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結婚はつらいよ!刊行記念対談

2015.12.20 公開 ポスト

『結婚はつらいよ!』刊行記念対談

第3回 銀座の女と浮気した夫。気がついたのはパンツの変化から。今村三菜(エッセイスト)/辛酸なめ子

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辛酸 その社長と遊ぶようになって。

今村 社長が「しのやん(編集部注:今村さんのご主人の愛称)、100万円貸して」って言ってきたところから、全部、始まっちゃったんです。

辛酸 それで帰ってこなくなって、みたいな。

今村 はい。それでその社長が、夫をいろいろと面白いところに連れて行っちゃったんですよ。銀座ですとか。銀座のあと、六本木のショーパブとか、そういうところに。

辛酸 でも、そうですね、本を拝読すると、浮気相手のアサミちゃんっていう方は、けっこう……。

今村 本当はね、○○○ちゃんって言うんです(編集部注:お相手の本名)

辛酸 ○○○ちゃんなんですね。本当にブログを探そうかなと思ったぐらいです、○○○ちゃん。

今村 ブログは「○○○のキラキラDays」です。

辛酸 「キラキラDays」って、すごいセンスですよね。

今村 すごいセンスですけど、ぜんぜん……。

辛酸 空虚な感じなんですか。

今村 見ても、ぜんぜんキラキラしてないんです。

辛酸 顔がわからないぐらいの人だとか。

今村 ぼやっとした印象で、夫の浮気相手なのに、顔が覚えられなかったんです。

辛酸 じゃ、その人自体、何か霊的にヤバイ感じなんですかね、女性自体が。

今村 霊的!? どうなんでしょう、霊的ですか……。

辛酸 わからないですけど、その女性も、そんなに素敵な感じがしない。

今村 私、男子の友だちにそのブログを見せたんですけど、(相手の女性の画像を見て)「これは目頭切開をしているんじゃないか」って言われまして。

辛酸 目頭切開。

今村 「これ、ちょっと普通じゃない」と。是非ごらんください。「○○○のキラキラDays」(ここでスマホで検索した、くだんのブログを回覧)──そう、それです、すぐ出るので。これを機会に是非、その○○○ちゃんのブログの読者が増えたらいいなと。

辛酸 ああ、でも、すごくセクシーな感じの。

今村 でも、これはね、どこかでお化粧してもらって撮ったやつでしょう。だから本当の顔はこれじゃないですよ。

辛酸 あんまり、そこまで可愛くない気もしますけど。

今村 もっとね、ぼやけた顔で。友だちが、そのぼやけた感じが、私と似てるって言うんですよ。そこのところが不幸の中にも救いがあったっていうか……。

辛酸 「ぼやけた」って、なんか癒し系みたいな感じ。

今村 私も実際、会ったことないので。ブログだけなので。


銀座の女性、驚きのテクニック!

辛酸 その○○○ちゃんが、銀座のホステスならではのテクニックで、夫を籠絡(ろうらく)してしまったっていう。

今村 でも彼女のお店は高級キャバクラなので、本当のプロじゃないみたいなんですよ。本当は、その人は何をやっているか。ブログに毎日、日記みたいに「今日は何とかショーのコンパニオンをやってます」とか書いてあるので──パチンコ屋で、「頑張ってください」とかって言いながら、飴をあげたりする人がいるんですか?

辛酸 ああ、そういう人がいるんですね。

今村 私も知らなかったんですけど、それをやったりしているみたいです。毎日、仕事の予定を書いているから、会いに行こうと思えば会いに行けたんですけど、私もそこまでの力が出なかったというか。

辛酸 体力とか、このいろんないざこざで疲れて?

今村 いや、やっぱり年齢的なものだと思います。夫にそこまで執着がなかったというか、○○○ちゃんにヤキモチを感じたということは一度もなかったんですね。

辛酸 そうなんですね。じゃ、そんなに恨みとかもなく。

今村 ○○○ちゃんに対しての憎しみはないですね。ヤキモチも。

辛酸 そうなんですね。達観に近づいていらっしゃったと。

今村 結婚生活も長いからだと思います。もう、男と女じゃなくて、家族だったから。

辛酸 そうだったんですね。「だんだん話題も合わなくなっていった」というようなことを、本文でも書かれていましたものね。でも、最初は相手のほうが今村さんのことを大好きで、追ってきたと。

今村 そう、すごい追ってきたんですけど、結婚後に、「あのとき思ってたミナちゃんと、このミナちゃんは違う人だ」って言われました。

辛酸 ええっ、違う人。

今村 「違う人だった」って、そんなこと言われても私は困ると。

辛酸 勝手に理想化していたんですね。

今村 そうなんです。「永平寺の雪が似合う」とか言われましたから。

辛酸 でも、浮気相手の方の、ボディシャンプーでティファニーのネックレスを引き寄せるって、すごいテクだなと思いました。

今村 そうなんです。100倍、「100分の1返し」って。夫が買ったティファニーのネックレスは、365,500円でしたから。

辛酸 ボディシャンプーは2,000~3,000円ですよね。

今村 はい、3,500円でした。

辛酸 それでも、手紙が付いていたから、それだけの価値があったというか。

今村 だけど、妻がいるとわかっている男に、浴室で使うものを──私も使う浴室で使うボディシャンプーを寄こすとは、ちょっと頭が悪いのかな、とか。

辛酸 何も考えていなかったってことですかね。「これで証拠を消して」みたいな意味でもないんですかね。

今村 証拠と言いますと、体液とかですか。

辛酸 そうです、その浮気の証拠をこれで……。

今村 「消してください」という意味ではなかったのかと。そこまでは考えていなかったですね……。それは、○○○ちゃんのアパートで流してきたんじゃないかって、私は思っていたんですけど、そこまで……?
 

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今村三菜 エッセイスト

1966年静岡市生まれ。エッセイスト。仏文学者・詩人でもある祖父・平野威馬雄を筆頭に、平野レミ、和田誠など芸術方面にたずさわる親戚多数。著書に『お嬢さんはつらいよ!』『結婚はつらいよ!』(ともに幻冬舎)がある。

辛酸なめ子

近著に「スピリチュアル系のトリセツ」(平凡社)、「電車のおじさん」(小学館)、「無心セラピー」(双葉社)、「新・人間関係のルール」(光文社新書)、「女子校礼讃」「辛酸なめ子の独断! 流行大全」(中公新書ラクレ)など。

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