4月22日(日)午後、早稲田大学にてファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)主催のシンポジウムが行われた。
FIJは、2017年に設立した日本初の「ファクトチェック(真偽検証)」専門の団体だ。情報・政治・社会学系学者、ネットメディア編集長、ジャーナリストらで組織されており、すでに2017年の衆院総選挙で、政治家の発言やマスメディアの報道、ネット上に流布された社会的に重要な影響力のある言説などについての検証を行っている。
米国ファクトチェック機関「ポリティファクト」
米国では「ポリティファクト」という団体が11年前から活動しており、大統領、ホワイトハウス、議員、立候補者、ロビイストや関係団体などの発言について検証を行っている。
基調講演に登壇したポリティファクト事務局長のアーロン・シャロックマン氏によると、2007年に活動をはじめたポリティファクトは、当初は半年で解散するつもりで組織したにも関わらず、必要性に迫られ活動をつづけ、2009年にはピューリッツァー賞を受賞。「以前は気軽に話せた人が、上院議員になって電話をとってくれなくなった」と冗談まじりに語り、会場の笑いを誘った。
ポリティファクトは「党派性を持たないこと」を信条とし、投票行動に結び付けるという目的ではなく、どの政党に対しても等しく「その発言が事実に基づいているかどうか」のみにポイントを絞り、多角的に検証している。過去10年間で15,000件もの検証を行っているが、発足当初のスタッフは3人、そして現在もたった11人で作業しているというから驚く。
有名政治家の発言を「完全に正しい」「半分真実」から、「真っ赤なウソ・デタラメ」まで6段階に分けて判定。トンデモ発言とも言えるデタラメのことを“Pants on Fire(パンツに火がついてるぜ)”と表現するそうだが、トランプ大統領になってからは、圧倒的にパンツの燃える回数が増えたという。
トランプ大統領は、就任以来「フェイクニュース」という言葉を400回以上発言しており、検証してみた530件の発言のうち、なんと70%が誤情報で、そのうち80件近くは「真っ赤なウソ・デタラメ」だったという。ツッコミ入れるのもばかばかしくなりそうな状態で、検証作業をあきらめない忍耐力と追及力がすごい。
このグラフは、重要な10人の政治家の発言をファクトチェックし、グラフ化したもの。
一番左の緑色が「正しい発言」、黄緑が「大部分正しい」、「半分正しい」、「大部分間違い」、「間違い」となり、一番右の真っ赤な部分が「ウソ・完全なるデタラメ」だ。
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オオカミ少女に気をつけろ!
嘘、デマ、フェイク、陰謀論、巧妙なステマに情報規制……。混乱と不自由さが増すネット界に、泉美木蘭がバンザイ突撃。右往左往しながら“ほんとうらしきもの”を探す真っ向ルポ。
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