
「健康診断結果は気にしない」「毎日の晩酌は欠かさない」「お金はためるより使う」……。ホリスティック医学の第一人者で現役医師の帯津良一先生が実践する、人生100年時代を楽しく健やかに老いるコツとは。新刊『ときめいて大往生』より、一部をお届けします。
* * *
あれもこれも、今は退屈で見る気がしない
年を取ってから、やめたことがたくさんあります。
新聞を読まなくなった
野球を見なくなった
映画館へ行かなくなった
地方へ行っても名所・旧跡を見なくなった
例えば野球。私は長嶋茂雄さんと同級生なんです。同級生といっても大学は違いますが、年が同じ。私は長嶋さんが大好きなので、立教VS東大の試合が行われるときはよく神宮へ応援に行っていました。授業中だとしても先生公認です。例えば、解剖学の先生が講義をしていると、助手が教室に入ってきて紙切れを渡す。そして先生が言う。
「諸君。この授業はこれで終わり。今、神宮で東大が立教に1点リードしている。すぐに行ってください」。それで、みんなでわーっとカバンを持って行く。そんなこともありました。
長嶋さんがジャイアンツに入ったら、それまで私は西鉄ファンだったけれど、ジャイアンツファンになりました。それくらい野球を楽しんでいました。
けれども、今はまったく野球を見ません。嫌いじゃないんだけど、自然と見なくなりました。これは決してネガティブなことではなく、興味の対象が変わってきたということだと思います。今の私にとって、とにかく晩酌さえあれば、他のことは少しぐらいなくなっても大丈夫なんです。
生活の中で心の赴くまま、やめることを増やしていくと、その分、興味の対象が際立って、ときめきの質が高まってくる気がしています。
義理でしていたことをやめる
やめることを増やすという意味では、これまで義理でやってきたこともやめました。
一つは、年賀状。
かつて私は毎年、千数百枚の年賀状を出していました。数が多いので印刷せざるをえないのですが、印刷したものだけを送っても味気ない。そこで、何か一言書き添えようとするのですが、この時間を捻出するのが非常に大変だったのです。
だから、ある年から誰にも何も言わずにやめました。最初のころは返事が来ないと怒っている人もいたらしいのですが、今はもう何も言ってきません。
もう一つは、冠婚葬祭です。
「もういいだろう」というのが、正直なところです。
特に、私の年齢になると葬式やお通夜の連絡が来ることが多いのですが、そもそも突然なので時間が合いませんし、どうせまた向こうで会えます。
そんな感じで、どちらも申し訳ないと思いつつ、すっかりやめてしまいました。
年を取るということは、この世での持ち時間が減るということです。若いころの1時間と、シニアの1時間とでは、その重みも密度も異なります。
だから、ある程度の年になったら、義理でやっていたことを思い切ってやめてみてもいいのではないでしょうか。
そして、そうやって捻出した時間を、自分の心がときめくことに使っていきましょう。
ときめいて大往生の記事をもっと読む
ときめいて大往生

ホリスティック医学の第一人者が教えるごきげんに長生きする秘訣とは。新刊『ときめいて大往生』より、試し読み記事をお届けします。