「あなたの男性を見る目には甚(はなは)だ疑問を感じる」と肉親や友達から言われるようになって久しいが、男友達に「キミに好みだとか、好きだとか言われたくない。オレに失礼だ」と言われた時には「フン」と思った。
もう自分だけの為に朝食の支度をするのにも慣れたが、最近、私の淹(い)れるコーヒーは大変美味しい。
朝食に、パンをトーストし、チーズ入りのオムレツを作る傍らで、マグカップ一杯のコーヒーを淹れる。電動のコーヒーミルのスイッチを押し、ビビビーンとコーヒー豆を挽く。ガラスのサーバーの上にドリッパーを置き、ウェーブ状のペーパーフィルターをセットする。
細か過ぎず荒過ぎず、自分好みのいい按配(あんばい)に挽いた豆をフィルターの中にザラッと入れ、お湯を少し注ぐとコーヒー豆の粉がフワッと膨らみ、芳しい香りが漂ってくる。この瞬間に私は、幸せを感じる。
トーストやオムレツを食べ終わって、後片付けが終わっても、マグカップに残った冷めたコーヒーを最後までゆっくり大事に飲み干す。
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さすらいの自由が丘
激しい離婚劇を繰り広げた著者(現在、休戦中)がひとりで戻ってきた自由が丘。田舎者を魅了してやまない町・自由が丘。「衾(ふすま)駅」と内定していた駅名が直前で「自由ヶ丘」となったこの町は、おひとりさまにも優しいロハス空間なのか?自由が丘に“憑かれた”女の徒然日記――。