こんにちは、幻冬舎営業局のコグマ部長こと太田です。幻冬舎の販促責任者です。
突然ですが、私の好きなエピソードにこんなのがあります。
――1993年、創業したばかりの幻冬舎に石原慎太郎さんが社長の見城徹を訪ねてきた。当時、石原さんは当選9回を重ねる政界の重鎮であると同時に、国民的人気も高い。その石原さんが、かつてから深いつきあいがあったとはいえ、まだ幻冬舎を立ち上げたばかりの見城にこう言った。
「もしも俺がまだおまえの役に立つんだったら、何でもやるぞ」。
そして後年、『弟』、『老いてこそ人生』『天才』など大ヒット作につながっていく。
こんな胸が熱くなるエピソードにはほど遠いが、今、俺は幻冬舎plusのT編集長に言おう。「俺が何か役に立つなら」と。「俺の華麗な日常をこの幻冬舎plusで皆さまにお伝えしよう」と。
某月某日
朝。自宅で購読しているのは朝日と日経。欠かさず読む日経朝刊の「愉楽にて」は林真理子さんの新たな代表作になる連載だ。富豪とも言うべき上場企業のオーナークラスであり、知識層にいる男たち。50代前半の彼らの生態、具体的には金の使い方、恋愛もよう、インテリジェンスなどがリアルで面白い。
朝から過激な性描写もあり、「平成の源氏物語」の声もあるのもよくわかる。しかし、林さんは人間が心の奥底にある覗き見スピリッツを煽るのが上手い。
朝は極力早く会社に。定時前に自分マターの仕事を済ませようと努力してフル回転するが、大抵長続きせず、コーヒーブレイク。コーヒーはすぐ前に座っている女子社員が自費で買ったインスタントコーヒーを勝手に飲んでいる。
今、幻冬舎は新書が好調だ。始業の10時を過ぎると、書店からの注文電話がひっきりなしにかかってくる。「極上の孤独」(下重暁子さん)「歴史と戦争」(半藤一利さん)「世界一簡単なフランス語の本」(中条省平さん)などなど。いずれもすでに大量重版している。しかしアナログだが、出版社は電話とファクスがまだメインだ。
今日営業先で買った本は「涙香迷宮」(竹本健治さん 講談社文庫)。なんと恩田陸さんが解説。単行本でも買ったが、この解説も気になって再度購入。
某月某日
通勤中は大体ゲラ読み。今年50歳になる身としては電車の中では特に字が読みにくいので、JINSのリーディンググラスを愛用。約5000円。読んでいるゲラは、明日の会議で部数が決まる銘柄だ。進行が遅くて、昨日の夜にゲラを手にしたのだった。
出版社の営業だと周囲から「色々読めていいですね」と言われることは多いが、全部が全部自分の趣味に合うものばかりではない。むしろ読むのが苦痛なのもある。例えばティーンエイジャーの小説は俺が読んでもしょうがないとか、そういうことだ。
編集者から「まぁ好みじゃないかもしれないから、読んでみてよ」って言われる銘柄だけでも何冊もあるし、そもそも毎月大量に出している本を全部追いかけることも正直難しい。
でも、かつて、とあるカーディーラーから「自分にも自社の車に好き嫌いがあるですけど、嫌いな車にもカッコいいところを見つけてあげるんです」って言われたことがあったんで、どの本でも必ず褒めるところ、セールスポイントがあると思って読み進める。
某月某日
今日は昨日読んだゲラの部数が決まる「部決会議」。見城以下、担当編集者、出版局、営業局のメンバーが一堂に会して部数を決める。当然のことながら、作品の内容をある程度把握して会に臨む。今日俎上に上るのは何点かあったが、メインは「読書という荒野」。著者は見城徹。自社の社長の著作を、その本人がいる場で部数を決めるというなかなか貴重なシチュエーション。たまに感想を求められることがあるので、ある程度まとめていたが、特に聞かれなかった。またいつか話せるだろう。
さて、『読書という荒野』。自社の会社の社長の本をこんなこと言うのはロックじゃないが、めちゃくちゃすごい。読書って自分の内面を見つめて成長させるにはおそらく唯一の手段。ちなみに冒頭の石原さんと見城のエピソードもきちんと収められてる。見城が赤字で真っ赤になったゲラを担当編集者の箕輪に渡す瞬間を偶然その場にいたのだが、なんか映画の1シーンのようだった。
箕輪との打ち合わせをデスク近くで待ってたら、赤入れしたゲラを持った見城が登場!。なんか映画みたいなシーンだった。達成感と、その一方でまだ直したい、不安だなと思う著者と、すぐに読みたい編集者の画。「箕輪大陸」はこういうシーン撮れよ!俺もちょっとカットインさせてね(笑)「読書の荒野」
— 太田和美(コグマ部長) (@kogumabuchou) 2018年4月24日
某月某日
担当書店の店舗で新刊会議。来月の新刊を初回で何冊指定するか先方の仕入担当者と話し合う。こちらが売りたいと思ったものを、先方も売りたいと思ってくれればいいが、「あー、その著者はウチでは売れないんですよ~」と言われることも多々ある。それでも置いてもらうのが、営業マンの手腕。
会議が終わったら売場で、文庫、新書、文芸、ビジネス、雑誌など各担当者に営業。もらっている注文の確認や、自社商品の動向、目立つ他社の商品があったらその取材も欠かさない。
もはや初夏の気温。外回りはもう暑い。そういえば、俺がコーヒーを盗み飲みしている女子社員が先日USB式のデスク置きの扇風機を買ったのだが、それがなぜか常に俺に向けられている。「太田さんが暑がりだから」と言っていたが、ほかに理由があるなら早く教えてほしい。
ちなみにその扇風機がずっと俺に当たっているのを「なんだか 『CHAGE&ASKA』みたいじゃね⁉」って言ってみたが、古すぎて誰もわからなかった。「あ、古いか⁉ 『TMレボリューション』かっ⁉」と言い直したが周囲の気温が2度下がったのが自分でもわかった。
帰宅途中、さだまさしさんの小説「銀河食堂の夜」を読み終える。「小説幻冬」に連載されていたもので、まだゲラにもなっていない。思わず泣きそうになるほどの完成度。いつの間にこんな小説を書きあげてるのか。
営業先で「豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件」(倉知淳さん 実業之日本社)を購入。
某月某日
文庫会議。これは自分が定例で出ている会議の中でも上位の「好きな会議」。編集、製作、営業の担当者が出てきて文庫をどう売っていくかを月例で会議をしていく。
幻冬舎文庫は4月から北村匠海くんにイメージキャラクターになってもらっているのだが、そのポスターが欲しいという問い合わせを多くいただいている。
ちなみにポスターで北村くんが着ているパーカーがあまりにもかっこよかったのでどのブランドなのか文庫編集長に調べてもらったのは先月のこの会議。しかし、高級品だったので、似た商品を買ってみた。
北村匠海さんの写真を見て、「このパーカー、俺も欲しい♪」と営業のコグマ部長。「これを着たら、ナチュラルな俺をかっこよく演出できると思う」という目論見がどんな結果になったかは、明白ですが(^^) オジサンもその気にさせる北村クンなのだ♪♪ #幻冬舎文庫の春まつり #北村匠海 https://t.co/yohyz9XV0Y
— 袖山まいこ (@yamyamchin) 2018年4月2日
営業先で「凶犬の眼」(柚月裕子さん KADOKAWA)購入。前作「孤狼の血」の興奮ふたたび! 会社に戻ってくると、またゲラが積まれていた。連休中に読もう!