◆単巻で100万部、圧倒的に1位になれる漫画
――バトルは日常茶飯事。関根さんが編集者として苦労するのも、やっぱりそこの折り合いをつけたり、着地させたりする部分ですか。もしくは仕事をしていて一番燃える、高揚感に駆られるのはどういうときですか。
関根 苦労と高揚感はほとんど一緒ですね。お二人とも才能も情報量もとても豊かな方で、ケンカすればするほどよいものができるという感覚は3人とも共有しています。
鈴木さんが、「とにかくこれは描いてほしい」とか、「これは言わなきゃいけないことなんだ」ということのなかには、ものすごく本質的なエピソードがある。肥谷さんが「絶対こうしなきゃダメだ」ということにもエンターテイメント上の重要な要請がある。それをどうにかつなぐべく、私もいろいろ提案するんですけど、それはすごく楽しいことだし、チャレンジングなことでもあります。ここまで現実の話をベースにして週刊連載している作品は、今の漫画誌ではなかなかないんじゃないでしょうか。そういう意味で、楽しくやらせていただいています。
――楽しいと思えるには、3人の強い信頼関係というか、それこそ夫婦じゃないですけど、ケンカしても大丈夫だという信頼感がないとやっていけないですよね。
関根 そうですね。あとはやっぱり、『家のない少年たち』という原案本が圧倒的におもしろいので、この話を日本中の方に知ってほしいという思いがあります。漫画にすれば、単巻で100万部くらい売れてもまったく不思議じゃないおもしろさだという信念があって、それは最初のときからまったく変わりません。そのことはずっとお二人にも伝えていて、みな同じ思いです。だから、がんばれているんだと思います。
――関根さんが漫画編集をしていて、「やったな」と思うのはどんなときですか。どんなときに達成感を感じるんでしょうか。
関根 読者からの反響が大きいときとか、単行本の売上がいいときとか。ただ毎週、これだけ打合せしていると、雑誌が出る前から手応えがわかるときがあります。今回はこれぐらいのことができたから、読者アンケートの結果はこれくらい、というような。
『ギャングース』はアンケートの順位がいいんですよ。いつもだいたい3位から5位の間をキープしている。1位を取ったこともあります。トップではない1軍みたいなイメージですね。でも自分の感覚としては、圧倒的に1位じゃないと納得いかないんですが(笑)。
――担当者としては、どうしてこれが圧倒的1位にならないの、と思いますよね。
関根 1位にならないといかんな、と思います。そこがまずは最初の目標ですね。『ギャングース』はアンケートを寄せてくださる層がものすごく幅広いのも特徴です。10代の女の子もいれば、60代の男性もいる。60代の女性が「日本の子どもたちの未来が心配で、目が離せなくなりました」と言ってくださったり、「振り込め詐欺の対策として町内会で回し読みしました」というコメントをいただいたり。そういう反響を全国からいただいていまして、「今」という時代と同時に走ってる感覚があります。
単行本が単巻で何十万部も売れるというような超ベストセラーではないんですが、有名人の方も読んでくださっていて、三浦しをん先生が書評を書いてくださったり、ケンコバさんがテレビ番組で紹介してくださったり、有吉さんがツイッターでツイートしてくださったりして、大変驚きました。
――作品に存在感というか、影響力があるからですね。
★『ギャングース』第1話が無料で読めます!
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★第3回「鈴木さんは真のプロ。こんなに信頼できる人はいない」は3月26日(木)掲載予定です。お楽しみに!