晴れた日には、家の向かいにある竹やぶと神田川の間、そこに二つ設置されたベンチの上でコーヒーを飲み、たばこの煙を肺に入れたり出したりしながら、ぼんやりと時間を過ごす。
このベンチの常連といえば、70歳くらいの爺さんとわたしの二人。爺さんは先に座っているわたしを見つけるとおはようと挨拶をし、丁寧すぎるほどの言葉遣いで、横、失礼しますねと言葉を置き、立ち去る時にはお先に失礼しますとまた言葉を置いていく。爺さんはただ、横でぼんやりと川の流れるを見ているだけで、散歩コースか帰り道か、停留の目的は足を物理的に休めているといったところだろう。
アメリカから帰ってきてからは、喧騒にもまれすぎたせいか、人から少し距離を置いてただ季節が流れていくのに身を任せている。
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