
私は犬を飼い始めた。
とても癒される毎日で、良いメリハリを仕事とプライベートにもたらしてくれている。
私の仕事はずーっと家に篭ってするので、ずーっと一緒にいる。四六時中かまってくれと要求してくるもんだと思っていたが、そんなことはなく、ご自身のタイミングがあるみたいだ。
これまで喫茶店などでの執筆が性に合わなかったりしたこともあり、ひとりの空間でないと書けないと思っていた。しかし、何も問題なく執筆をできている。
走り回ったり日向ぼっこをしている姿を時折眺めて執筆をしている日々だ。
このエッセイを書いている今は、太陽に当たりすぎて暑くなったのか、冷たいフローリングの床で体を冷ますようにグテンと寝転んでいる。目を細めて気持ち良さそうにしている。
犬を飼って知ったことや学んだことがたくさんある。
そのひとつが、携帯電話の写真フォルダが犬だらけになるということだ。
全く写真を撮らない私のこれまでの写真フォルダは、目覚まし時計のスヌーズを止める時に誤ってスクショした写真ばかりだった。それとたまに舞台美術の写真。
それが今は犬だらけの犬まみれだ。同じような写真が何枚もある。自分でも思う、ちょっと背景が違うだけじゃないかって。でも写真を撮るその瞬間は毎度新鮮な愛くるしさを覚える。
容量が60GBだった携帯電話を128GBに買い替えて、今後も写真フォルダを埋め尽くす気でいる。買い替える際に店員さんに伝えた買い替えの理由はバッテリーの減りが早くなってきたからということにしておいた。犬に沼ってしまったもんで、というのが恥ずかしかったのだ。

私は犬に沼っている。このエッセイのタイトルを「私は演劇と犬に沼っている」にした方がいいぐらいだ。
まあしかし、犬について面白おかしく書くことがそんなにない。ただ、好き。というだけだ。
演劇のように思想や見解、メッセージなど何もない。犬がお手を覚えました!だけで記事ひとつを書き切ることが私にはできない。
そう考えると演劇にまつわることをよくこの1年書いてきたなと思う。
そう、ちょうどこの「私は演劇に沼っている」を書き始めて今月で1年経ったのだ。
演劇を始めて10年ちょっとのペーペーな人間が、タイトルに演劇という言葉をつけてよくもやってきたと思う。恐縮です。
書きたいことがある時は存分に書かせていただき、これといって書きたいことがない時はどうでもいいことをダラダラと吐き出させていただき、普段の執筆と違う脳で書けるこの場所に感謝をしている。
「エッセイを読んでいます」と言ってもらえる機会も度々あり、嬉しさと照れ臭さで「えへへ」としか返せない私ですが、読んでくださる方のお陰でなんとか続けてこれています。
終わるその時まで、流し見ていただけると嬉しいです。
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私は演劇に沼っている

脚本家、演出家として活動中の私オム(わたしおむ)。昨年末に行われた「演劇ドラフトグランプリ2023」では、脚本・演出を担当した「こいの壕」が優勝し、いま注目を集めている演劇人の一人である。
21歳で大阪から上京し、ふとしたきっかけで足を踏み入れた演劇の世界にどっぷりハマってしまった私オムが、執筆と舞台稽古漬けの日々を綴る新連載スタート!