が要求しているのだから、薬のようなものだということ。そして、ほどほどに食べると胃腸にスキマができて気がめぐりやすくなり、消化もしやすくなって、すべてが栄養として行き渡るということです。
私もまったく同感です。
おいしいというのは、とても大事な感覚です。体や心が欲するものを、私たちはおいしいと感じるはずだからです。
人によって、おいしいと感じるものは違いますし、同じ人でも、日によって食べたいものは変わります。つまり、体はちゃんと、そのとき体に何が必要かサインを出してくれているのです。そのサインをしっかり受け止めて、「おいしい!」と心をときめかせて、一食一食味わっていきたいものです。
ちなみに、私は野菜が大嫌いです。「お医者さんなのに偏食なんですね」と驚かれることがありますが、どんなに体にいいと言われているものでも、自分が好きではないものを嫌々食べていては、健康にはなれないと私は思います。
だから、偏食をやめようなんて考えなくて大丈夫。自分がおいしいと感じるものを、喜びとともにかみしめていきましょう。
ときめいて大往生

ホリスティック医学の第一人者が教えるごきげんに長生きする秘訣とは。新刊『ときめいて大往生』より、試し読み記事をお届けします。