初心者で、そもそも外国人なんだから名詞の男性・女性は間違えてもいい!?
それでは、次の例です。最初の単語が男性名詞で、2つ目の単語が女性名詞です。
crayon (クレヨン)
table (タブル)
「クレヨン」は完全に日本語になったフランス語ですが、ここでまた、発音の説明が必要になりました。y をどう発音するかです。y は基本的に i と同じに発音します。例えば、stylo は「スティロ」と発音します。意味は「万年筆」です。
しかし、問題は、crayon のようにy が母音で挟まれている場合です。ちなみに、「クレヨン」は日本語とフランス語では、意味がずれてしまっています。日本語のクレヨンは色とりどりのお絵かきの道具ですが、フランス語の crayon はたんなる「鉛筆」のことです。
それで、鉛筆の crayon ですが、この単語の y は a という母音とo という母音に挟まれています。こういう場合、y は i が2つ連続するものと見なしてください。
そうすると、crayon が crai + ion となって、2つの音節に分かれます。ai は発音の規則で「エ」となるので crai は「クレ」、ion は母音同士がくっついて、「イォン」から「ヨン」という音になります。それで全体が「クレヨン」となるわけです。ちょっと面倒かもしれませんが、また母音に挟まれた y が出てきたら説明しますね。
さて、crayon (クレヨン) は「鉛筆」で、table (タブル) は英語と同じ「テーブル」です。これらの名詞は、さっきやった homme(男) と femme(女)、あるいは père(父) と mère (母)のような性別とはなんの関係もありません。しかし、フランス語では、crayon は男性名詞、table は女性名詞と決まっています。そして、この区別は、原則としてすべての名詞に付いてまわります。
すこしフランス語を学んでいくと、この名詞は男性っぽいとか、こちらのほうは女性っぽいとかいう区別が感じられるような気がしてきますが、それは錯覚です。ともかく、すべての名詞が、男性か、女性か、どちらかに属するので、正しいフランス語を習得するためには、その名詞が男性名詞か女性名詞か分かっていなければなりません。
しかし、私たちは外国人で、しかも、この本の読者は初心者です。ひとつの名詞が男性であるか女性であるか間違えたとしても、まったく問題はありません。逆にいえば、かならず、50%という高い確率で当たるのですから、忘れてしまってもどちらかで処理しておいて、あとでまた正しい性別を調べて憶えなおせばいいのです。ともかく、フランス語の名詞は基本的に、男性名詞か女性名詞かのどちらかになります。
なぜ男性名詞と女性名詞の区別を知る必要があるかというと、名詞にはほぼ必ず冠詞が付くのですが、男性名詞と女性名詞ではそれに付く冠詞が異なるからです。
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フランス語の教師をはじめて約30年の中条省平さん。フランス語に挫折してしまったあなたのために、「フランス語の大体が頭に入り、フランス語を恐れる気持ちが消える」ことを目指して書かれた『世界一簡単なフランス語の本』から、フランス語のはじめの一歩をご紹介します。